第2回のテーマは、「確率(Probability)」です。
今回の記事は、主にパーフェクト(理論値)が出せるゲーム(SOUND VOLTEX、jubeat等)向けになりますが、考え方を拡張すればそれ以外のゲームにも適用できるかと思います。
内容に入る前に、これからの議論を円滑に進めるために、「地力」と「譜面の『部分難易度』」という2つの概念の(議論に都合のよい)定義を記しておきます。
地力
:⇔個人の実力を表す指標。個人に依存する数値であり、その値は(短いタームで見ると)一定とみなせる。
部分難易度
:⇔曲の単位小節(あるいは単位フレーズ)における譜面を、“限りなく100%に近い確率で”全パーフェクト(以後、全P)で通過するために必要な地力。単位は地力と同じ。その値は個人に依存する。
強調した部分は、要するに「普通にプレーしていればまずミスしない」と同義です(定義のため比較的語弊のないように書いた)。
用語の定義も述べたところで、内容に入っていきます。
まず、長さTのある曲の譜面の部分難易度は、曲の開始時刻を時刻t=0とすると、tの関数です。
(ここでの部分難易度の定義に従うと、tは離散型変数なので厳密には数列ですが…)
これをf(t)と表すことにします。f(t)は0≦t≦Tで定義された関数です。
また、地力の値をAとすると、部分難易度の定義から、
A≧f(t)
の範囲では必ず全Pで通過することができ、逆に、
A<f(t)
の範囲では、必ずしも全Pでは通過できないことになります。
次に、A<f(t)の範囲における全Pの確率についての諸用語の定義をします。
A<f(t)の範囲といっても、それを満たすtの範囲は必ずしも連続ではなく、より小さな飛び飛びの範囲に分かれるでしょう。
その範囲がn個に分かれているとし、そのtの範囲をそれぞれD1,D2,…,Dnとします。
また、Dmをm番目の「難所」と呼ぶことにします。
そして、Dmを全Pで通過する確率をP(Dm)と書くことにします。
すると、次のことが成り立ちます。
『P(D1),P(D2),…,P(Dn)が互いに独立であるとすると、
地力Aの人が、部分難易度f(t)の譜面でパーフェクトを取れる確率Pは、
P = Π[m=1→n]P(Dm)
= P(D1) * P(D2) * … * P(Dn)
である。』
実際のところP(Dm)は完全には独立しておらず、終盤まで全Pで通っていると、緊張などの諸要因によって確率は本来の値よりも小さくなると一般的には考えられます。「緊張して押し間違えた」などが最たる例です。
以上の議論を踏まえると、ある譜面でパーフェクトを取りたいと思ったとき、パーフェクトを取れる確率Pを大きくする方法は、主として以下の2つが考えられます。
ⅰ)地力Aを大きくしてA<f(t)となる範囲を小さくし、難所Dmの数を減らす。
ⅱ)m番目の難所を全Pで通過する確率P(Dm)をそれぞれ大きくする。
ⅰ)について、地力は一般に長いスパンで見て成長していくものと考えられます。したがって「いつかこの曲だけは絶対にパーフェクトを取る」という大きな目標に対しては効果があるのかもしれませんが、「今日はこの曲をパーフェクト取ろう」という短期的な目標に対しては得策ではない、と言えます。
ⅱ)について、私はこちらの方法を普段は取っています。
まず、目標としている譜面をある程度プレーし、「ここはあまり安定しないな」という箇所を大雑把に把握します。
把握が完了してからが重要です。
常にパーフェクトを取ることを目指す傍ら、難所Dmに特に意識を集中させ、「なぜ安定しないのか」「安定させるためにはどういった対策を講じればよいか」を考えます。
その際、譜面を完全に理解し、自分がどのノーツでミスしているかを特定する努力を怠りません。プレーしてもよくわからない部分は、動画や譜面画像を活用することも多々あります。
その後、意識を変える、運指を変える等の具体的な対策を取ることで、全Pで通過する頻度を上げていきます。
こういった過程を辿ることで、P(Dm)を意識的に一つずつ大きくしていきます。それに伴ってPの値も大きくなっていくに違いありません。
ちなみに、 このような方策を取ると、必然的に「捨てゲー」をすることがなくなっていくことに気が付きます。
もし序盤の難所でミスが出てしまってもそのトラックは無駄になった訳ではなく、他の難所を光らせる練習に充てればいいんです。
実際、私もパーフェクト粘着でイライラすることこそありますが、捨てゲーすることは滅多にありません(向上心よりもイライラが勝ればその限りではありませんが)。
また、これまでやってきた議論は、「全Pで通過する」の部分を「グレ○個で通過する」等に置き換えることで、理論値ゲーだけでなく、ビートマニア、ポップンミュージックなどのゲームにも適応することができるかと思います。
以上、確率から音ゲーを考える回でした。