いよいよ8月6日、北京オリンピック全競技の先陣を切って女子サッカーが開幕する。各地域の予選を勝ち抜いた12ヶ国が参加し、3グループに分かれて予選グループを戦う。そのうち決勝トーナメントに進出出来るのは各グループ上位2位とグループE&F3位の上位1チーム、F&G3位の上位1チームを加えた計8チーム。日本(FIFAランキング10位)が所属するグループGはアメリカ(同1位)、ノルウェー(同5位)、ニュージーランド(同24位)という顔ぶれだ。
日本にとって重要なのはやはり秦皇島で行われる初戦のニュージーランド戦だろう。オリンピック第1戦めとして、ゲームへの入り方という観点からだけでなく、これが全競技を通じて最初の戦いであるという点においてもこの初戦は意味深い。「注目されるということは十分理解しています。私たちが勝つことで前回のアテネオリンピックの時のように日本選手団に勢いをつけることが出来たらと思います。女子サッカーをアピールする絶好の機会でもありますしね」とはキャプテンの池田浩美。これらを除外した星取の面からも、この初戦は絶対に落とすことが出来ない。2戦め以降の対戦を考えればニュージーランドから“どのような”勝ち点3を得るかもカギとなってくるだろう。ニュージーランドはフィジカルに長け、組織的なサッカーを展開するチームだ。日本は壮行試合で仮想ニュージーランドとしてオーストラリアと対戦するなど調整してきた。オリンピック初戦というプレッシャーに飲み込まれなければ勝ち点は十分に計算出来る。
続く第2戦も移動はなく、中2日で初戦と同じ秦皇島で行われる。対戦相手のアメリカはアテネオリンピックの覇者。これまでアメリカ女子サッカーを牽引してきたスター選手が揃って引退し、世代交代を迎えたアメリカはこの4年で新たなチームとして着実に力をつけてきた。しかし、大会直前にエースのアビー・ワンバックが骨折するというアクシデントに見舞われる。「ワンバックのいないアメリカ戦というのに触れていないので何とも言えない」と佐々木則夫監督が語るように、エース離脱がどのように影響するかは全く予測出来ない。もちろんアメリカの強さはワンバックの得点力だけではない。アメリカの強みの一つであるセットプレーをいかに凌ぐかがポイントだ。
ノルウェーとの最終戦は場所を上海に移して行われる。決勝トーナメント進出の可否はこの上海の地にまでもつれ込むことが予想され、最も厳しい戦いになりそうだ。ノルウェーは攻守に渡って非常にバランスがよく、安定感抜群のチームだ。組織だったサッカーは日本だけでなく、ノルウェーも得意とするところ。日本としても決定機は多くは望めない相手だけに、ワンチャンスをしっかりとモノにする勝負強さを発揮することが出来なければ勝利は見えてこない。決勝トーナメント進出に向けて、他グループの結果も関係してくるだけに、展開毎の戦い方の意識統一も必要だ。
「目標はメダル獲得」(佐々木監督)。そのメダルに近づくためには通過順位も重要となってくるが、まずは予選グループを抜け出すことが第一優先。ブレることなく、なでしこジャパンのサッカーを存分に展開してもらいたい。アテネから4年、やれることは全てやってきた。自分たちのサッカーを信じて、余力を残すことなく力を出し切ってほしい。決戦はもう目前に迫っている。