お久しぶりでございます。という枕詞が定番になってしまった。
気を取り直して近況です。
5月6月は毎日のように雨。
数日の晴を狙ってゲリラ畑起こしを強行。
砂が多いのでまあ、形だけは何とか。
カンボジア10年目ですが、5月にこれだけ雨が降ったのは初めての経験で、さすがにビビった。
長さ70m、幅2mの大きな畝を6本、32m置きに作ってあったので、胡麻、トウモロコシ、ナス、大豆を蒔きました。
トウモロコシを蒔いたおかげで、その間に植えたナスが日照不足で思ったほど収穫できなかったのは残念。
本来はカシューナッツを植える予定だったのですが、畝作りができないので苦肉の策でした。
日本の常識がなかなか通じないカンボジアの農業です。
細い木の下にはカシューナッツが6m置きに植えてあります。
その間にナスを最初に植えました。写真は草取り風景。
本当は除草用の道具(北海道ではホーといいます)を使ってほしいのですが、これでいいと言ってなかなか使ってくれません。確かにクワより軽いのはあるのですが、それでも日本製の2倍はあります。
そして、砂地なので刃がすぐ切れなくなります。砥石は探しているのですが、目の細かい仕上げ砥石みたいのしかないので、研ぐと時間がかかります。
除草のためにたくさんの時間を取られます。
スタッフが無理だというけどプラウしなければ草だらけなので、元農家のテクニックを披露してみました(笑)。
油圧レバーに手を添え、スリップしそうになると少し上げる、そしてまた少し下げる。
スタッフはその微妙な調整がなかなか理解できないようです。
見てろよ! と言っても話し込んだり、違うとこ見てたり・・・
笑ってください、これは技術の問題というより、現実的なカンボジアあるあるです。
必要な機械等がすんなり揃うという訳には行きません。予算は無限にはないのです。(笑)
何とか畝立て開始。畝立て機を作っては見たのですが。まあこんなところでいいでしょう。
幅2mの畝、本来はカシューナッツを植えるための畝です。
が、5月の連日の雨で畝が作れず、苦肉の策で畝の上に緊急避難で植えることになりました。
真ん中に胡麻(ほかの畝にはナス)、両側にトウモロコシと大豆を植えました。
農場は100mで1mくらいの勾配があります。写真の右側から左にかけて畑が傾斜しています。
土は砂地に粘土がほんの少し混ざっています。厄介なのはその砂の粒子が非常に細かいという事です。
表面の水は流れても、高畝にしないとなかなか水が引きません。
仕方ないので、真ん中に幅2m、深さ2mの水路を掘りました。
そしてこれがその少し後の写真。
すっかり埋まっています。ところが、この後も雨が降りましたがこれ以上砂が溜まることはありませんでした。
不思議です。土が落ち着いたという事なのでしょうか。
表面の水さえ流れれば、作物は普通に育っています。
そんなカンボジアです。
ナスの支柱立てと剪定。50㎝ほど伸びたら花が咲き始めました。
支柱はなぜか斜めです。この後はナスの栽培経験があるアシスタントにお任せです。
収穫したナス。500kg/10aくらい収穫したが、両側にトウモロコシが植えたためか、収穫量は急激に減少した。
苦肉の策とはいえ、トウモロコシの成長した姿を想定できなかったことが悔やまれる。
この畝には真ん中に胡麻を植えました。
胡麻はトウモロコシが収穫するまで、がんばってくれました。
食用トウモロコシの播種。作業に子供がついて来ることは珍しくありません。
カンボジア人が大好きなワキシ種、日本にも昔からあるモチとうきびです。
7月後半、やっと晴が続いたので畝立て再開です。
まだ少し柔らかいので、畝はまっすぐにはできませんが雨季は天気が読めないので作業を急ぎます。
アシスタントのトラクター操作は次第に上手になっています。
バックホーも教えたいのですが、作業ができるまでには時間がかかるのと、農作業にはあまり使わないのでなかなか教えるタイミングがありません。また小型のバックホーは安定が悪く転倒の危険性もあるので心配です。
イチゴ。
スタッフがプノンペンから持ってきました。
元気になり花が咲くようになりましたが、小さな実しかなりません。
どんな品種かもわからないので、肥料を上げてこのまま育てることにします。
毎日畑に行って、少しづつ農場が出来上がっていきます。
開墾から、廃根拾い、根っこ掘り、側溝掘り、やっと一段落です。
まだ、全部が終わったわけではありませんが、やっと形になってきました。
この地域に適した作物は何か。この地域で作られている作物の収穫量をどうやったら増やせるのか。
世界中で高騰する肥料にどう対処するのがいいのか。
牛糞、鶏糞、籾殻、米糠などを使ってボカシ肥料の製造にも取り組んでいます。
ここでやれることは何か、何をしなければならないのか。
私には何ができるのか。
カンボジアの農業に日本の常識は通じません。それでも、農業の基本は世界共通です。
農場の作物や土作りを地域の農家が少しでも興味を示してくれることに期待します。