9/28放送のBSフジテレビ
🌟『タイプライターズ~物書きの世界~』絵本の世界~大人にも読んでもらいたいこの一冊~
ありがとうございました。
放送された『星につたえて』(安東みきえ 文/吉田尚令 絵/2017年 アリス館)につきましては、番組終了後から私の元へも素敵な感想がたくさん届きました。
“平成を代表する愛の絵本”。
よろしければぜひ手にとって読んでみてくださいね。
さて、実をいいますと
番組の都合上泣く泣くカットせざるを得なかったという「もう一冊」がございました。
せっかくですから、このブログで紹介させていただきます。
『キャベツくん』(長新太 文・絵/1980年 文研出版)
ブタヤマさんが
「あのね、おなかがすいて フラフラなんだ。
キャベツ、おまえをたべる!」
そういって、キャベツくんをつかまえました。
キャベツくんが
「ぼくをたべると、キャベツになるよ!」と
いいました。
「ブキャ!」
ブタヤマさんは そらをみて、びっくりしてしまいました。
はなが キャベツになっている ブタヤマさんが、
そらに うかんでいます。
キャベツくんが、
「ぼくを たべると、こうなる」 と いいました。
(※本文より抜粋)
・ ・ ・ ・ ・
道の途中で出会ったちいさな「キャベツくん」と、おなかを空かせて我を忘れた「ブタヤマさん」。
キャベツくんを食べようとするブタヤマさんは、「じゃあ、ヘビがきみをたべたら?」「タヌキがたべたら?」と質問を繰り返します。
その度に「こうなる!」と、空に不思議な物体を見せつけられて...
ブタヤマさん、どうする?
・ ・ ・ ・ ・
メッセージ性の強い絵本が大人によく売れる一方で、『キャベツくん』をはじめとする長新太さんの絵本は、"解放の絵本"といえます。
「長新太さんご自身の生前の言葉を借りるなら、"右脳をコロコロ転がす快感"を感じる絵本」であると、(収録時に)お話しさせていただきました。
番組MCの加藤シゲアキさんと又吉直樹さんは、絵本特集<前篇>の方でクレヨンハウスを訪れ、又吉さんの記憶にあったという『ムニャムニャゆきのバス』(※下方に書影)を読んでいらっしゃいました。
又吉さんは、同作者の『キャベツくん』について「ボク、これ知ってます」とおっしゃっていました。
(さすが!)
ちなみに
『キャベツくん』を子どもたちの前で読みますと、多くの子どもは、 「おまえをたべる!」 の場面で一瞬固まっちゃいます(笑)
そしてその先の、ナンセンスな展開とのギャップに完全に心をつかまれてしまうのです・・・!
初版から38年。
すごい作品だと思います。
読み手がページをめくると、ふたりも少しずつ道を進んでいきます。
風がそよそよとふいています。
景色が少しずつ変わっていきます。
放送にはのりませんでしたが、
ナンセンス絵本の醍醐味と 紙の絵本の味わい を、加藤さんと又吉さんにお伝えできて嬉しかった。
*****
(お二人がクレヨンハウスで読んだのはコチラ。これもナンセンス絵本の傑作)
『ムニャムニャゆきのバス』(長新太 作/2007年 偕成社)
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長新太の絵本にがぜん興味がわいたあなたへ。
静けさの漂うこんな作品もいかがですか?
『ちへいせんのみえるところ』(長新太 作・絵/1998年 ビリケン出版)
空と海を分けるまっすぐな地平線がページのまんなかをすうっと走ります。
でました。
...…なにが?
「ちへいせんのみえるところ」に出たアレは、蜃気楼かもしれないし幻かもしれないけれど、
...出たなあ。
まっすぐにうけとめたい。
・・・
「ページターナー」という言葉があります。⤵︎
【名詞】【可算名詞】(どんどんページをめくりたくなってしまうほど)おもしろい本
私が紙の絵本の魅力を思う時に、まず思い出す言葉です。
めくることによって、変化が起こり、
めくることによって、思いが生まれる。
めくることによって、行為が意味づけられる・・・
本を読む行為というのは、「めくりたい」欲求を叶えながら進めて行く作業なのです。
『ちへいせんのみえるところ』の構成はとことんシンプルです。
漫画界から転身、長年に渡り“あたらしい絵本表現”の試みをひそかに飄々とやり続けた長新太さんが最後にたどりついた「究極の絵本表現」 だったのではないでしょうか。
究極のページターナー『ちへいせんのみえるところ』。
あなたにはなにが見えますか?
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ほかにもおもしろい絵本、たくさんたくさんありますよ。
こちらのブログ「僕らの絵本」にアレコレ紹介してございますので、よろしければ参考にされてください♪♪♪
~子どもに絵本を。大人にこそ絵本を ~
あなただけの特別な一冊に出会えますように。
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10/3(水)に芸人のネゴシックスさんをお迎えした面白いイベント『ターゲットはひとり 読む気にさせて!絵本紹介バトル!』 を神保町ブックハウスカフェでやります!
(残席僅 ※9/30現在)
タイプライターズ撮影裏話もします♪
お待ちしております。
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お申し込みはブックハウスカフェまで!
(mail yoyaku@bookhousecafe.jp/お電話 03-6261-6177)
※メールでご予約の際は「件名」に「10/3絵本紹介バトル(出場or観覧)」として、「本文」にお名前フルネーム(よみがな)・お電話番号・ご参加人数(大人/子ども)を必ずご記載ください。
絵本コーディネーター東條知美