【「きいろ」と「オレ」の壮絶なドラマ】
表紙をひらくともう、そのドラマは始まっている。
大木の枝にいる猫。
そこへ〈きいろ〉(黄色いポツンとしたもの)がやってきて......
逃げ、邪魔をし、「ぐわんぐわんに」さわぐ〈きいろ〉。
増殖し、猛スピードで通り過ぎて行く〈きいろ〉をがむしゃらに捕らえようとする〈オレ〉。
読み手はとうに引き込まれている。
早く、早くと掻き立てられるような激情。
混沌と疾風を体感する中盤、そして・・・
生と死、善と悪、征服と共存、自然と人工?いやいやちがうな。解釈なんていらない。
いのちがほとばしる様をドキドキしながら体感できる、めったにない絵本です。
圧倒的。
(絵本コーディネーター 東條知美)