にゃん にゃん にゃん!にゃー2月22日〈猫の日〉に3冊ご紹介します。



☆『うちのねこちゃん』(松谷みよ子 文 小沢良吉 絵 1981 偕成社)




表紙は猫足金魚模様のバスタブに入ったおしゃれなお嬢さん。扉絵で化粧台へ。

おしろいつけて紅つけて行く先で出会ったのは、ダンディーなとらねこあにき。
相手にしないねこちゃんですが、「しゃなりしゃなりと通りすぎ」その先で顔を洗った途端、出かける用事を忘れてしまいます。

そこへすかさずとらねこあにきが声をかけ、「とんぼをとりにいこうじゃないか」。

日がな一日遊んだ後は、いいムードでお月見。

山高帽に燕尾服で現れたとらねこあにきの醸し出すダンディズムとそのプレイボーイっぷり!
おしゃれでわすれんぼなお嬢さんねこの心をあっというまに掴んでしまったのですね・・・



衣装や小物にパリの香り漂う、洒脱な〈恋の絵本〉です。






☆『タンゲくん』(片山健 文・絵 1992 福音館書店)





ある日「わたし」の家に入ってきた片目のつぶれたノラ。

その姿からお父さんが「タンゲ」と名付け、「うちのねこ」になったはずなのに...

女の子の、野良猫(無頼派)を愛してしまったがゆえに苦悩する姿が微笑ましい。

古い家電や障子戸、丸いちゃぶ台、開けっぱなしの縁側・・・
懐かしい昭和の風景 が、古紙の趣ある紙に描かれます。

製本会社(多田製本)さんが以前、「この紙はすぐに波打っちゃうからタイヘン」と教えてくれました。
そういえばこの紙、、、陽にやけた障子に似ている!
これもきっと「昭和」の演出のひとつに違いないと思っておりますが、さて。





☆『こねこのミヌー』(フランソワーズ 作 岸田衿子 訳 2006 のら書房)





パリに住む女の子。ある日飼い猫のミヌーがいなくなってしまいます。

「ミヌー!」

探し回りますが、街中の誰も見ていないと言います。

翌日橋の下で「あいつは船に乗った」というおじさんの証言が!

さいごの場面
「でも、ミヌーは、パリにもどってくるでしょう。ええ、きっと!だって、だれでもかえってくるんですから」
というテキストに描かれるのは、川向こうの遠くをみつめる女の子と、すぐそばまで来ている白いこねこ。

女の子がまだ気づいていないこの瞬間を描き、(読み手に)この直後の超感動の再会の場面を想起させます!

帰る場所があるから、旅はよいもの。
物語の裏にある、こねこのミヌーの〈旅〉に思いを馳せてみる・・・そんな面白さもある作品ですね。


絵本コーディネーター 東條知美)