【月夜の絵本会vol.4】なかえよしをさんと語る夜
 

(ゲスト プロフィール)

なかえ よしを(中江嘉男)

1940年兵庫県神戸市生まれ、日本大学芸術学部美術科卒業。広告デザイナーを経て、絵本作家に。1966年、中江の文、上野紀子の絵により初めての絵本『ペラペラの世界』を自費出版。その後も現在まで私家版の制作は続く。1973年、『ELEPHANT BUTTONS』をハーパー&ロウ社から出版。1974年、『ねずみくんのチョッキ』をポプラ社から刊行、翌年「第6回講談社出版文化賞絵本賞」を受賞。以来シリーズは2014年までに31冊を刊行。「いたずらララちゃん」(1986年ポプラ社)で第10回絵本にっぽん賞受賞。2005年、それまでの業績により巌谷小波文芸賞を受賞。2006年、ホームページに発表した4コマ漫画で第9回文化庁メディア芸術祭奨励賞受賞。これまでの著書は200冊を超える。神奈川県在住。

 


今から半世紀ほど前、アメリカのフォルクスワーゲンが打ち出した車「ビートル」の広告シリーズは、短い見出しと斬新なレイアウトで世界中の大きな話題となりました。


2014年、初版から100万部を超えるミリオンセラー絵本となった『ねずみくんのチョッキ』(1974年ポプラ社刊)。

      



大きな白い空間に、小さなキャラクターがぽつんと配されたレイアウト。

表紙の余白が特徴的な絵本。


かつて広告がタレント頼りではなく、アイデアによって作られていた時代に、その広告畑で腕を磨いた青年なかえよしをと(大学時代からの)パートナー上野紀子。


このシンプルで美しい構図は、かれらによって、国内絵本業界に初めて持ち込まれたものといってよいでしょう。

 

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11/13に開催した【月夜の絵本会vol.4】は、絵本作家のなかえよしをさんをゲストにお招きしました。


『ねずみくんのチョッキ』シリーズが今年
40周年を迎え、今夏、県立神奈川近代文学館にて集大成ともいえる大々的な展覧会が行われたばかりです。

(訪問レポートはこちら )

  


 

「展示された原画がご自宅に戻り落ち着かれた頃に」…と、わが月夜の絵本会へゲスト出演を依頼したのは夏前のことでした。

蓋を開けてみると展覧会終了後も、全国書店でのサイン会やご講演、創作の仕事でなかえさんの忙しい日々は続いておられますが…

月のきれいなこの晩に、ご多忙の中をお越しいただきました。

 


 

ROCKET CAFÉさんのご協力のもと、ゲストのなかえさんによるお話を中心に、18名のお客様+進行役東條による「なかえよしを作品」、「創作」、「絵本」、「子どもと大人」、「想像力」等々の話題を行きつ戻りつしながら、時に笑いに包まれながら…盛りだくさんの濃密なひとときとなりました。

 

当日の内容をなかえさんの言葉を中心に、抜粋してご紹介します。

 

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【絵本の仕事で40年を迎えて】

  



・「目の前のことをひたすら一所懸命にこなしていると、長く続く。

大事なのはやめないことすぐに結果を求めないこと。

先には多くの先輩がいて、自分のやるべきことは何も残っていないのでは?と立ち止まりがちだが、10年もたてばみんな死んで居なくなる」

 

・「どの仕事でも‟やりたいこと“、‟夢中になれること”に〈出会う〉ことが大事。「右か」「左か」方向性を迷っているうちは、出会えていない」

 

・「人、作品、出来事、時代…出会いをのがさないこと。〈出会い〉に敏感であれ

 

・「楽しいことは後回しにしてまずは仕事をやる」

 

・「自分がいかに凡人であるかを知れば、遊んでなどいられない

 

・「最近は年齢のせいか、制作のテーマとして「自分とは」「生きるとは」「現実とは」……そんなことばかり考えている」



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