神奈川近代文学館で開催中(8/2~9/28)、
『ねずみくん40周年 なかえよしを+上野紀子の100冊の絵本展』へ行ってまいりました。https://www.kanabun.or.jp/
入り口を入ると、クレヨンが用意された丸テーブルの周りにはカラフルな子ども用のイス。お絵描きができるスペースでしょうか。
「小さくてなにもないけど、生きている。
子どもたちには、そんな「ねずみくん」の姿をみてもらいたい」
(なかえ氏)
そのとなりには、大小サイズの赤いチョッキと姿見が。
〈ねずみくんになってみよう!〉のコーナーです。
白地に赤色の水玉模様、ねみちゃんのリボンもありました。
〈身長を測ってみよう!〉のコーナーもありますね。
(170センチまで対応。大人もイケます。)
記念撮影のコーナーには、ねずみくんと、仲間のぞうさんのぬいぐるみも♪
ここから先は撮影不可となっております。
〈主催者のことば〉
「ふたりが手がけてきた絵本は、内容に合わせ、文章のタッチ、絵の技法など驚くべき多様性に満ちていますが、ひとつの共通のテーマとして「目に見えない大切なものを子どもたちに伝えること」をめざして作られてきました。
目に見えないものを感じる力=想像力 をかきたてながら、読む者の心に響く、優しくあたたかな世界をお楽しみください」
この先の展示をざっとご紹介します。以下の内容でした。
◆なかえよしを氏、上野紀子氏の略歴紹介
◆ねずみくんシリーズ全30冊&なかえ氏によるストーリーサムネイル(場面構想メモ)やラフスケッチ等
◆ニューヨーク ハーパー&ロウ社での絵本デビュー時にまつわる品々
・『ELEPHANT BUTTONS』(1973年 Harper&Row社刊)、およびその原画
・『ELEPHANT BUTTONS』(1973年 Harper&Row社刊)の未収録原画
・アーノルド・ローベルとの記念写真
・新聞『ニューヨーク・タイムズ』、雑誌『ニューヨーク・タイム・マガジン』紙に掲載された上野氏の挿絵
・NYでの出版の喜びを師・瀧口修造氏(シュルレアリストの詩人、美術評論家)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%80%A7%E5%8F%A3%E4%BF%AE%E9%80%A0
に伝える(ふたりの書いた)葉書 等
◆日本のデビュー作『ねずみくんのチョッキ』(1974年 ポプラ社)シリーズの原画、ラフスケッチ等
(シリーズの原画展示は7作品?)
◆ねずみくんグッズ(製品として販売されたもの、読者が手作りし贈られたもの)
◆ねずみくんシリーズを描く際に使われる画材(筆記用具)
◆『ペラペラの世界』(1966年3月私家版)以来の、
ふたりの創作の背景にある「シュルレアリスム(超現実主義)」にもとづいて制作された絵本作品 およびその原画 等
(『ペラペラの世界』、『迷い込んだ動物たち』、『小宇宙』、『チコ』、『絵本のなかへ』、『まどべのおきゃくさま』、『魔術師』、『わたしと魔術師』、『猫のメメ』、『猫と星のおはなし』、『まほうつかいになれますよ』、『まほうのぼうし』、『うさぎのおとぎばなし』、『ひねくれとんぼ』、『チコ(アニミズム会議の記録)』、『宇宙遊星間旅行』、『扉の国』、『扉の国のチコ』、『望遠鏡の国のチコ』、『チコの時空間飛行』)
・なかえ氏作『扉の国のチコ』缶バッジ集(2013年)
(巌谷國士氏に贈られた。蛇足ですが利用されたチョコレートの缶は、「〈宇宙〉をみつけました」と東條がプレゼントさせていただいたものでした。光栄!)
◆なかえ氏が学生時代からの大ファンだったという、手塚治関連の所蔵品
(手塚治から二人に贈られた、アトムとウランがダンスをする姿が描かれた絵、〈手塚治コミックコレクション〉等)
◆〈Mr.STの部屋〉シュルレアリスムに傾倒していたなかえ氏が1971年に訪問、以来瀧口氏の死去まで続いたという、愛ある親しい交流。
瀧口修造氏をモデルとした絵画・写真の他、互いに贈り合ったという「特別な品々」。
◆〈猫の絵本〉
(『ねこのジョン』、『55階のねこ』、『ねこかもね』、『のうさぎとねこのポチ』、『のらねこの詩』、『こねこのクリスマス』、『ねことこうまのものがたり』、『空からきたねこ』、『ことりとねこのものがたり』、『こねこはどーこ?』、『プッチン』)
◆〈赤ちゃん絵本〉
(『赤ちゃんの国の絵本』、『あかちゃんとおかあさんの絵本』シリーズ、『あれなーんだ?』、『おかあさん』)
◆マンガのコマ割りで評判となった『いたずらララちゃん』、
詩的な世界『風のメルヘン』、『青い風のおもいで』、『さようなら
うさぎさん』
◆〈ねずみくん40周年おめでとう!絵手紙コンテスト応募作品〉
◆物販コーナー
図録やぬいぐるみ、缶バッジのガシャポン、マグネット等も。
・・・以上の内容です。
♪~絵手紙コンテストのコーナーにあった手紙の一部を紹介します~♪
「ねずみ君へ
ねずみくんのこい人はねみちゃんなの?ねずみくんは ねこはこわくないの?こわくなかったら、ねずみくんはすごいね。ねずみくんのとく長は なんですか?」
「ねずみくん ちいさいけどだいすき ねずみくんへ」
「みんなの人気者で、思いやってもらってがんばりやで、いつもねみちゃんと仲よしで、いいですね。ぼくは ねずみくんみたいになりたいです。」
「ねずみくんへ ねずみくんは わたしのことがすきですか?
わたしは ねずみくんのこと だいすきです。」
「ネミちゃん ねずみくんにチョッキを作るのたいへんだった?やさしいね。」
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なかえよしを・上野紀子の両氏による絵本の仕事は、『ねずみくんのチョッキ』シリーズ30作のみならず、私家版等も加えますとその数は210作品?にも上ります。
(ご本人も把握しきれないほどとのこと)
さらに40年に渡る年月の間には、様々な手法をもちいた「あたらしい絵本表現への挑戦」、そしてその中で築き上げられた両氏の「絵本論」が存在します。
なかえ氏については長年に渡る「後進の指導」も、その重要な功績としてあげられるのではないでしょうか。
(師のもとで「絵本」を学び、プロの絵本作家として育っていった作家はたくさんいます。)
この2人が日本の絵本界にもたらしたものー
「余白」の構成が生み出す世界、
「ナンセンス」の面白さ、
「シンプル」であることの面白さ、
「‟オチ“ありき」のストーリー展開、
「手法にとらわれない、表現としての絵本芸術」
・・・
数え上げればきりがないのですが、また私ごとで恐縮ですが、今後これらをきちんと考証した上で〈なかえよしを+上野紀子論〉を書いてみたいと考えております。
・・・・・
『ねずみくん40周年 なかえよしを+上野紀子の100冊の絵本展』
横浜・港の見える丘公園にあります神奈川近代文学館で開催中(8/2~9/28)です。
☆9/20(土曜)13:30~ なかえよしを氏による講演会があります。わたしも再訪します!
もりだくさんの展示内容。
すぐとなりにはイギリス風の庭園など、ロケーションも素敵です。
ぜひこの休日にでも足を運んでみてくださいね。
絵本コーディネーター 東條知美