神奈川近代文学館で開催中(8/29/28)、

『ねずみくん40周年 なかえよしを+上野紀子の100冊の絵本展』へ行ってまいりました。https://www.kanabun.or.jp/




 (港の見える丘公園。大佛二郎記念館奥にある霧笛橋を渡るとその先にあります。)



 



入り口を入ると、クレヨンが用意された丸テーブルの周りにはカラフルな子ども用のイス。お絵描きができるスペースでしょうか。

 目の前の大画面には、なかえよしを氏と上野紀子氏のインタビューが映し出されます。

 
「小さくてなにもないけど、生きている。

子どもたちには、そんな「ねずみくん」の姿をみてもらいたい」
(なかえ氏)

 

 


そのとなりには、大小サイズの赤いチョッキと姿見が。

〈ねずみくんになってみよう!〉のコーナーです。

白地に赤色の水玉模様、ねみちゃんのリボンもありました。

 

 

〈身長を測ってみよう!〉のコーナーもありますね。

170センチまで対応。大人もイケます。)

 

 

記念撮影のコーナーには、ねずみくんと、仲間のぞうさんのぬいぐるみも♪

 

 

ここから先は撮影不可となっております。

 

〈主催者のことば〉

「ふたりが手がけてきた絵本は、内容に合わせ、文章のタッチ、絵の技法など驚くべき多様性に満ちていますが、ひとつの共通のテーマとして「目に見えない大切なものを子どもたちに伝えること」をめざして作られてきました。

目に見えないものを感じる力=想像力 をかきたてながら、読む者の心に響く、優しくあたたかな世界をお楽しみください」

 

 


この先の展示をざっとご紹介します。以下の内容でした。

 

◆なかえよしを氏、上野紀子氏の略歴紹介

 

ねずみくんシリーズ全30&なかえ氏によるストーリーサムネイル(場面構想メモ)ラフスケッチ

 

ニューヨーク  ハーパー&ロウ社での絵本デビュー時にまつわる品々

・『ELEPHANT BUTTONS』(1973  Harper&Row社刊)、およびその原画

・『ELEPHANT BUTTONS』(1973  Harper&Row社刊)の未収録原画

・アーノルド・ローベルとの記念写真

・新聞『ニューヨーク・タイムズ』、雑誌『ニューヨーク・タイム・マガジン』紙に掲載された上野氏の挿絵

NYでの出版の喜びを師・瀧口修造氏(シュルレアリストの詩人、美術評論家)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%80%A7%E5%8F%A3%E4%BF%AE%E9%80%A0

に伝える(ふたりの書いた)葉書 等



 

◆日本のデビュー作『ねずみくんのチョッキ』(1974年 ポプラ社)シリーズの原画、ラフスケッチ等

(シリーズの原画展示は7作品?)

 

ねずみくんグッズ(製品として販売されたもの、読者が手作りし贈られたもの)

 

ねずみくんシリーズを描く際に使われる画材(筆記用具)

 

◆『ペラペラの世界』(19663月私家版)以来の、

ふたりの創作の背景にある「シュルレアリスム(超現実主義)」にもとづいて制作された絵本作品 およびその原画 等

(『ペラペラの世界』、『迷い込んだ動物たち』、『小宇宙』、『チコ』、『絵本のなかへ』、『まどべのおきゃくさま』、『魔術師』、『わたしと魔術師』、『猫のメメ』、『猫と星のおはなし』、『まほうつかいになれますよ』、『まほうのぼうし』、『うさぎのおとぎばなし』、『ひねくれとんぼ』、『チコ(アニミズム会議の記録)』、『宇宙遊星間旅行』、『扉の国』、『扉の国のチコ』、『望遠鏡の国のチコ』、『チコの時空間飛行』)



 

・なかえ氏作『扉の国のチコ』缶バッジ集(2013年)

(巌谷國士氏に贈られた。蛇足ですが利用されたチョコレートの缶は、「〈宇宙〉をみつけました」と東條がプレゼントさせていただいたものでした。光栄!)

 

◆なかえ氏が学生時代からの大ファンだったという、手塚治関連の所蔵品

(手塚治から二人に贈られた、アトムとウランがダンスをする姿が描かれた絵、〈手塚治コミックコレクション〉等)

 

◆〈Mr.STの部屋〉シュルレアリスムに傾倒していたなかえ氏が1971年に訪問、以来瀧口氏の死去まで続いたという、愛ある親しい交流。

瀧口修造氏をモデルとした絵画・写真の他、互いに贈り合ったという「特別な品々」。

 

〈猫の絵本〉

(『ねこのジョン』、『55階のねこ』、『ねこかもね』、『のうさぎとねこのポチ』、『のらねこの詩』、『こねこのクリスマス』、『ねことこうまのものがたり』、『空からきたねこ』、『ことりとねこのものがたり』、『こねこはどーこ?』、『プッチン』)



 

〈赤ちゃん絵本〉

(『赤ちゃんの国の絵本』、『あかちゃんとおかあさんの絵本』シリーズ、『あれなーんだ?』、『おかあさん』)



 

◆マンガのコマ割りで評判となった『いたずらララちゃん』、

詩的な世界『風のメルヘン』、『青い風のおもいで』、『さようなら うさぎさん』

 


〈ねずみくん40周年おめでとう!絵手紙コンテスト応募作品〉

 子どもから大人まで、たくさんのファンから愛にあふれたメッセージが届けられていました。


物販コーナー
図録やぬいぐるみ、缶バッジのガシャポン、マグネット等も。


・・・以上の内容です。

 

♪~絵手紙コンテストのコーナーにあった手紙の一部を紹介します~♪

 

「ねずみ君へ 

ねずみくんのこい人はねみちゃんなの?ねずみくんは ねこはこわくないの?こわくなかったら、ねずみくんはすごいね。ねずみくんのとく長は なんですか?」

 

「ねずみくん ちいさいけどだいすき  ねずみくんへ」

 

「みんなの人気者で、思いやってもらってがんばりやで、いつもねみちゃんと仲よしで、いいですね。ぼくは ねずみくんみたいになりたいです。」

 

「ねずみくんへ  ねずみくんは わたしのことがすきですか?

わたしは ねずみくんのこと だいすきです。」

 

「ネミちゃん  ねずみくんにチョッキを作るのたいへんだった?やさしいね。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

なかえよしを・上野紀子の両氏による絵本の仕事は、『ねずみくんのチョッキ』シリーズ30作のみならず、私家版等も加えますとその数は210作品?にも上ります。

(ご本人も把握しきれないほどとのこと)


さらに40年に渡る年月の間には、様々な手法をもちいた「あたらしい絵本表現への挑戦」、そしてその中で築き上げられた両氏の「絵本論」が存在します。


なかえ氏については長年に渡る「後進の指導」も、その重要な功績としてあげられるのではないでしょうか。

(師のもとで「絵本」を学び、プロの絵本作家として育っていった作家はたくさんいます。)

 

この2人が日本の絵本界にもたらしたものー

「余白」の構成が生み出す世界、

「ナンセンス」の面白さ、

「シンプル」であることの面白さ、

「‟オチ“ありき」のストーリー展開、

「手法にとらわれない、表現としての絵本芸術」

・・・

 

数え上げればきりがないのですが、また私ごとで恐縮ですが、今後これらをきちんと考証した上で〈なかえよしを+上野紀子論〉を書いてみたいと考えております。

 


・・・・・

『ねずみくん40周年 なかえよしを+上野紀子の100冊の絵本展』

横浜・港の見える丘公園にあります神奈川近代文学館で開催中(8/29/28)です。

https://www.kanabun.or.jp/

9/20(土曜)1330~ なかえよしを氏による講演会があります。わたしも再訪します!

 

もりだくさんの展示内容。

すぐとなりにはイギリス風の庭園など、ロケーションも素敵です。

ぜひこの休日にでも足を運んでみてくださいね。

 


絵本コーディネーター 東條知美