◆4/18(土)開催、 21世紀 紙芝居学校vol.13 「紙芝居の楽しみ・絵本の楽しみ」(@かながわ労働プラザ)
                                                   まずは、
スズキコージさん 講演会レポートの続きです。


【高校時代】
とにかく情熱のままに描いていた高校時代。
無許可で学校中の廊下に自作の絵を展示して「スズキコージ パリ帰国展」をでっちあげてみたり(笑)、他にもこんなエピソードがあったそうです。

「ある日数学の教師に呼び出されたが、なんだかものすごい形相で怒っていて手まで震えている。
なんだろう?とその手を見ると僕のテストの解答用紙で「12点」となっている。おや案外いい点数だったじゃないか...と思っていると、数学教師が怒鳴って言った。
「鈴木・・・ これは数学じゃない・・・ 絵!だ!!」

X軸とY軸があったのえ、ちょっといろいろ描き込んでみたんですけど(笑)
ともかくこれは「絵である」と認めてくれたんですね。

僕はこんなふうに、まあ今でもたまに怒られたりしますけど、怒られてるってことは“やれている”ということじゃないかなあ、なんて思いますけどね」(スズキさん)



【デビューの頃】


上京して絵を描くスズキコージ青年18歳。
当時平凡出版にお勤めだった親戚の伯父様の紹介で、(疎開先が同じで伯父様の親友でいらしたという)堀内誠一さんがアトリエへとやってきます。

当時堀内誠一さんといえば...飛ぶ鳥を落とす勢いの大活躍イラストレーター。
堀内誠一さんに見出されたスズキコージさんの絵が、カラーで数ページに渡り雑誌(のちの『an.an』)に掲載されます。
「これが僕のイラストレーターとしてのデビューでした。」(スズキさん)


ほどなく瀬川康男さん瀬田貞二さん松井直さん、堀内誠一夫妻という
「いま考えると国宝級の絵描きさんたちが」、スズキコージ青年を励ます会と銘打って一席設けてくれたそうです。
銀座へ行けば(名シャンソン喫茶)「銀盤」で、(現在の)三輪あきひろさんが毎晩歌を聴かせてくれた...そういった時代のことだそうです。

スズキコージさんは、若くしてその才能を見い出されたアーティスト。
「励ます会」には都合こそ悪かったけれど、長新太さんも参加予定だったとのことです。
当時から、すごい面々に期待されていたということがわかります。



【その他】
スズキコージさんの講演の中で、印象深く思った言葉です。


「父にとことん否定されたことは、ぼくの原動力となっている。それがあったからこそ創り続けることができた・・・」


「地球にちょっと遊びにきた...というかんじでやっている。
生きている間は楽しくやっていきたいなと思う。それを見て面白がってくれる人々がいるというのはたいへんありがたいこと。」


「あと100年くらいしたらここに居るみなさんも僕もみんな居なくなる。
LOVE & PEACE でいきたいものだ。
僕の描く戦車の先端はどれもグニャリと曲がっている。弾が出ないように」

(スズキさん)

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そして
午後からは、「作家が演じる 出雲神話の紙芝居」 が行われました。

以下は「かみありづき」の紙芝居紹介サイトより。

http://www.kamiari.co.jp/kamishibai/index.html










【紙芝居実演の様子】


①『やまたのおろち』は、千葉晶さんにより実演されました。
(写真がうまく撮れませんでした。すみません・・・)

ちょっぴり不気味でおそろしい内容の神話。
途中「ドロドロドロ~」と効果音が聞こえてきそうな雰囲気の中、神話紙芝居のはじまりです。



②『いなばの白うさぎ』/長野ヒデ子さん

ささやくように穏やかな語り口調の長野さん。
冒頭、いたずらをして皮を剥がれたうさぎの痛々しさが伝わってきます・・・



③『根の国のものがたり』/渡辺享子さん



感情をこめ演じられる渡辺享子さん。命を狙われ追われるオオアナムジの緊迫感!



④『小さな神さま』/やべみつのりさん



オオクニヌシと小さな神様さまの「がまんくらべ」のエピソードを、声色を使い分けながらユーモアたっぷりに演じられました。
「うんこをがまんするのは楽じゃない!」
観客もおおいに(笑い、盛り上がります。



⑤『国ゆずりのものがたり』/スズキコージさん



オオクニヌシの治めるトヨアシハラノナカツクニの国が乱れてきて・・・
紙芝居実演には不慣れなようで、サポートしてもらいながら演じられたスズキコージさん。
しかしながら、却ってそのたどたどしさが観客の共感を呼び、
全体が、一所懸命に演ずるスズキさんを見守るかのように、会場は温かい雰囲気に包まれました。
(小学生なんて、スズキさんがつかえるたびに大喜び。こういうのもいいですねえ。)


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以上、
10時半~16時頃まで「紙芝居の魅力」「創作者自身の思い」にたっぷりと浸らせていただいた一日となりました。

とくに紙芝居の「同じ場で」「共感する喜び」は、今後ますますいろいろな場面で必要とされるのでは・・・と思いながら、会場を後にいたしました。


主催者さま、写真撮影の許可をありがとうございました。
紙芝居、面白いです!


(絵本コーディネーター 東條知美)