消費税、上がりますよ。
「何を買っておくべきでしょうか?」
「絵本も今のうちにぜひ♪」
というわけで、【前篇①~⑤】 http://ameblo.jp/bokurano-ehon/entry-11787000224.htmlに引き続き【中編⑥~⑩】をお届けします。
5%の今のうちに。
ゲッツ!!
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⑥『泣いた赤おに』
作:浜田廣介 絵:梶山俊夫 出版社:偕成社 税込価格:¥2,100 発行日:1993年
山の中にすむ心優しい赤おに。赤おにはずっと人間と仲良くなりたいと思っていました。そこで
「ココロノ ヤサシイ オニノ ウチデス。ドナタデモ オイデ クダサイ。オイシイ オカシガ ゴザイマス。オチャモ ワカシテ ゴザイマス」
と書いた立て札を、家の前に立てて待ちました。けれども鬼を恐れる人間たちには信用してもらえません。むしゃくしゃしながら立て札を壊す赤おに。
そこへ、遠い山おくの岩の家から雨雲にのってやってきた「おにのなかまの」青おに。
「たまにあそびにきてみると、そんな苦労で、きみは、くよくよしているよ。そんなことなら、わけなく、らちがあくんだよ。…ぼくが、そこで、うんとこ、あばれよう。……」
「しかし、それでは、きみにたいして、すまないよ。」
「なにか、ひとつの、めぼしいことをやりとげるには、きっとどこかで、いたい思いか、そんをしなくちゃならないさ。だれかが、ぎせいに、身代わりになるのでなくちゃ、できないさ。」
なんとなく、ものかなしげな目つきをみせて、青おには、でも、あっさりといいました。
(『泣いた赤おに』本文より)
浜田廣介の原作全文そのままの文章、梶山俊夫の素朴な昔話風の絵が味わい深い一冊。
赤おには、何を手に入れて何を失ったのでしょう。青おにはその後、どこで何を思っているでしょう。人間たちは、赤おにとずっと仲良くしてくれるのでしょうか・・・
あなたはこのお話に、なにを思いますか?
⑦『セレスティーヌ アーネストとの出会い』
作絵:ガブリエル・バンサン 訳:森比左志 出版社:BL出版 税込価格:¥2,520 発行日:1988年
作者ガブリエル・バンサンが1981年に絵本を描き始めて以来、亡くなるまでの19年間ずっと描き続けてきた「くまのアーネストおじさん」シリーズ。
シリーズ番外編の形で描かれた『セレスティーヌ アーネストとの出会い』は、ひとり気ままな生活を送っていたくまの掃除婦アーノルドが、ひろった(子ねずみの)セレスティーヌを育てることを決心します
独身男アーノルドの、母性にも似た感情(愛)の芽生えがセピア色のスケッチで、丁寧に描かれています。
スケッチ風の絵に添えられるのは、最小限のことば。
ことば以上に物語るのは、アーネストのひとつひとつの表情や動作。
かつて生前のバンサンはこう語っています。
「私にとって(あくまでも個人的な話ですが)描くことの喜びは「動かす」ことの楽しみです。登場人物は走ったり、歩いたり、転んだり、怒ったりします。内的な動きも表現します。登場人物の抱く感情を、態度、動作、目、口、眉、肩、手などで表すのです」
子どもにはむずかしい?いいえ、とんでもない。
〈絵を読み取る力〉はむしろ、子どもの方が優れていることがあります。
どなたさまにもおすすめします。
⑧『ながいよるのおつきさま』
作:シンシア・ライラント 絵:マーク・シーゲル 訳:渡辺葉 出版社:講談社 税込価格:¥1,680 発行日:2006年
まず手にとって驚くのは、表紙に描かれた満月の光の眩いばかりのうつくしさ。
それぞれの満月に名前をつけるアメリカ原住民の伝統に敬意を表して書かれたこの作品にふさわしい表現をするために、画家のマーク・シーゲルは「木炭」で描くという方法をとりました。
「木炭で描くことによって、すべての輪郭をやわらげ夢のような輝きで包みこむ、ベルベットのようなあの神秘的な光を再現することができた」と、あとがきで語っています。
Sap Moon
3がつは よつゆの おつきさま
こおりの とけだした いけのうえに
ねぼけがおの くまたちの うえに
ちいさな みどりの きの うえに
おつきさまは のぼる
はるの やくそくと
きぼうの ことばを はこんで
⑨『くまさぶろう』
作:もり ひさし 絵:ユノ セイイチ 出版社:こぐま社 税込価格:¥1,785 発行日:1978年
「せかいじゅうに ひとりきりいないくらいの、すばらしい どろぼうのめいじん」それが、くまさぶろうという男です。
子どもが歩きながら食べていたコロッケを、すいっと。
しゃれた紳士のさしていた傘を、すいっと。
動物園のゾウも「うちへもってかえるとしよう」 小さく縮めて、サッと。
何年かたってくまさぶろうは、レストランでごちそうを食べたご婦人の「まんぷくした気持」や、いじめっ子にいじめられたたっちゃんの「情けない気持ち」まで盗めるようになります。
たっちゃんの気持ちを盗んだとき、
くまさぶろうは、むねがちぎれそうになりました。
たっちゃんは、とびあがってさけびました。「よわむしなんかじゃなあいよ。なきむしなんかじゃなあいよ」
くまさぶろうは、町から町へと旅を続けています。悲しい心を盗んで歩いているのです。
今もどこかの町で、誰にも気づかれないところで人々の悲しみを請け負う・・・くまさぶろうに、グッとくる一冊です。
⑩『ペネロペ わるいゆめをやっつける』
作:アン・グッドマン 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン 訳:ひがしかずこ 出版社:岩崎書店
税込価格:¥1,680 発行日:2003年
水色のコアラの女の子「ペネロペ」。2006年11月~12月にかけて一話5分のミニ番組としてNHK教育テレビで放送された『うっかりペネロペ』の題名で、幼い子どもやお母さんたちには有名なキャラクターかもしれません。
わるい夢をみるのが怖くて、なかなか眠れないペネロペ。(子どもの頃、ありましたよね。)
そこでパパが、表紙に金の粉がついた古い本を持ってきます。その魔法の粉をほんの少し指にとって、ペネロペの鼻とおでことまぶたの上につけると、眠りについたペネロペに次から次へとすてきな夢が訪れ……
実際にこの本の表紙にはキラキラ輝く金の粉がついた特別加工が施してあります。
子どもはきっと、ペネロペのパパが持っている本を見て「おんなじ!」と喜びますね♪
キャラクターを決して甘いものに終わらせない、ゲオルグ・ハレンスレーベンの描く力強いタッチの絵が好きです。
語り口調はやさしく包み込むような雰囲気。
おやすみ前の一冊に、プレゼントに、どうぞ♪
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※『消費税upの前に買っておきたい〈1,500円以上の絵本〉15選』は【後篇】へと続きます。ご期待ください!
絵本コーディネーター東條知美