10/27から、「本と旅する 本を旅する」をテーマに
公益社団法人 読書推進運動協議会が主催する「読書週間」がはじまります。

10月20日付の読売新聞朝刊によると、世論調査では「1か月全く読まず53%」だそうです。
これを見ずとも、通勤電車内での人々の風景から、また自由時間のほとんどをLINEに費やす高校生の実態を知るにつけ、頭寄せ合い公園に座り込みDSに興じる小学生や、町の本屋が次々に閉まる現実・・・・・・そんなのとっくにみんな気づいている と思うと同時に、「本がもたらすよろこび」を共有する人の数が着実に減っている現実をつきつけられますと、「あーあ、つまんない」ことになっちゃってるナ」と 私は思うのであります。

そんな中で、「読書週間」。
本の仕事に携わる者のひとりとして、しばらく前から考え続けておりました
「本(絵本)の力」、「読書という行為のもたらすもの」について、絵本のご紹介とともに書き記してみようと思います。
が、よい機会ですので、今回はその前に・・・
「本を読もう」という呼びかけが大きく行われるようになったきっかけは、何だったのか?という点から、書き記しておきます。
(※絵本その他のご紹介は、後半になります。上記について興味のないという方は、直接後半へどうぞ。)

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◆「読書週間」について

※以前、こちらのブログで紙芝居作家やべみつのり氏の記事掲載に際してもお世話になりましたシャンテイ国際ボランティア会の発行冊子『シャンティ』2013年秋号 の特集「平和への願い 本のチカラ」でに読書推進運動協議会会長であり、子どもの本で知られる㈱小峰書店社長である小宮紀雄氏のインタビューにわかりやすくまとめられておりましたので、参照させていただきます。

「読書週間」は、関東大震災で大量の出版物が消失してしまった翌年(大正13)、日本図書館協会によって始められた「図書館週間」がルーツとなっています。
しかし昭和14年には「一般週間運動廃止令」により廃止に追い込まれ、第二次大戦中には、言論・出版・紙も統制されました。
敗戦後の日本の町は廃墟と化し、人々は食べるのが精いっぱいでした。
そんな中で3000社もの出版社ができ、物資が乏しい中で多種多様な印刷物が出されたという事実は、どういう意味を持つのでしょうか?

それは、
本を復活させることが命の復権に直結していると感じられていたからこそです。
日本人の個人の尊厳を取り戻したいという意気込みが作家や出版関係者に満ち、そこから「本を読みましょう」という呼びかけにつながったのです。

「読書週間」はそんな時代(1947・昭和22年)に生まれました。

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上記を読んでわかるように、もともと「読書運動」は、国を先頭に始まった運動ではなく、戦後「人々の尊厳の回復」を求め、「本の力」(「文字の力」といってもいいかもしれません)を信じる人々によって・・・自発的に生まれた動きだったのですね。

このように、戦後「本のチカラで尊厳を回復しよう」という意気込みではじまった「読書運動」。
ここに、200年前のドイツでかのグリム兄弟が民話を収集し出版するにいたる最初の動機・・・「祖国ドイツの復活」「愛国心」と通ずるものをふと感じたりいたしますが・・・それはまた別の機会に。


(後半へ続く)