やべさんはこれまでの活動について、目的は、

「各国発の作品が増えること」・「各国内の(絵本や紙芝居の)担い手が増えること」とおっしゃいます。

「現地発のよい絵本・紙芝居ができることこそ大事」であると。

「『(余所から)もらうモノ』と『(自分たちで)作りだしたモノ』って、やっぱり全然ちがうじゃない?」というやべさんの言葉に、深く頷いた私でした。

またSVAの活動も、1980年に始まった「絵本を贈る活動」から「各国発の絵本・紙芝居誕生へのサポート」「文化や図書館・教育の担い手の育成」へと重点を変化しつつあるようです。


『僕らの絵本』
(2007年アフガニスタンで。現地の人々とやべさん、佐藤凉子さん。)




今回やべみつのりさんから様々なお話を伺わせていただいた私にとっては、初めて知る現実が多くありました。日本国内の絵本事情や図書館事情を見ていただけの目には映ることのなかった世界です。

難民キャンプで、日本の団体とスタッフである若い女性がゼロから図書館を作り上げていたという事実。

難民キャンプや戦闘地帯に生きる子どもたちへ絵本や紙芝居の心が途絶えることなく届くようにと、現地での担い手を育成しているということ。

やべさんのような子どもの本の作家の皆さんが何度も現地へ足を運び、丁寧な指導を行っているという事実も知ることができました。


そして改めて、「絵本」「紙芝居」をはじめとした芸術作品や「図書館」が(困難な状況下にある人々にとって(※あるいはそうではない人々にとっても)どんな意味を持つのだろう?ということをより深く考えるようになりました。

これからもきっと、このことについてはずっと考え続けながら、本を手渡す仕事に携わっていくような気がしています。

やべみつのりさん、この度は貴重なお話を本当にありがとうございました!


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☆追記☆

やべさんは現在、「古事記編纂1300年」に関連した行事(島根県)のために、神話紙芝居を制作していらっしゃいます。やべさんの選んだ題材は「小さな神さま」。

こちらの新作紙芝居は、【『紙芝居』フォーラムinしまね】第3回の催しとして、5/25(土)に出雲大社に奉納された後、出雲会場で、5/26(日)に松江会場で作者により実演されます。

(詳しくはこちら→http://www.nakasuji.co.jp/kamiforum/forum.html  )

『僕らの絵本』

(神話紙芝居『小さな神さま。』アトリエで制作中のものを見せていただきました。)


(文責/東條知美)