東條:(『うそついちゃったねずみくん 』(※17.)を開いて見せる。)これが、なかえ先生のねずみくんシリーズ最新作ですね。

(※17.)
『僕らの絵本』


東條:シリーズはここまでで29作です。次が30作目。やっぱりこれはすごいことだなあと実感します。30作の積み重ねがすべてオチから作られているというのも、読み返してみると改めて面白いです。


西野:それこそ全部オチのある話ってなってくると・・・、先生、競争相手は誰になってくるわけですか?それ言うたら「全作」ですよね、自分の作った。前のやつを超えないことには、自分の中で恥ずかしくてとても出せないだろうから、どんどんどんどん・・・出せば出すほど首は締まってきますよねえ。


西浦:どんどんハードルは上がっていくわけですね、確かに。


東條:このたびのイベントに向けて、ねずみくんシリーズ全作品 (※18.)を改めて読み返してみたのですが・・・「ねずみくんがハナクソをほじっていたのをなんとか誤魔化そうとする」なんていうお話もあって。私にとっては新鮮な発見だったんです。

(※18.)
『僕らの絵本』


なかえ:もうね、ネタが切れちゃってね。() 編集者に相談しながら・・・

会場 笑)


なかえ:前は「夏(に売る絵本)がない」ってことで、海へ行ったねずみくんとか。今度のは、「梅雨時のがない」っていうんで・・・『あめあめふれふれねずみくん』。


西浦:それは音楽でも共通点がありますね。「クリスマスものを出せばいいんじゃないか」的な。やっぱ季節ものは、ね。ひょっとしたら漫才でもあるかもしれないですけど。


なかえ:いやな作り方ですけどねえ。()


西野:いやな、ですか。ミット構えられて「ここ来い!」って言われるのは。


なかえ:出てこないときは、ヒントをもらえれば・・それで考えればいいわけで。


『僕らの絵本』


西野:音楽でもそうじゃないですか?「こういうこと歌っちゃったら、もうこのこと(素材)は使えないなあ」みたいな。歌詞なのか曲調なのかはわかんないですけど・・・「アレと一緒や」みたいなこと、言われちゃうかもしれないわけだから。


西浦:僕は作詞は多少するんですけども、いわゆるアーティストも「あいつら変わっちゃったよな」みたいなこと言われることはあるんですよ。

自分も(子どもの頃)聞いてた時は、「なんでこいつら変わるねん!」「変わらなくていいやんけ!」と思ってたんですけど、やっぱり創作側に立ってみると・・「なにかを乗り越えていかないといけない」みたいなのは、思うんです。

『僕らの絵本』


西野:西野カナちゃんみたいに「会いたい」「会いたい」をずーっと言い続けるのも、あれはあれでスタイルだからいいんですけど、でも(自分は)「また一緒やん」って言われるのが嫌だから。


『僕らの絵本』


西浦:そうなんですよね。同じ位置に居るっていうのは、けっこう・・美学ももちろんあるんですけど、やっぱり「変わりたい」って思う創作者側の気持ちも実体験でわかるようになってきたというか。どっちがいいのかは、また悩ましいとこなんですけども。


西野:それを思うと、まず、絵本を200冊って・・・異常な数字やと思います。僕、まあ難しいですね。話200個作れって言われたら。


なかえ:それだけ年とってるっていうことだから。 知らないうちに(200作以上に)なっちゃうわけですからね。だから今、すごい嫌。年とっちゃったなあって。(笑)


(会場 笑)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(記録⑧へ続く。)