(※対談記録の中では、発言者の氏名を省略させていただきます。[天沼春樹さん⇒天 北見葉胡さん⇒ 東條⇒]


またライヴならではの臨場感を生かすため、各発言についてはなるべくそのままの形で掲載させていただきました。ご了承ください。)
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『僕らの絵本』 (北見先生HPギャラリーより「あかずきん」)

(記録⑨の続き)


「北見先生のご趣味は〈いきものに話しかけること〉と伺いました。」


「はい() この趣味は自分のホームページにも載せております。皆さんもぜひ(いきものに)話しかけてみてください!猫をはじめ・・・スズメ、カラス、あとはちっちゃい虫なんかにしても、話しかけると必ず対応していただけますよ。やってみていただければわかります。特にカラスなんかは、(話しかけると)ものすごく嫌がっている空気を感じます。」

(会場 笑)


「そんなことも含め、もう可愛くて可愛くてしようがないんです。イモリにしてもヤモリにしても、とりあえず話しかけますね。いきもの全般が好きです。

話は変わりますが、そんなわけで先ほど(休憩時間に)は、こちらの書店さんで販売していらっしゃる・・・キノコと昆虫の写真集が目に入りました。とくに昆虫の方はすごく変わった昆虫を集めた図鑑のような内容で、私は目が釘付けになってしまいました。皆さんもぜひ、そこにある写真集の数々をご覧になってみてください。」


「そういえばその時、北見先生はうさぎの写真集を見て泣いてしまわれていましたね。最後、可愛がって飼われていたうさぎが死んで埋葬されるシーンで終わる写真集なのですが。」


「あ!ちょ、ちょ、ちょっと!それはあの作品のオチ・・・」


「あ!ごめんなさい。そこはオチを言ってしまったら駄目ですよねえ・・・」

(会場 笑)


「うさぎの頭の上にいろんなものを載せて撮影した、それはそれは可愛い写真集なのですが、最後どうなるのかなあ・・なんて思いながらページをめくっていくと・・・そこから先は皆さん実際に見てみてください。


「もう(東條がオチを)言ってしまってるじゃないですか!」

(会場 笑)


「ともかくですね、そのシーンをご覧になった北見先生がふいに泣いてしまわれて。この感受性もまた、作品を生み出すための原動力、賜ではないかと私は感じました。」


「天沼さんには「年のせい」とつっこまれました()

(会場 笑)

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「創作についてもう少し伺います。天沼先生の場合、作品はどういったタイミングで生まれるのでしょうか?(作品の浮かびやすい)場所やシチュエーションはありますか?(先ほどのお話にありましたが)すべて悪夢からというわけではないのでは。」


「絵本をつくるときと他の創作のときとでは、まったく違います。〈絵本をつくりたい〉と思ってはじめるわけではなく、〈そこに絵描きがいた。だから出来た〉ということ。この人の絵が良いなあ・・という気持ちからはじまるので、【絵からはじまる物語】なんです。カッコイイなあ、これ()メモしてね。」

(会場 笑)


「先ほどから(プロジェクターで)映している北見さんの絵の数々、本当に良いでしょう?」


「ありがとうございます。」


「最初の出会いは、(北見さん作の)ポストカードを出久根育さんからもらったことがきっかけだったんです。「天沼さんが好きそうな絵よ」と渡されて。」

「そうだったのですか。」


「それから(北見さんに)会うまでにかなりの時間がありましたけど。(北見さんの絵には)ちいさなものがいろいろと描かれていて・・・いいよねえ。」


「いきものが好きなので、とにかく〈ちっちゃなもの〉が自分の作品によく出てきます。どうしても、萌えポイントなんです。」


「実は『リトル・レトロ・トラム 』にも、たくさんの〈ちっちゃなもの〉が隠れているんですよね。うちの息子は、それらを探し出すことをたいへん面白がって、『リトル・レトロ・トラム』を読んでいました。」


(創作については)「絵を見て、たとえば「この階段はどこへ続いているのだろう」とか。絵をきっかけに始まることが多いんです。絵本の創作の場合は。」


「なるほど・・・。」

(続く。)