軍隊などで、味方から誤射されることを「friendly fire」という。

 

友人からの誤解に基づいた裏切り行為なども、比喩表現として「friendly fire」という。

 

 

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これまでのいきさつ:

 

我が家にトコジラミがいる。

 

トトリはトコジラミ対策を色々したが、意味がなかったと思うのは「ドア周りに貼ったツルツルテープ攻撃」。

 

*****

 

 

 

 

 

話は冬まで遡る。

 

その夜は予報どおり雪が降っていた。

 

ここは滅多に雪が降らない地域なので、数センチ積もっただけで交通網に混乱をきたす。

 

雪国の人からしたら信じられないことだろうなと思つつ、街の様子を報じるニュースを観ていたところ、突然テレビが映らなくなった。

 

何かのエラー表示が出ている。

 

 

ひょっとして……

 

アンテナに雪が積もって倒れたのだろうか。

 

曲がってしまったのだろうか。

 

 

 

 

翌朝、外に出て屋根の方を見てみたが、アンテナは倒れておらず、曲がってもいないように見えた。

 

けれども、映らないからには何らかの異変はあるのだろう。

 

早速業者の人を呼ぶことにした。

 

 

 

 

業者の人が来ると、

 

「まずは、家の中を見せていただいてよろしいですか」

 

と言われた。

 

 

えっ!

 

家の中に入るの!?

 

 

アンテナの差込口を見たいのだという。

 

 

えー……

 

 

てっきり、屋根の上でアンテナを修理するだけだと思っていた。

 

まさか家の中に入られるとは思ってもみなかった。

 

だから、「アレ」がそのままだった。

 

 

 

 

 

仕方なく家に上げ、テレビのところまで案内した。

 

そのため、見られてしまった。

 

各部屋のドア周りに貼ってある「トコジラミ対策テープ」の存在を。

 

 

透明のツルツルテープの下に貼ってある養生テープは、買いに行ったとき緑か青しか売り場になかった。

 

なので緑を買ったのだが、それがいっそう「引越作業中かリフォーム中か」みたいな雰囲気を醸し出していた。

 

 

 

 

 

テレビが映らなくなった原因は、アンテナではなく家の中にある分配器にあるようだった。

 

分配器を直してもらい、無事にテレビが映るようになった。

 

全部のチャンネルがきちんと映るかなどの確認をしていたところ、夫が書斎から出てきた。

 

 

「テレビ、直った?」

 

 

 

業者の人は、夫と故障原因などについて少し話しあったあと、ふいにこんなことを尋ねてきた。

 

 

「ところで、最近リフォームをされましたか?」

 

 

リフォーム時に分配器をいじったかとか、そういうことが聞きたかったのかもしれない。

 

なんか、リフォームしたっぽい痕跡のある家だし。

 

(養生テープはリフォームのためでなくトコジラミ対策なのだけど)

 

 

 

 

 

夫は普通に「いいえ」と答えたが、わたしは焦ってしまった。

 

「言い訳をしないと、トコジラミ対策のテープとバレてしまうかもしれない!」と思ったからだ。

 

今思えば、ドア周りにヘンなテープが貼ってあるからといって、「ということは、この家にはトコジラミがいる!」なんて連想されるわけはない気がするけど。

 

あのときは、焦ってしまったのだ。

 

だから、ヘンな言い訳をしてしまった。

 

 

 

 

 

「その養生テープは、リフォームのためじゃないんですよ。あのー、ちょっと、これからDIYをしようと思っていて」

 

 

あはは、と笑ってごまかす。

 

 

「そうなんですか」

 

 

業者の人はサラっと流してくれた。

 

 

なのに!

 

 

「えっ、トトリ、DIYするの? これって、そのためのテープだったの!?」

 

 

まさかの、夫が食いついてきた。

 

 

「DIYって、何する気?」

 

 

「……」

 

 

 

 

 

「このテープが必要なDIYって、なんだろ」

 

 

まさかのしつこさ。

 

 

 

フレンドリー・ファイヤー!

 

 

お察しください!

 

DIYなんて嘘です!!

 

 

 

ちなみに、寝室にもテレビがあるので、それも確認された。

 

当時はまだマットレスや壁にハエ取り粘着シートを貼りめぐらす前だった。

 

貼った後でなくて本当に良かった……

 

 

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