「わたしのトコジラミブログね、コメントで『面白い』とか『笑いあり涙あり』とかって褒めていただいたの。えへへ♪」

 

夫にそう報告したところ、夫から

 

「ん? トコジラミのことを書いてるブログなんでしょ? どこに面白くて笑える要素があるわけ?」

 

と不思議がられた。

 

「トトリ、いったいブログに何を書いてるんだ?」

 

えへへ。

 

内緒だよ。

 

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これまでのいきさつ:

 

トコジラミに振り回されて右往左往しているトトリ。

 

我が家にトコジラミがいることを信じていない夫。

 

ヤギミルクを飲んでる愛犬・ルディ。

 

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以前書いたとおり、トコジラミに刺されたときの痒みの有無も、痒みの度合いも、刺され跡の様子も、すべては人それぞれだ。

 

それは、「どんな種類の痒みか」にも言える。

 

先日、ユーチューブでトコジラミ体験を語っている人を観た。

 

その人は、「とんでもない痛みと痒み」と表現していた。

 

「とんでもない痛み」を伴う痒みという体験談は初めて聞いた。

 

そういうケースもあるのか。

 

 

 

 

 

カズキさんは、「ひたすら、とんでもなく激しい痒み」だったと言っていた。

 

トコジラミに関する報道を見る限り、そのような感じ方をする人が一番多い気がする。

 

 

一方、わたしが感じるのは、「独特な痒み」だ。

 

どんな風に独特なのかは、言語化するのが難しい。

 

とにかく奇妙な独特さなのだ。

 

でも、「独特の痒み」だなんて言っている人は見たことがない。

 

こんな風に感じているのは、わたしだけなのだろうか。

 

 

 

 

しかしネットで探したところ、たった一人だが見つけることができた。

 

トコジラミの痒みは独特だと言っている人を。

 

 

やはり独特と感じるも人いるのか!

 

そうか、そうか!

 

 

同じ感覚の人がいたからといって何がどうなるわけでもないが、同類がいることに安心してしまう。

 

そう、わたしは「みんなと一緒がいい」という日本人気質の権化なのだ。

 

 

 

 

ところでこの「独特な痒み」だが、不思議なことに何度も刺されるうちに「独特さ」が薄れてきた。

 

なぜだろう。

 

たとえば家が臭くても、その家の住人は鼻が慣れてしまってその臭さに気づかない。

 

それと同じ原理なのかもしれない。

 

独特の痒みに慣れたが故にその独特さに気づかなくなってきた、とか。

 

 

いずれにしろ、わたしのトコジラミ被害状況は次のとおりだ。

 

読むと、「それはトコジラミ被害ではないのでは?」と思う人もいるかもしれないし、そうであって欲しかったけれど……

 

実際にその後わたしはトコジラミを捕獲しているので、あしからず。

 

 

 

 

 

 

刺され跡→小さな赤い点があるか、または赤い点すらない。周囲も腫れない。

 

痒みの種類→当初は奇妙な独特さがあったが、今は独特な感じはほとんどない。

 

痒み→ごく軽い。蚊に刺された時よりずっと軽い痒み。

 

痒みの持続時間→朝起きたとき痒いと思っても、15分もすれば痒くなくなる。ただし、何度もぶり返す。

 

 

不幸中の幸いは、やはり「たいした痒みではない」ことだ。

 

色々な人の話を聞くとわりと高確率で「痒くない」人に遭遇するので、以前聞いた「一家に一人くらいの割合で刺されても痒くない人がいる」というのは本当なのだと思う。

 

 

 

 

 

 

もしわたしに激しい痒みがあったなら、夫の意見がどうだろうと勝手にベッドを捨てただろう。

 

もしわたしの被害が報道で見かけるような「見るからに痒そうな刺され跡」を伴っていたら、夫もすぐにトコジラミの存在を信じただろうし、寝袋生活にも同意して本気でトコジラミ駆除に乗り出してくれたと思う。

 

でも、そうではなかったから。

 

だから、こんな感じ(夫はトコジラミを信じておらず、わたしもベッドを捨てるという強硬手段に出ていない)になっているのだ。

 

 

 

 

とはいえ、身体的被害が少ないからと放置していては、一大トコジラミ帝国ができてしまう。

 

以前の記事に書いたあの大きな血糞を見るかぎり、トコジラミはわたしの血液を沢山吸って快腸に快調に勢力を拡大しているに違いないのだから。

 

……待てよ。

 

ふと、わたしの脳裏にある考えが浮かんだ。

 

我が家にいるトコジラミのすべてはトコジラミのビッグマザーから始まっているわけだが、その糧となってきたのはわたしの血だ。

 

トコジラミ帝国は、わたしの血から作られている。

 

つまり、我が家のトコジラミ帝国のすべてのトコジラミは、もはやわたしと血を分けた血族と言えるのではないか!?

 

 

 

 

 

 

この思いつきを夫に話すと、夫はフッと笑ってわたしが手にしていたマグカップを指でトントンと叩いた。

 

マグカップの中で飲みかけのホットミルクがかすかに揺れた。

 

「トトリ、よくホットミルク飲んでるよね。牛乳って牛の血液から作られてるんだけど、トトリは牛の血族なのかい?」

 

……ルディはヤギミルクをよく飲んでいるが、ヤギの血族ではなかった。

 

うん、ま、知ってたけどね。