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これまでのいきさつ:

「家にトコジラミがいる」疑惑があるものの、夫に物証を見せることができないトトリ。

しかしついに、吸血被害がはじまった……!?


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翌朝、目を覚ましたわたしはすぐに確信した。

 

「やっぱりいる。トコジラミがいる」

 

目を覚ました夫に、

 

「やっぱり刺されてるよ!」

 

そう報告すると、夫はすぐに起き上がり、布団をめくった。

 

深夜にわたしが「刺された」と言った左足の甲を確認する。

 

「なんともなってないけど」

 

「違うの。刺されてるのは、手なの」

 

「え?」

 

夫は、わたしの差し出した左手を手に取った。

 

「え……これ?」

 

わたしの手の甲をまじまじと見たあと、夫は困惑の表情を浮かべた。

 

「……これは違うんじゃない? ネットで見たトコジラミの刺され跡と全然違うよ」

 

 

 

 

わたしの手の甲には、三ヶ所ほど、赤い点ができていた。

 

例えるなら、赤いボールペンの先でちょんと触れたかのような、小さな点。

 

蚊に刺されたときのように膨らんでいるわけでもなく、ただの小さな赤い点だ。

 

「どうしてこれがトコジラミに刺されたものだと思うの?痒いの?」

 

「たいして痒くはない」

 

それは、ごくごく軽い痒みだった。

 

でも、なんだかおかしな痒みだったのだ。

 

じんわりと広がる、奇妙な、独特の痒み。

 

「わたしには分かる。これ、絶対にトコジラミに刺された」

 

「……」

 

この朝、わたしは確信した。

 

もう絶対に間違いない。

 

うちにはトコジラミがいる。

 
 
 

 

 

その夜、何の気なしに夫と共用で使っているタブレットの検索履歴を見たところ……

 

「ノイローゼ 思い込み」

 

そんな検索履歴があった。

 

ちょっと!

 

わたし、トコジラミ・ノイローゼと思われている!?

 

違うってば!

 

本当にいるんだってば!
 

「トコジラミはいる!」としつこく主張したところ、タブレットの検索履歴が増えていた。

 

「ノイローゼ 治し方」

 

違うってばー!