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これまでのいきさつ：
トトリ（わたし）が目撃した虫がトコジラミなのか否か。
確定できない中、カズキさんからトコジラミ体験談を聞く。
そして、トトリ家の場合、駆除はカズキさんの家より難しいだろうと言われる。
その理由は、「室内犬がいるため、殺虫剤を部屋中に撒けないから」だった。
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そうだった。
そもそも我が家は、部屋中に殺虫剤を撒くことなんて出来ないのだった。
殺虫剤の中には「ペットがいても使える」と謳っているものもあるが、健康な若い犬ならまだしも、我が家にいるのは高齢犬。
殺虫剤成分を舐めたときの影響が心配だ。
ん？
まてよ。
わたしは、なんとか虫を見つけ、うちにいる虫がトコジラミだと確定したら業者に頼もうと思っていた。
でも、その業者は薬剤を部屋中に撒くと言っていた。
床も含めて、部屋中に。
しかもその薬剤を、二か月は掃除せずにそのままにしておくようにとも言っていた。
……ダメじゃん！
うちは、あの業者に頼めないじゃん！
「殺虫剤を使わずにトコジラミを撲滅させるのって、かなり大変だろうなぁ……」
カズキさんの言葉に、絶望的な気持ちになる。
でも。
「まあ、トトリちゃんの家にトコジラミがいたとしても、まだ初期で数は少ないだろうし。部屋全体には殺虫剤を撒けなくても、ワンコが触れない場所限定なら撒けるだろうし。なんとか頑張ろうよ」
「頑張って」ではなく「頑張ろう」と言ってくれたところが、なんだか連帯してくれている気がして、心強く思えた。
ーーしかし、この時のわたしは、まだ知らなかった。
吸血被害の始まる日が、刻々と近づいていることを。