


かわいらしいシーンに遭遇した。
祖母と、つばの広い帽子をかぶった小さな孫娘が公園をお散歩中。
孫娘が、タンポポの綿毛の前でしゃがみ込んだ。
それを摘んで、祖母を見上げる。
「このタンポポの種、ばぁばのお庭に植えたい!」
おばあちゃまは、困ったように笑っていた。
「タンポポの種はちょっと……やめとこうね」
「どうして?
ばぁばのお庭、タンポポ畑になるよ!
かわいいよ!」
あたたかな土曜日の午後。
心まであたたかくなる光景だった。
微笑ましい気持ちでその二人の横を通り過ぎたとき、ふと、京都のあの事件のことが頭をよぎった。
大切な孫を、娘の夫に殺されたおばあちゃま。
同じ「祖母と孫」でも、あちらは今……
その心中は、察するに余りある。

そういえば、容疑者のスマホやカーナビの位置情報の分析が「靴とご遺体の発見」につながったというニュースを観た。
なんてバレバレな隠蔽工作だ。
この容疑者について
「パソコンに詳しい」
みたいな記事を読んだけど、全然詳しくなさそうなエピソードだな……
ちなみに、事件前にスマホで
「遺体の遺棄方法」
を検索した形跡もあったとのこと。
え、まさか事前に計画を……?

ところでタンポポには、タンポポの花言葉のほかに「綿毛の花言葉」がある。
綿毛の花言葉は、
「別離・別れ・旅立ち」だ。
「ふ~って種を飛ばしてごらん」
背後からそんな声が聞こえてきた。
「ばぁばも一緒にしよう」
「じゃあ、せーの……」
そっと振り向くと、
二人が綿毛を宙に飛ばしているところだった。
綿毛は風に乗り、
どこかへと消えてゆく。
心があたたかかったり寒かったりする、春の午後。
わたしはそっと
ルディを抱き上げた。


