「perfect days」(前編)と居酒屋のつきだし(大根の浅漬け)  | ボクらの映画めし

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映画に出てきたごはんを作ってみた。なるべくヴィーガン

あまりにも今の自分にフィットする映画だったので、書き出すときりがないのだけど、ひとまず甲本雅裕店長の居酒屋に行ったつもり。

 

 

平山(役所広司)の仕事は、東京の公共トイレの掃除で、毎朝、近所の道路を掃く箒の音で眼ざめ、清潔で几帳面な朝のルーティンから、玄関ドアを開けて空を見上げいい顔して、さあ、仕事へ。

 

掃除道具満載の車の運転席で、毎朝のお祈りのように、カセットテープを選び、ガシャン。流れるのは、60年代70年代のほぼ洋楽だ。


このへんでもう、過去にたっぷりの経験と苦悩を食べて自分の身体を作ってきたおじさん、という像が私の中に仮に出来上がる。

 

仕事を終えると、自転車で銭湯へ。一番風呂を満喫し、地下街の居酒屋へ向かう。

 

席に着くとすぐに、甲本雅裕さん店長が、いつもの焼酎の水割り?とお通しを運んできて、顔の前で両手をパーにして「おつかれさん!」と。

これ、言われたい~💛

 

なにを食べてるのかわからなかったけど、平山は、細長い何かを箸でつまんで、ゆるい顔して満足そうに飲んでたよ。

※わたしのつきだしは、赤かぶと大根の拍子切りに、塩と米酢、柚子の皮。平山さんのふりして座ってるのは、うちの猫ましろくんでした(冒頭の写真)

 

 

この映画の公開終了前夜のこと、友人Y子がやってきた。私が最近読んであまりに面白かった本「家事か地獄か」(稲垣えみ子著,マガジンハウス)を借りたいから行くねと前日に連絡をもらっていた。

 

来るなり、せっつくように「ねえ上がっていい?〇〇くん(うちの息子)いる?」と言うので、何事かと思えば、さっき「映画館で見かけたのよ」とのことで

 

話が止まらないので「晩御飯食べる?」「うん」となり、「ネタばれ厳禁」と叫ぶ私をしり目に、すでに観ていた夫も混じって、ごはん&絶賛映画評論会となった。

 

で、私も観ないわけにはいかなくなった(笑)

 

それはさておき、彼女が借りに来た「家事か地獄か」は、「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」(1975年公開,シャンタル・アケルマン監督)の、半世紀後の答えであると、前回書いた本である。

 

 

平山の暮らすアパートは、テラスハウス形式の古い木造住宅で、1階に台所と、小さな部屋があって、そこには、ソファとか風呂のイスとかの家財道具とともに平山の過去が押し込まれていて

 

彼の生活は二階の一部屋と、彼が植物を育てている小部屋と、洗面所兼台所で完結している。

 

部屋の片隅に、きちんと布団がたたまれていて、タンスがひとつ、あとは本とカセットデッキとテープと、寝る前の読書に使う電気スタンド。

 

 

まさに、「家事か地獄か」の著者、稲垣えみ子さんの部屋と暮らし方なのだ。トイレの便器を中まで、雑巾でごしごしするお掃除ぶりも、同じだ~と思った(笑)

 

大きく違うなと思ったのは、彼が過去(の家財道具)を捨ててないことと、ご飯かな。

 

長くなるので、続きはまた次回とします。