BL(ボーイズラブ)と言うと、美男と美男がロマンチックな恋をするだけの漫画、と想像する人が多いんじゃないでしょうか。

 

実際は、そんなことないんですよね。

 

 

もちろん、美男と美男がロマンチックな恋をするだけの漫画も多くあるけれど、社会派なBL作品や考えさせられるBL作品も数多くある。

 

少女漫画と違い、ターゲット層が「大人」の女性だから、恋愛漫画の域を超えて、多くの方に読んでもらいたいと思うほど深いテーマになっていたり。

 

その中から、いくつか作品を紹介する。

 

 

 

男性同士のキラキラ恋愛より、「LGBT」寄りの内容になった漫画。

 

主人公が出会ったのは、スカートの制服を着た男子高校生。

女の子になりたいのかと思いきや、動作はガサツな男子そのもの。

そのチグハグさの理由は、彼の母親にあった。

彼はゲイだった。

その事実を母親にカミングアウトした後日、彼に用意されたのは、スカートの制服。

「気づかなくてごめんね。心は女の子だったのね」母親はそう言って男子高校生を慰める。

本当は違う。

女性として男性が好きなんじゃない。男性として男性が好きなんだ。

けれど、彼は母親の心情を察してしまった。

母親は理解して認めてくれているようだけど、実際は認められなかったのだ。

「男として男が好き」という息子を。

その心情を察した彼は、スカートなんて履きたくないと思いながら、母親を傷つけないために、スカートの制服を履き続けている…。

 

 

 

恋愛漫画の域を超えた、壮大なエログロファンタジー漫画。

 

動物の死骸を拾い集めては、周囲から激しく否定される、異常性癖の男子高校生が主人公。

ある時に召喚した魔界の大公爵・Jに見そめられ、主人公は悪魔として転生する。

そこは、上級の悪魔の「名」を呼べない世界。自分より上級の悪魔の名を口にすると、魂ごと砕け散ってしまう。

だから、上級の悪魔の名を呼ぶ時は、みんなイニシャルで呼ぶ。

主人公は、愛しくも憎いJを超える悪魔になるために奮闘するが、悪魔界で成り上がって地位を築いていくうちに気づく。

イニシャルで呼ばれるような、上位の悪魔になればなるほど、孤独だと。

つまり、魔界の大公爵であるJは、誰も本名を口にすることができない。誰も本当の名を知らない。

何百年も名を呼ばれぬ孤独なJは、なぜ主人公を悪魔にしたのか…。

 

全3巻だけど、その3巻にギュッと要素が詰まった、重厚なストーリー。

BL漫画とは言い難い、思いっきりファンタジー漫画。

 

 

 

BLで人気の世界設定「オメガバース」。

 

男女という性別に加え、「α」「β」「Ω」という性別のある世界。

(男性α、男性Ω…女性α、女性Ω…と言うように、性を2つ持っている)

 

αという性別は生まれつき有能なことが多く、社会的地位が高い。

由緒正しい家柄の人間にはαが多く、政治家、弁護士、医者などのエリートとされている職業もαがほとんど。

 

逆に、Ωという性別は社会的地位が圧倒的に低い。

どんな才能を持っていてもΩというだけで出世は望めず、男性でも女性でも妊娠できることから、「股を開くことしか能がない」などと学生時代から差別を受ける。

 

男性でも妊娠可能なΩ性には定期的に発情期があり、フェロモンを出してしまう。

フェロモンを抑える薬を服用していても漏れ出してしまうことがあるから、性被害を受けることも多い。

けれど、そんな時に庇われるのはαの方であって、「フェロモンを出しているΩが悪い」で済まされる。

 

αの発情を抑える薬、Ωの発情を抑える薬にも、格差がある。

αの薬はなるべく副作用がないように改良され、服用した時の作用について詳しく調べられているにも関わらず、Ωの薬には重大な副作用がいくつもあり、その副作用についても詳しく調べられていない。

自衛のために薬を服用しても、記憶障害という重大な副作用を引き起こす。

 

このように、オメガバースの世界設定は、α尊Ω卑の世界で、少し前の男尊女卑社会に類似している。

 

性被害を受けても「肌を露出していた女性が悪い」だとか、能力があっても出世が望めないだとか、妊娠出産できる機能を軽視され揶揄されるだとか、

 

現実でも起こっていた社会構造を、さらに生々しく描いている。

 

オメガバース作品を読む時は、大体初っ端から表情が歪む。

最終的にはハッピーだったとしても、Ωのキャラクターは不憫な人生を送っていることがほとんど…。

 

 

 

他にも色々と紹介したいけれど、あまりに長くなるので…。

 

恋愛漫画を読まない人からしたら、BLなんて…と思うかもしれないけれど、本当に作品の内容は多種多様。

 

ボーカロイド楽曲も、歌っているのがボーカロイドという点が同じなだけで、楽器のほとんどが打ち込みの曲、楽器をすべて演奏して録音している曲、ポップス、メタル、ロック、バラード、ダンスミュージックと、多種多様。

 

男性同士の恋愛が主軸なだけで、本当に様々な作品がある。

 

多くの方に勧めたい!そう思える、何気に深いジャンル。