私は、ずっと兄に虐げられてきた。
「兄弟なんてそんなもん」と言われがちだが、兄との関係は度を越していた。
体重があってラグビーをやっている兄。
痩せた女の子だった私。
ずる賢く、陰湿で、外面のいい兄。
発達障害と軽度の知的があり、対等に争えない私。
いつだって暴力で従わされる奴隷で、どんなに理不尽でも口を閉ざして耐えるしかない。
小学生から中学生の頃にかけて性被害にも遭い、でも誰にも言えなかった。
「兄に体を触られた。脱衣所に入ってこられた。入浴中に盗撮された」
それを言って誰よりも傷つくのは、両親だからだ。
学校ではいじめられ、両親には何も理解されず叱られて、兄の魔の手が不安で睡眠も入浴もリラックスできない。
誰も助けてくれない。どこにも居場所がない。
兄はただの犯罪者。なのに、兄弟だから許すのが当たり前みたいな風潮。
そうして私は、統合失調症を発症した。
弟は生意気だし、だらしないし、腹立つこともある。
けれど、決して私にひどいことをしない。私の存在を踏みにじらない。
私の存在を尊重してくれる。
時にはお互いにイラッとしつつも、互いの存在を尊重し合える「普通の兄弟」でいられることが、嬉しくてたまらない。
私が健常者のようにできない部分も「ホントに何やってんの笑」と笑って流してくれるし、「どうしてそれができないの?」と疑問に持つことがあっても、「そういう特性がある」と言えば、理解してすんなり受け入れてくれる。
誰かに何かを言われたわけでもないのに、私がどういう状況でどう困っているかを察知して、さりげなくサポートしてくれたこともある。
兄と弟は、こんなにも違う。
兄と私は、主人と奴隷。加害者と被害者。
それなのに、母は兄ばかりを贔屓する。
初めての我が子、一緒にラクビーに熱を入れていた、現在は離れて暮らしている。
でも、弟とは性格の相性が悪い。(周りから見たら同族嫌悪)
そういった理由も相まって、母は兄が一番まともで一番かわいいと言う。
それを聞くたびに、私は暴れ回りたくなる。
兄は外面がいいだけ。兄は私の心を殺した。