会計事務所で働いていた頃、上司からこんなことを言われました。
「才さん、勘定科目にあまりにこだわっても意味ないよ」
別の上司からは、こんなことを言われました。
「費用の計上を忘れたら、税務署は喜ぶと思わない?」
この二人の上司が言わんとするところ、お分かりでしょうか?
前者の上司は、こう言いたかったのです。
「勘定科目を多少間違えても、費用として計上されている以上、さほど大きな問題にはならない」
例えば、旅費交通費として計上すべき費用を間違えて新聞図書費として計上しても、費用として計上している以上、収益-費用=利益の計算結果は変わりません。
費用の内訳にミスが生じるだけで、最終的な計算結果(利益)に違いは生じないんですよね。
ですから、「あまり神経質になるな」と言いたかったのでしょう。
後者の上司が言いたいことは、お分かりですよね。
費用の計上を忘れる
↓
収益-費用=利益、の費用の部分が減る
↓
その分、利益が増えて計上されてしまい、納税額が増える
↓
税務署が喜ぶ
したがって、費用の計上を忘れたとしても、税務調査で追徴税を課されるリスクがないというわけです。(その分、顧問先からは怒られますが…)
こういったことを上司から教わらなくても自分の頭で考えられる人が本当に頭の良い人で、仕事ができて出世するのはそういうタイプです。
あなたは、そういうタイプになれるでしょうか?
受験と実務は、大きく違います。
いや、むしろ正反対と言ったほうが適切かもしれません。
受験→正確な勘定科目で処理することにこだわる→○
実務→正確な勘定科目で処理することにこだわるあまり、仕事に時間がかかり過ぎる→△
このように、正反対と言っても過言ではない現実もあるんですよね。
簿記受験で落ちこぼれても、自信をなくさないでください。
もしかしたら、あなたは実務向きなのかもしれません。
才