棚卸資産の払出単価の計算方法~先入先出法~ | 簿記スクール メイプルのブログ

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みなさん、こんにちは!

 

簿記の教室メイプルのみなみです。

 

今回は、棚卸資産の払出単価の計算方法のうち先入先出法についてお話しさせて頂きます。

 

先入先出法は簿記3級の頃から、商品有高帳の作成等で登場しているので、とても馴染みがあると思います。

 

いまさら、意義を申し上げるまでもないと思いますが、この方法は先に仕入れた商品から先に払い出したと仮定して、払出単価の計算を行う方法です。

 

簿記3級の講義でも強調するところなのですが、ポイントは「仮定」するというところです。先入先出法の場合は、前回の個別法のように、単価が異なるからといって分けて管理しておくようなことはしません。1個100円で買ってきた商品も120円で買ってきた商品も、倉庫の中ではごちゃまぜになっています。なので、今、払い出した商品が1個100円のものなのか、120円のものなのかは、もうわからなくなっているのです。でも、わからないと商品有高帳を作成できない、言い換えると、払出単価をいくらにしていいかわからなくなってしまうので、だったら、先に仕入れてきた商品が先に出ていったと仮定して、商品有高帳を作成しよう、払出単価を決定しようという考え方な訳です。

 

先入先出法の長所は、通常はやっぱり先に買ってきた商品が先に払い出されるでしょうから、モノの流れと計算上の仮定が一致するという点です。また貸借対照表には最後のほうで買ってきた商品の単価で計上されることになるので、物価上昇が著しい時には、貸借対照表が現時点の物価水準を適正に反映することが出来る点も長所です。

 

逆に短所は、物価上昇が著しい時には期首の低い単価の商品が払い出され、それが売上原価となることによって、物価上昇後の売上高との価格水準が一致しなくなるので、適正な期間損益計算が出来なくなってしまう点です。例えば期首の時点では1個100円で仕入れることが出来ていた商品が期末時点では200円出さないと仕入れられなくなっていたとします。このとき売上として計上されている金額が物価上昇後の水準で400円が計上されていたとすると、先入先出法の場合、売上高400円-売上原価100円=売上総利益300円となるわけですが、300円のうち100円は物価が上昇したことによる利益が混在していしまうことになるのです。ちなみにこのような損益を保有損益と言います。

 

先入先出法については基本的なことは理解済みであると思うので、長所短所のところで少し難しめの話もしておきました。しかし物価上昇うんぬんのところは、日商簿記1級では応用レベルだと思います。なので、可能であれば理解しておいてもらいたいですが、難しいようであれば無理に覚えなくても良いと思います。

 

それでは、この後も前向きにポジティブに頑張って下さいね!

 

 

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