備忘録                             このブログは転載自由です

2014年以降、ウクライナ国内のロシア人1万数千人を無差別に虐殺したウクライナも悪いが、ウクライナも含めた周辺国のロシアへの恐怖を解消しなかったロシアも悪い。しかし、最も悪いのは2014年に「クーデター」でロシア人大統領を失脚させた米国のネオコンと軍産複合体。即時停戦を!!
神ならぬ人間の言説は全て暫定的なもの従って、随時更新しなければならないので永遠に工事中!
(2024年2月21日) 

 

 

中国・モソ人の社会は母系社会。モソの女性は、母系社会が最も進歩的社会だと誇っている!!

 

資本主義では貧困は無くせない。なぜなら、資本主義では、人は生まれながらの才能の基づく差があるから、社会主義社会のような平等社会は天才を搾取する社会だと、真偽が逆になるからだ。それで、現在の日本では、子どもの7人に1人が相対的貧困状態だが、貧困で苦しむ子供がゼロとなる社会主義社会が実現されるまでの間は、母系社会が理想的社会!

母系社会の少数民族モソ人 2020/01/14


★★「レ・ミゼラブル」
 

「MsLijeBailey」は、登録者数 2.48万人のチャンネル

【英語】民衆の歌 (Do You Hear The People Sing?) - レ・ミゼラブル (日本語字幕)

 

【ウクライナ戦争】

 

★★戦況が不利となれば、ロシアは戦術核兵器を使用する可能性がある!!

 

★ウクライナがNATOに加盟し、ルーマニアのようにアメリカのミサイル基地が建設されると、万一の場合、核ミサイルは4~5分でモスクワに着弾する。すると、ロシアはNATOへの報復核攻撃ができず、「相互確証破壊」能力を失う可能性が高い。報復核攻撃命令を出すには、①本物の攻撃ミサイルかどうかを確認し、本物であれば、プーチンは国防相か参謀総長の同意を得なければならないからだ。

 

つまり、ロシアにとってウクライナのNATO加盟とは、常時頭に拳銃を突きつけられているような状態となって、アメリカの政策に不満があっても沈黙するしかなく、ロシアは主権を失う事態。アメリカにとってはカナダが親ロシアとか、親中国の国になるような事態と同じ。ロシアを武器を使わずにアメリカの属国にする方策なので、アメリカはウクライナの独立後、2014年までに6000億ドルもの政治工作資金をウクライナに投入して、内部から強固な反ロシアの国に変えてきた。

 

プーチンだけでなく、ロシアの支配的エリートたちは、今回の戦争は東進してきたナポレオン軍やナチス・ドイツ軍との戦いのような戦争であり、ロシアの「主権を守る戦い」=「生きるか死ぬかの戦い」と捉えている。それで、万一戦況が不利となったら、ロシアは戦術核兵器を使用する可能性が高い。

 

つまり、この戦争は<ウクライナが敗けるか、ロシアが敗けるか>ではなく、<ウクライナが敗けるか、ロシアが戦術核兵器を使用するか>の戦争なので、非常に危険な状態だ。2つの大戦でのピーク時には、1000万人も戦場に動員したロシアに、ウクライナ(NATO)が勝てるわけがない。

 

世界最大の米軍の基地がある日本は、アメリカを媒介してウクライナにミサイルや砲弾を供与するような火に油を注ぐようなことはせず、即時停戦を呼びかけるべきだ。全面核戦争となれば、間違いなく日本にも核弾頭が降り注ぐからだ。

 

万一の場合、米露は、①まず、相手の本土以外に展開している敵の部隊を核攻撃し、②その次の段階で双方の本土を攻撃するという手順になるのではないだろうか。その場合、①で停戦と成った場合、日本は壊滅するが、最も核戦争に責任がある米露は健在というようなことになってしまうので、日本は即時停戦を呼びかけるべきだ。

既に、プーチンの政治顧問セルゲイ・カラガノフ教授は、ポーランドの軍事基地に人払いさせてから戦術核兵器を撃ち込む提案している。この核攻撃の狙いは、ロシアがNATO加盟国を攻撃しても、アメリカは参戦しないことを実証し、アメリカ頼みのNATOが現実には機能しない虚妄の同盟であることをヨーロッパ人に示し、NATOを瓦解させることだ。

 

全面核戦争に突入したら、最初の30分で1億人以上のアメリカ人が即死する。また、戦争に勝利しても、最も被害が少ない第三国に覇権を奪われるから、アメリカは核大国のロシアや中国とは戦わないと決めている。

 

★アメリカは、明確に「NATO加盟国を守る」と約束したNATO条約さえも守らないので、日本を守るかどうかは、宣戦布告の権限を持つ米国議会次第の日米安保条約など、全く当てに成らない。無人島の尖閣諸島や台湾のために、アメリカが中国との核戦争に発展する可能性がある戦争などするはずがない。

 

そもそも、アメリカの現役高官で、「有事には日本を守る」と断言した人は一人もいない。現役の高官は、米国議会の同意が条件の「日米安保条約の第5条を適用する」としか言わない。彼らの中には退職後に、「アメリカは日本を守る」と言う人もいるが、知日派の元高官が退職後に何を言おうが、アメリカの公的約束にはならないので、全く当てにできないことを日本のマスメディアは説明しない。

 

この言葉を日本政府やテレビが「アメリカは日本を守る」と解釈しているに過ぎない。また、今までアメリカは南ベトナムのグエン・バン・チュー政権やアフガンのガニ政権などの同盟国や、チベットの旧支配層が組織した反中国派ゲリラ組織など、アメリカが支援した武装勢力を何度も見捨てている!!

 

 

★★【字幕】「ウクライナ オン ファイヤー」のオリバー・ストーン監督がウクライナネオナチ・ドンバスの虐殺について語る

 

@Jano661
【Janoクラシック】2022年3月

https://twitter.com/Jano661/status/1748657133493907857
 

★最初に、ウクライナの少数民族であるロシア人の民間人を大量虐殺したのはウクライナのネオナチ政権側だった。しかも、ウクライナの少数民族であるロシア人たちは、欧米の選挙監視団が公正な選挙だったと認めた2010年の選挙で選ばれたロシア人大統領ヤヌコビッチの政権を、偽旗作戦で倒した「クーデター」(マイダン革命)に反対したためにテロリストとされてしまった。

 

そして、ウクライナ軍がドンバス地方に攻め込み、大砲やミサイルを使って1万人以上のロシア人を殺害し、200万人以上のロシア人の戦争難民がウクライナからロシアに逃げ出す事態となったが、ウクライナ軍内のロシア人兵が寝返り、義勇兵も駆けつけて、ドンバス地方の一部を守り続けていた。

 

危機管理コンサルタントの丸谷元人氏によると、ウクライナのネオナチの特徴は、ゼレンスキーのようなヨーロッパ系ユダヤ人(アシュケナジム)は白人と見なして差別せず、中東系のユダヤ人(セファルディム)は差別する白人至上主義的な点なので、ウクライナにはユダヤ人のネオナチもいると言う。

 

 

★★映画『すべての政府は嘘をつく』予告編

 

映画『すべての政府は嘘をつく』予告編

 

 

★★必読文献「松里 公孝 (著) ウクライナ動乱‐ソ連解体から露ウ戦争まで」 (ちくま新書 1739)  

 

★「ウクライナ」(17)  松里公孝・東京大学法学部教授 2022.7.4

 

偽装の民主国家である日本では、一度も現地で調査したことがない「専門家」が、見てきたようなウソをテレビや新聞で垂れ流している。そのため日本では、ロシアにとっては「主権を守る戦い」=「生きるか死ぬかの戦い」である反NATO戦争=ウクライナ戦争を、単なる領土獲得の侵略戦争や、プーチンの奇妙な歴史観や民族観が原因の戦争として描き、核戦争の危機を隠しているので、世界は毎日一歩づつ、核戦争に接近している!!

 

「jnpc」は、チャンネル登録者数 13.1万人

「ウクライナ」(17)  松里公孝・東京大学法学部教授 2022.7.4

2022/07/04

クライナ史、ロシア史を専門とする松里公孝教授が、ロシア・ウクライナ戦争の端緒を「ウクライナからのドンバスの分離紛争」ととらえる視点から、旧ソ連の解体過程を踏まえて解説した。
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

松里 公孝 (著) ウクライナ動乱 ――ソ連解体から露ウ戦争まで (ちくま新書 1739) 新書 – 2023/7/6


冷戦終了後、ユーラシア世界はいったん安定したというイメージは誤りだ。ソ連末期以来の社会変動が続いてきた結果としていまのウクライナ情勢がある。世界的に有名なウクライナ研究者が、命がけの現地調査と100人を超える政治家・活動家へのインタビューに基づき、ウクライナ、クリミア、ドンバスの現代史を深層分析。

「ソ連継承国の多くは、一九九〇年の経済水準を回復していない。……貧困の問題が直視されない代わりに、親露派対親欧米派という二項対立が、現地について何も知らなくても現地情勢を説明できてしまう魔法の杖のように振られる。これは、現地に対するバイアスである」(本文より)


 

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備忘録(2024年2月21日)

 

 

★★ロシア民族主義の扇動者から西側リベラル派の寵児へ アレクセイ・ナワリヌイとは何者だったのか?

 

ロシア民族主義の扇動者から西側リベラル派の寵児へ  アレクセイ・ナワリヌイとは何者だったのか?
https://eritokyo.jp/independent/Ukraines-war-situation-aow4571.htm

From Russian nationalist agitator to darling of Western liberals: Who was Alexey Navalny? The politically minded blogger wore many hats over a career that spanned two decades
RT  War on Ukraine #4571 17 Feb. 2024

英語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授)
E-wave Tokyo 2024年2月17日

政治的な考えを持つブロガーは、20 年にわたるキャリアを通じてさまざまな役割を果たした。ロシア民族主義の扇動者から西側リベラル派の寵児へ:アレクセイ・ナワリヌイとは何者だったのか?
ファイル写真:アレクセイ・ナワリヌイ© Sputnik / Ilya Pitalev

本文

 アレクセイ・ナワリヌイ氏は金曜日、過激派活動の罪で19年の刑で服役中だった北極圏北の刑務所で倒れ、死亡した。彼は47歳だった。西側では、クレムリン批判者、ロシアの「野党指導者」としての評判を享受していた。ウクライナでは、彼はロシア民族主義者として非難された。ロシア自体において、彼の遺産はせいぜい複雑だ。

 1976年生まれのナワリヌイ氏は1998年に法科大学院を卒業し、2001年に金融の学位を取得した。キャリアを通じて法律、投資、活動に手を出し続けたが、政治の世界に戻り続けた。

 「私は常に政治に夢中だった」と彼は2009年にコメルサント・マネー紙に語った。

ナショナリストの段階

 ナワリヌイ氏は2000年から2007年までリベラル派ヤブロコ党員だったが、その後「ナロッド」と呼ばれる民族民族主義運動を共同創設した。彼はこの運動の2つの悪名高いYouTube動画に出演しており、1つは「ハエとゴキブリ」と戦うための銃の権利を主張し(イスラム教徒を映しながら)、もう1つは移民を虫歯に例えている。

 2008年8月、ナワリヌイ氏は、窮地に陥った南オセチアを代表して、ロシアによるグルジアへの介入について肯定的に語った。彼は民族ナショナリズムの擁護者らとともに毎年3回開催される「ロシア行進」集会に参加し続けた。活動家のエフゲニア・アルバツ氏は後に、クレムリンに対する民族ナショナリズムを利用する方法としてナワリヌイ氏に行進に参加するよう促したと語った。 2010年、アルバッツはイェール大学ワールドフェロープログラムを通じてナワリヌイ氏の6ヶ月間の米国滞在を共同スポンサーすることになった。

反汚職ブロガー

 その時点でナワリヌイ氏はすでに金融の専門知識を活かして「少数株主連合」と呼ばれる投資活動家団体を立ち上げ、ロスネフチ、ガスプロム、ルクオイルなどの大手企業を揺るがそうとしていた。ナワリヌイ氏の傘下のNGOネットワークである反汚職財団(FBK)は、2011年9月に登録された。ナワリヌイ氏は引き続きモスクワ政府、地方知事、企業の詐欺、汚職、汚職を告発し、その過程で名誉毀損で訴えられることも多かった。

「野党指導者」

 2011年2月までに、ナワリヌイ氏は政治にも手を出していた。同氏は与党統一ロシア党を「詐欺師と泥棒」の集まりだと攻撃し、12月には同党が国政選挙を盗んだと主張した。その後の反政府デモで同氏が一連の演説を行ったことから、西側メディアは同氏を「ロシア野党指導者」と呼んだ。

 ナワリヌイ氏の政治家キャリアの頂点は2013年7月のモスクワ市長選挙で、得票率27.24%を獲得したがセルゲイ・ソビャニン氏に敗れた。 2018年の大統領選挙に立候補しようとする彼の試み​​は、犯罪歴により阻止された。

キーロヴルズ事件とイヴ・ロシェ事件

 ナワリヌイ氏の最初の有罪判決は、国営林業会社キロヴレス社からの横領罪であった。 2013年に懲役5年の判決を受けたが、後に執行猶予に変更された。欧州人権裁判所(ECHR)は2016年、彼の行為は「合法的なビジネス活動と区別がつかない」と述べた。

 ナワリヌイ氏は公判で、この容疑は政治的動機に基づくものだと非難し、「百家族」がロシアから略奪を行っているとされる「忌まわしい封建制度」を激しく非難した。

 ナワリヌイ氏とその弟で郵便局員のオレグ氏は、2012年にフランスの化粧品大手イブ・ロシェのロシア支店をだまし取ったとして、さらなる横領容疑で起訴された。兄弟は2014年12月に有罪判決を受けたが、アレクセイは再び執行猶予のみを受けた。

 2019年、ロシア政府はナワリヌイ氏のFBKを「外国工作員」と認定し、その活動を厳しく制限した。

2020年の「中毒」と逮捕

 2020年8月、ナワリヌイ氏はトムスク発モスクワ行きの飛行機内で体調を崩し、治療のためドイツに搬送された。西側の医師らは、彼が神経剤「ノビチョク」の標的にされたと主張したが、ロシア政府はこれを「挑発」として拒否した。ナワリヌイ氏はロシアに帰国すると、保護観察の条件に違反したとして逮捕され、刑務所に送られた。

 さらに詐欺罪と法廷侮辱罪が追加され、2022年に9年の追加判決を受けた。2023年8月、ナヴァルニーは、過激派活動を煽動し、資金を提供し、実行し、ナチス・イデオロギーを「更生」させた罪で、さらに19年の禁固刑を言い渡された。FBKは政府の命令で閉鎖された。

 2023年12月、ナワリヌイはシベリア北部のヤマロ・ネネツ州の流刑地に移送された。金曜日の死因はまだ調査中である。

 

<以下略>

 

<参考資料>

 

朝日新聞デジタル:2024年2月26日
獄死ナワリヌイ氏は「血栓で死亡」 ウクライナ当局、殺害の見方否定
https://www.asahi.com/articles/ASS2V439QS2VUHBI00H.html
河野光汰

アレクセイ・ナワリヌイ氏の死因について、米国の大統領バイデンは「間違いなく死の責任はプーチン(大統領)にある」、つまり、プーチンが暗殺した述べたが、ウクライナ国防省のブダノウ情報総局長は25日、「血栓によるものだ」と記者団に述べ、殺害されたとする米国の見方を否定するという珍しいことが起きた。

 

ウクライナ人のブダノウ情報総局長がナワリヌイ氏に冷たい理由は、以前、ナワリヌイ氏はウクライナ人を日本人の場合の「ジャップ」のような蔑称で呼んで蔑んだことがある人種差別論者だったからだ。ナワリヌイ氏は、イスラム教徒も蔑称で呼んで蔑んでいたという。

 

米国のネオコンであるバイデンや欧米と日本のマスメディアは、このような人種差別論者という面もあるナワリヌイ氏をロシアの民主主義陣営の英雄であるかのように称え、確たる証拠が無いのにプーチン大統領が暗殺したと報じて、ロシアを悪魔化しようとしている。ロシアには、全く人気は無いが1993年に結成された正真正銘の「ヤブロコ」という民主派の政党がある。この政党から、人種差別論者として除名されたのがナワヌルイ氏である。

 

★★ナオミ・クライン  「ショックドクトリン」

 

デモクラシーナウ

「ショックドクトリン 大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」 

ナオミ・クライン新著を語る 1 (日本語字幕あり)

 

デモクラシーナウ

「ショックドクトリン 大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」 

ナオミ・クライン新著を語る 2 (日本語字幕あり)

 

デモクラシーナウ

「ショックドクトリン 大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」 

ナオミ・クライン新著を語る 3 (日本語字幕あり)

 

<コメント>

 

●●ウクライナ民族や中央アジアのイスラム教徒を蔑称で罵倒していたナワリヌイ氏は、とても不思議な民主派人士

 

●日本では、アレクセイ・ナワリヌイ氏は、プーチンも恐れるロシアの代表的な民主派とされているが、実際には、ウクライナ民族や中央アジアのイスラム教徒を蔑称で罵倒していたこともあるナショナリストの面もある不思議な人物。

 

ロシアの民主派の代表は「ヤブロコ」という政党であり、この「ヤブロコ」から、人種差別を理由に追い出されたのがアレクセイ・ナワリヌイ氏。しかし、この「ヤブロコ」もロシアでは全く人気が無い。というのは、ソ連崩壊後、ロシアの民主派はエリツィン大統領の下で、西側の経済学者の指導でエゴール・ガイダルらを中心に国有企業の大規模な民営化政策である「ショック療法」と呼ばれる急進的な市場経済化政策が導入され、大混乱を引き起こしたからだ。

 

●この「ショック療法」により、ロシアの支配的エリート層を取り込んだ西側の巨大金融資本は、ロシアのエネルギー資源を市価の2~3%で買い取り、ロシアは推定で70兆円もの国富を西側の金融資本に奪われた。また、この急進的な自由化政策により、「ロシア経済には急激なハイパーインフレーションが引き起こされ、国民生活に大打撃を与え」(ウイキペディア)、年金制度や医療保険制度も崩壊したので、推定で300万人もの死者を出す事態となった。

 

しかし、欧米や日本のマスメディアは、ドイツ人の5人に1人が死んだ「30年戦争」時代のヨーロッパのようなロシアの惨状を隠蔽し、全く報道しなかったので、西側の巨大金融資本の蛮行が問題となることはなかったし、なぜ、ロシアでは民主派が人気が無いのか、日本のロシア専門家さえ理解していない。

 

西側のマスメディアが、ロシアの惨状を報道しなかったのは、ロシアから盗んだ70兆円の一部は、巨大金融資本や政治家だけでなく、欧米のマスメディアにも流れ、大いに潤ったからだ。つまり、アメリカの一流紙とされているワシントン・ポスト紙やニューヨーク・タイムズ紙も、巨大金融資本の仲間だった。

 

現在の欧米のマスメディアは、全く社会的責任を果たしていないため、マスメディアを全く信用せず、マスメディアの言うことの逆が正しいと確信するトランプ支持者が誕生した。トランプ氏には容認できない面もあるが、マスメディアを信用しないトランプ支持者は、日本のテレビでおしゃべりしている呑気なリベラリストたちよりも、このマスメディアを信用しないという点では何倍も賢い。

 

●この急進的な自由経済化政策の結果、その後の10年間でロシア人男性の平均寿命はソ連時代の67歳と比べると、10年も短縮して57歳にまで落ち込む事態となったので、ロシアの民主派は全く人気が無くなり、ロシア人を騙して国富を奪った西側の自称の民主主義国も信用しなくなった。ロシア人の欧米嫌いは、ロシア政府のプロパガンダの影響ばかりではない。

 

この奪われた国有財産を、当時の「売国」的支配的エリート層である政商(オリガルヒ)から取り戻したのがプーチンを核とした愛国主義のナショナリスト集団「シロヴィキ」だった。当時、エネルギー価格が高騰したことも混乱を克服する助けになったのだが、この「シロヴィキ」がロシアの混乱を解決すると共に、ロシアの新しい支配層(新オリガルヒ、新特権階層)となったので、ロシアが抱える諸問題が完全に解決したわけではない。

 

とは言え、ソ連時代には宇宙産業まであり、ソ連でもトップクラスの先進地域だったウクライナには、ロシアの「シロヴィキ」のような強固なナショナリスト集団が無く、大統領に就任後の2年間で1000億円以上も蓄財したゼレンスキーも含めて、次々と現れる自称の民主派、自称の愛国派指導者の正体は、ウクライナの国富を奪うことが目的の守銭奴ばかりだった。

 

それで、ウクライナ人は、人口が20%弱のロシア人政商であるヤヌコビッチを大統領に選んだり、ユダヤ人のコメディアンだったゼレンスキーを大統領に選んだ。ウクライナ人が人口の70%以上を占める国なのに、ウクライナ人政治家は守銭奴ばかりで人気が無いという不思議な国がウクライナ。しかし、ウクライナの混乱は続き、ウクライナのGDPはソ連時代のGDPさえ達成しないまま、戦争へと突入してしまった。

 

●●2020年の「中毒」事件について

 

●2020年8月、ナワリヌイ氏はトムスク発モスクワ行きの飛行機内で体調を崩し、治療のためドイツに搬送された。西側の医師らは、彼が神経剤「ノビチョク」の標的にされたと主張したが、ロシア政府はこれを「挑発」として拒否した。


この事件は、西側ではロシア政府の機関が暗殺しようとした事件とされているが奇妙な点がある。まず、ロシア政府の治安機関である「ロシア連邦保安庁」(FSB)が暗殺しようとした場合、交通事故などを装う等のロシア政府が疑われないように暗殺する手段は沢山あるからだ。

 

FSBが本当に「ノビチョク」を使ったのであれば、ドイツへの搬送など許すはずがない。なぜなら、ソ連時代に化学兵器として開発した「ノビチョク」は、政府レベルの機関でなければ手に入らないし、そもそも、ロシアの治安機関が使う毒物として有名だったからだ。それで、ドイツで「ノビチョク」が使われたと判明したら、ロシア政府が実行した暗殺未遂事件ということになるのは火を見るよりも明らかだ。


だから、本当にロシア政府の機関が「ノビチョク」を使っていたら、ロシアがドイツへの搬送を許すはずがない。それで、①「ノビチョク」が使われたというのはロシアを貶めるためのドイツ側の虚偽であるか、②西側の政府機関がロシアを貶めるために、ロシア国内でナワヌルイ氏に「ノビチョク」を使った。③西側の政府機関がロシアを貶めるために、ドイツに到着してから密かにナワヌルイ氏の体内に「ノビチョク」を入れ、ロシアが「ノビチョク」を使ったように見せかけたのかもしれない。

 

すると、西側政府が民主派であるナワヌルイ氏が死亡する可能性がある「ノビチョク」など使うはずがないと反論する人もいるだろう。しかし、既にアメリカのネオコンは2014年のウクライナ・キエフでの「マイダン革命」(実際は「クーデター」)の際、味方の反ロシア派のデモ隊員47名を射殺して、その罪をロシア人大統領の政権に擦り付けた。

 

この味方殺しは典型的な偽旗作戦であるが、これ以外でもアメリカはタリバン幹部16名を無人機の空対地ミサイルで暗殺するのに、累計で約1000名もの民間人を巻き添えで殺害し、国際人権NGOから批判されても止めなかった。また、湾岸戦争後、アメリカはイラクに医薬品まで禁輸する経済制裁で、50万人以上のイラクの子どもが病死したが、これも批判されても止めなかった無慈悲なアメリカのネオコン政権が、味方を殺すことは十分にあり得る。

 

●●ナワリヌイ氏に罵倒されていたプーチンだが、そのプーチンは世界中を巧妙に騙していた!!

●在米30年以上で、アメリカの政界の動向や外交政策だけでなく、国際政治学の諸理論にも詳しい保守派の伊藤貫氏によると、日本で流布されているマッチョマン的、元KGBの冷酷なスパイ的プーチン像は、実際のプーチンとかけ離れていて、全く間違っているという。

 

このマッチョマン的プーチン像は、中国以上の200以上もの民族が住む超多民族国家ロシアを束ねるために、プーチン自身が創り出した強面のイメージだった。日本のテレビで、プーチンを元KGBの冷酷なスパイというイメージで語っている自称のロシア専門家らは、プーチンの実情を知るロシア人に笑われているだろう。


●確かに、プーチンはソ連が崩壊するまでKGBに所属していたのだが、プーチンはOO7のようなスパイ活動をしていたのではなく、KGBでは情報分析のアナリストだったと言う。また、普通の労働者の家庭で育ったプーチンは、日本の東大のようなソ連でトップの大学であるモスクワ大学に奨学金付きで入学できるほど成績が優秀な学生だった。ところが、本人は日本の京大のようなソ連でNO2の大学である故郷のレニングラード大学への入学に固執して、レニングラード国立大学法学部に入学した。

大学時代のプーチンの知人によると、プーチンは物静かな青年で、短時間だが熱心に柔道の稽古をする以外は、一人で本を読んで過ごす読書好きな青年だったと言う。それで、法学部ではトップクラスの成績だったようで、1991年にKGBを辞職すると、レニングラード大学時代の恩師アナトリー・サプチャーク(1937年~2000年)から、レニングラード大学法学部の教授の職を約束され、博士論文を書くように勧められたと言う。プーチンはソ連崩壊後の一時期、家計を助けるためにアルバイトでタクシーの運転手をしていたことがあると語ったことがあるが、それは、この博士論文を書いていた時かもしれない。


●ところが、その恩師アナトリー・サプチャークは当時の民主派の中でも有名な急進改革派であり、1991年にはレニングラード市の市長に当選したため、側近として政界の動向に詳しい人物が必要となった。それで、教え子の元KGBのプーチンが適任とされたので、プーチンは博士論文の作成を中断し、レニングラード市の副市長に就任することになった。 (その後、プーチンは博士論文を完成させ、法学の博士号を取得している)

 

この時、プーチンはサプチャークから、ある人物を空港に出迎えに行くように頼まれたという。その人物とは、先日亡くなったアメリカのキッシンジャーだった。それで、プーチンは無名時代から車の中でキッシンジャーと2人だけの会話して知り合っていた。この時、キッシンジャーがプーチンに色々質問をしたのだが、最初、プーチンは当たり障りのない返答をしていた。しかし、キッシンジャーがしつこく前職を尋ねたので、ついにKGBの一員だったと答えると、キッシンジャーも情報機関にいたことのあったので、情報機関員が世界で最も優秀だとか言い合い2人は意気投合したと言う。確かにキッシンジャーは死ぬまで、プーチンを高く評価していた。

 

●後に、ロシアの大統領に就任したプーチンは、キッシンジャーと何度も会談したようだが、トランプの外交顧問をしていたキッシンジャーは、トランプが大統領に就任する直前にもモスクワに行き、プーチンと会談している。この時、米露で同盟を組み、中国に対抗する「天下三分の計」戦略を主張していたキッシンジャーはおそらく、この構想をプーチンに提案したと思われる。

 

すると、東欧出身者で強硬的な反ロシア派が多いネオコンは、トランプが大統領に就任すると直ぐに、この構想を潰すための先手として、トランプとロシアの関係を疑う様々な工作を行った。そのため、冷戦時代に「米中同盟」でソ連に対抗する戦略を実現したキッシンジャーは、これの新バージョンである「米露同盟」構想の実現を阻止されてしまった。こうした経緯から、戦争が嫌いなトランプが次の大統領に就任したら、即時にウクライナ戦争を止めさせて、再度、「米露同盟」構想の実現を目指す可能性がある。

 ●プーチンがレニングラード市の副市長に就任すると、たちまち、レニングラードに飛びぬけて行政手腕があるプーチンという人物がいて、プーチンに相談すれば何でも解決するという評判が立った。やがて、その評判がモスクワにまで届き、1996年には当時のエリツィン大統領から呼び出されて、いきなり連邦保安庁長官(FSB)に就任した。その後、プーチンは、連邦安全保障会議事務局長を経て、3年後の1999年にはエリツィン政権下で首相に就任した。

つまり、プーチンの恩師が政界に入らなければ、プーチンは、レニングラード大学法学部の教授になっていた人物。プーチンの部下だった人物によると、仕事ぶりも物静かで部下を怒鳴るなどの乱暴なことなどするような人物ではなく、1人で執務室に籠り、黙々と仕事をしていたという。

 ●2022年2月の侵攻直前に、プーチンは国家安全保障会議を開催し、その模様をテレビ放送させた。この時、プーチンがナルイシキン対外情報局(SVR)長官を厳しく叱責したが、あの叱責は国民に、プーチンが政権のトップ官僚たちを掌握していると見せかける演出だった可能性が高い。

また、今でも部下には本を読むように勧め、時々、部下と本の批評会を開催しているという。プーチンの実像は物静かな大学教授といった人物。そして、今でも読書好きであり、哲学など、ありとあらゆる分野の本を良く読む博識な人物というのが実像のようだ。

●プーチンは毎年1度、世界中の記者を集めて4時間から5時間という長時間、自由に質問をさせる記者会見と、同じく4時間から5時間掛けて国民からの質問に答える国民との直接対話もしてきた。昨年は戦争中ということもあり、記者会見と国民対話を合体して12月に開催した。

 

実際に、去年の会見に招待されて質問した日本の笹川平和財団の畔蒜泰助氏の証言では、会場に入るまで質問できるかどうかわからなかったという。しかし、案内された席が前方の席だったので質問が可能と気付き、その場で質問を考えたそうだ。プーチンは、事前に質問事項を出させたり、質問の分野を限るようなことはせず、自由に70前後もの質問を西側の記者にもさせている。

しかも、プーチンは、その70前後の質問に対して資料など見ずに的確に即答する稀有な政治家だ。日本の政治家で、このような記者会見や国民との対話が可能な人物などゼロあるのは間違いない。おそらく世界でもプーチンだけかもしれない。

 

要するに、日本で流布されている筋肉隆々のプーチン像は、ロシア人が伝統的に理想とする強い皇帝のようなリーダー像であって、実際のプーチンは部下にも読書を勧め、本の批評会を開催する教師のような読書好きな人物だと伊藤貫氏は言っている。

 

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<休憩>

 

 

SARAH ALAINN 君をのせて(天空の城ラピュタ)   2017/10/31
 

 

★★山本太郎議員の実に見事な質問

(2024年1月24日)

 

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山本太郎の国会質問!参議院・予算委員会(2024年1月24日15:24頃~)

 

 

★★金権より民権! 平野貞夫×前川喜平×佐高信【3ジジ放談@高知】

 

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金権より民権! 平野貞夫×前川喜平×佐高信【3ジジ放談@高知】20240121

2024/01/26


お待たせしました!


平野貞夫×佐高信×前川喜平、高知市自由民権ホールで吼えてきました!
ホールからはみ出し廊下で聴かれる方も多数という会場の熱気にあおられたのか、3ジジ放談というより時局演説会の様相となりました。


本年は板垣退助らの「民選議院設立建白」から150年。


議会は乱れに乱れ、政治の闇を一掃するために不可欠の政権交代は見通せない。
こんな時だからこそ、ここ高知から「自由民権」の再スタートをと平野さんは力説します。それに呼応して、政治の行方の予想を他に求めるのではなく、私たち自身が一歩を踏み出し闇の怪物に一太刀を振るう気概を持たなければ始まらない。金権より民権、自由金権党の政治にNOを突きつけよう、という決起集会?となりました。


参加者のみなさま、高知で準備してくださったみなさま、お世話になりました。
ありがとうございました!  
収録は、2024年1月21日

 

GOOニュース:日刊スポーツ新聞社:2024:1・26
小沢一郎氏「破壊されるべきは自民党」元安倍派議員PC破壊報道に ネットでもトレンドワードに
https://news.goo.ne.jp/article/nikkansports/nation/f-so-tp0-240126-202401260000192.html

 

<参考資料>

 

「自民党は"脱税グループ"」田中真紀子さんが自民・裏金疑惑を語る!【裏金問題・官房機密費】

 

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「自民党は"脱税グループ"」田中真紀子さんが自民・裏金疑惑を語る!【裏金問題・官房機密費】
2023/12/20


これまで自民党や民主党で衆議院議員を務めてこられた田中真紀子さんに、自民党の裏金問題についてお話をお伺いしました。
※この動画は2023年12月18日(月)に撮影したものです。

【内容】

0:00オープニング
0:10田中真紀子さん紹介
0:58記者会見を開いた理由
3:13裏金問題を知っていた?
4:37なぜ政治にお金が必要なのか
13:29政治家の見分け方
17:58裏金の使い道
19:12民主党に裏金問題はあった?
20:17政治献金をどう考える?
23:06政権交代について
25:10投票率を上げるために
27:05笑下村塾へのアドバイス
29:04視聴者の方へメッセージ
31:30官房機密費について

 

<コメント>

 

★自民党派閥の「政治資金パーティー裏金事件」の本質は、「政治と金」というような曖昧な問題ではなく、買収選挙の横行。日本では、今でも買収選挙が全国で横行しているという民主主義の根幹に関わる深刻な問題。つまり、日本は21世紀になっても残念ながら、まともな選挙さえもできない偽装民主主義国と言うしかない。

 

これは、2019年の第25回参議院議員通常選挙で起きた河井克行・河井案里夫妻による公職選挙法違反事件でも明らか。また、文部科学大臣や外務大臣、科学技術庁長官などを歴任した田中真紀子氏も、2012年の第46回衆議院議員総選挙の時、地元の県議や市議から金を要求されたが全て断ると一切、県議や市議らが応援してくれなくなって落選したと証言している。

 

衆議院や参議院の候補者が、地元の県議や市議から要求された金を渡した場合、流石に、一般の有権者にまで金が配られることはレアであれ、一部の有力な有権者(地域ボス)や運動員に配られたり、県議や市議自身の選挙活動の資金となったりする可能性はある。

 

もちろん、日本の県議や市議の全員が腐敗しているわけではないし、保守系の地方議員にも真面な議員はいるだろう。しかし、保守系の地方議員の場合、企業からの献金が多く、金回りが良いが故に保守系の地方議員の多くは腐敗している可能性が高いので、日本は今でも偽装民主主義国ということだ。

 

 

★★沖縄の米軍基地による水道水汚染問題

 

 

見えない侵入者 ~米軍基地から漏れ出す 永遠の化学物質~
【テレメンタリー2021】 【QAB琉球朝日放送】#沖縄 #嘉手納基地
#有機フッ素化合物 #PFOS #PFOA #PFAS  2021/05/29

●米空軍嘉手納基地から、発がん性や乳幼児に害を及ぼすリスクがある有機フッ素化合物PFOSとPFOAが流れでて、沖縄の水道水を汚染していることが、ほぼ間違いないことが判明した。 この物質は飛行機事故での消火剤として使われているのだが、そのような使い方をしているのは汚染が発見された近辺の米軍基地だけだからだ。

そこで、沖縄県が汚染の原因を調べるために、基地の立ち入りを求めたら、米軍側が拒否して、調査が不可能となった。 このような人命に関わる重大な調査を阻んでいるのが、不平等な「日米地位協定」だ。 そこで、アメリカ人のジャーナリストが、アメリカ市民が持つ権利を行使して情報開示させて調べたら、やはり、米空軍嘉手納基地が原因であることが判明した。 その原因は、飛行機事故やタンクからの漏出、消火訓練、そして、何らかの理由による廃棄だ。

つまり、日本国は、アメリカ市民が持つ権利さえも保有していないということだ。 沖縄県民の人命に関わる重大な問題なのに、調査さえも拒否する米軍基地とは何なのか? 本土にも米軍の基地があるので、沖縄と同じことが起きている。 日本人の人命を守るための米軍基地が、日本人の人命を脅かすものとなっているので、日本は即時、何の役にも立たない安保条約を破棄して、調査さえも拒否する米軍基地の撤退を求めるべきだ。

●そもそも、アメリカは相手が中国やロシアのような核保有国の場合には原則として参戦しないと決めている。参戦して、1発でも多弾頭核ミサイルのICBMがアメリカ本土に落ちれば、10前後の都市や軍事基地が破壊され、戦争に勝ってもインドなどの第三国に覇権が奪われるからだ。日米安保条約は日本にとっては無意味どころか、基地を提供しなければならないし、米軍の基地があるから、中国とロシアに敵視されるからマイナスだった。

日米安保条約が無意味であることは、安保条約の第5条をNATOの第5条と比べて見ればわかる。 日米安保条約は、NATO条約のような無条件に相互に守り合うタイプの条約ではない。 と言うのは、アメリカの憲法では、宣戦布告の権限はアメリカの議会にある。 ところが、NATO条約の5条には「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という文言は書かれていない。 ということは、NATO条約の5条は、議会が宣戦布告することが前提になっている条文ということだ。

 

●つまり、NATO条約が締結された冷戦初期の1949年、欧州諸国がソ連に占領されるということは、アメリカの安全保障上にとって最大級の脅威と議会も判断していた。 それで、万一の場合には、アメリカ軍も参戦し、欧州の防衛のために戦うべきだと議会も同意したので、NATO条約の5条には日米安保条約の5条の「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という条件は書かれていない。

しかし、間に広い太平洋がある日本の場合は、その時々の情勢次第で、アメリカ軍が参戦するかどうかを決めるというのが、当時のアメリカの総意だった。 それで、この「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という条件が挿入されたということだ。

●近代に成立した「民主主義国」では、政府は憲法を必ず守ることになっているし、何事もあらかじめ決められた手続きに従って、政府は政策を実施するのは当たり前のことだ。 このような誰でも知っている常識的なことは、通常、われわれが書く、メールも含めて文章化されない。 そんな常識的なことまで、いちいち書くと長い文章となり、逆に趣旨が不明となるからだ。

ところが、日米安保条約の5条には、NATO条約の5条には無い「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」というわざわざ規定する必要がない文言が挿入されている。 ということは、日米安保条約は政府だけでなく、「議会の同意」も必要という条件付きの条約であることを示している。

それで、アメリカの現役の政治家や軍人が、ストレートに「万一の場合には、アメリカ軍も参戦して日本を防衛する」と言ったことは1度もなく、必ず判で押したように「日米安保条約の5条を適用する」としか言わないのだ。 これなら、「議会が同意しなかったので参戦しない」と言えるからだ。

●ところが、日本の政治学者やジャーナリスト、政治家は、与党だけでなく、野党の政治家も、この「日米安保条約の5条を適用する」という言葉を、「万一の場合には、アメリカ軍も参戦して日本を防衛する」と「翻訳」・「解釈」して解説している。

日本国民の大半が、アメリカの憲法では宣戦布告の権限はアメリカの議会にあるということを知らないことに付け込んで、このような、いい加減な「翻訳」・「解釈」で、60年以上も国民を騙してきた。 それも、最も重大な安全保障の問題で国民を騙してきたのが、我が「(偽装)民主主義国日本国」支配層=上級国民の正体だ。