リズム感がない。
動きのリズムが悪い。
こういった表現って聞いたことがあると思います。
一方でテンポという言葉も聞いたことがあるかかもしれません。
テンポが悪い、テンポが良い、みたいな言い方をします。
音楽分野はもちろん、スポーツや、会話などでも使われる表現ですね。
しかし、、
そもそも
リズムってなんだろか?
テンポって?
リズムとテンポの違いって?
スポーツの指導場面でこれをしっかり分類できずに使うのはよろしくありません。
これらがパフォーマンスにどのように影響を与えるのかを理解せずに使うのは効果不詳の薬を使うのと同義です。
リズムとは、ものすごく簡単にいうと、規則的に鳴る音のかたまりのことです。
4拍子、3拍子などです。
それに対してテンポとは、そのリズムを刻む速さのことです。
別物です。
冒頭の表現は、決して音楽分野だけの話ではなく、スポーツの動きにも使われます。
しっかり理解すれば、ものすごく有効な概念です。
先ほどの表現をそれぞれスポーツの動きに当てはめると。
まず音楽との大きな違いは、スポーツではリズムやテンポの基準は「音」ではありません。
多くは視覚と体性感覚(動きの感覚)です。
それを大前提として進めます。
リズム感がない、悪い。
→その動きを効果的にパフォーマンスにつなげるためのリズムと合致していない。
例えばキックモーションであれば、軸脚の着地、インパクト、フォロースルーは一定のリズムで行ったほうが良い(大きな力を発揮するための動きの順番がある)が、その順番がずれている、またはそれぞれのタイミングがずれていることを意味します。
またリズムは伸張反射や再現性などとも深く関与します。
テンポが悪い。
→(リズムは合っているかもしれないが)その動きを効果的にパフォーマンスにつなげるためのテンポと合致していない。
同じくキックモーションに置き換えると、モーションのスピードです。
一定のリズムは刻めているけれど、そのリズムを刻むスピードそのもの(テンポ)が遅いということです。
これらの例から考えただけでもリズム、テンポのどちらもがパフォーマンスにものすごく深く関与するし、どちらが不十分でもパフォーマンスは高いものになりにくいということが分かります。
逆にいうと、トップレベルの選手はまず間違いなくこの辺りのコントロールには長けています。
リズムだけでも不十分だし、テンポだけでももちろん不十分なのです。
スポーツにおけるリズムテンポは、大きく分けて3つに分類されます。
1)自分の内的なリズム・テンポ(内的)
2)ボールなどの動きのリズム・テンポ(外的)とそのアジャスト
3)相手のリズム・テンポ(外的)とそのアジャストとずらし
競技によってはこのうちのどれかだけでも良いかもしれませんし、全てが必要かもしれません。
いずれにせよ1)は必須です。
自分の内的なリズム・テンポというのは、何も考えずに動いた時に自動的に生じるリズムとテンポです。
(動きのクセという側面もあります)
これがすでに最適化されていればものすごくいいですが、多くの場合は伸びしろが存在します。
そして今のパフォーマンスをさらに上げていく上ではこのリズム・テンポをより速く(または遅く)コントロールできるようにしていくことが重要です。
内的なリズム・テンポというのは、必ず存在しますが、これは意識を向けなければなかなか気づけないかもしれません。
裏を返すと、意識を向けることで自分の動きのリズム・テンポは読み取ることができます。
パフォーマンスを上げるためにリズムやテンポを改善するためには、まず今の自分の身体が起こしやすいリズム・テンポを読み取ることがスタート地点です。
個人個人にそれぞれ必ず”心地の良い””動きやすい”リズムやテンポは存在します(パターン)。
しかしそれ「だけ」では、当然通用しないことも考えておかなければなりません。
相手もそのリズム・テンポで動きやすければ、簡単に対応されてしまうかもしれません。
外国人など自分たちにはないリズムやテンポを駆使してくる相手には全く対応できないかもしれません。
「なんでこのタイミングで脚出せるの?!」
みたいな経験がある方はわかるはずです。
なんでこのタイミングで、、→自分が動けないリズムの「間」が存在していることを意味します。その間で相手は動けるのです。
サッカーのFWなど良いアタッカーはこの間を狙います。
これはただただ速く動けるようにするだけ(テンポのみ)では対応できない差です。
どれだけ速く動いても、リズムが同じままだと動けない間はやはり存在するからです。
ということは、自分のリズムを読み取り、相手のリズムを読み取り、必要に応じて相手のリズムにアジャストできる引き出し(=複数のリズムを使い分ける)を持ち合わせている必要があるのです。
重力下においてリズムやテンポを生み出す、変化させるための身体の機能は確実に存在します。
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4月か5月。
お読みいただきありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
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