先週末、全国にいるJARTAの認定トレーナーが一同に集い心技体を高め合うためのトレーナー合宿が開催されました。
今年で5回目、今回は認定コース受講中の方を含めて約70名が参加しました。
JARTAのトレーナー合宿というテーマですが、最後の部分は僕にとって非常に重要なことを書きました。ぜひ最後まで読んでみてください。
常に他者軸で物事を考え、進め、予測することを求められるのがトレーナーという仕事。
だからこそ自分自身の日々の研鑽の重要性は高く、「当たり前基準」をどれだけ上げられるかが選手のサポートの裏に据えられた我々自身へのエンドレスタスクです。
働きながら1泊2日という時間を確保することは非常に難しいことですが、今回もそれぞれ自らのタスクを持った多くの方々にご参加いただきました。
約4ヶ月前から合宿参加者のFacebookグループを作り、そこで様々な課題に取り組むというスタイルで実質的に合宿をスタート。
10以上の議題をグループ内で立ち上げ、そのそれぞれで活発な議論がなされました。
その議論は論文やトレーニング、そして指導における考え方など非常に多岐に渡るものでした。
今回取り扱ったテーマの一つは、EBM。
Evidence Based Medicine。
EBMとは、「個々の患者のケアに関わる意思を決定するために、最新かつ最良の根拠(エビデンス)を、一貫性を持って、明示的な態度で、思慮深く用いること」、「入手可能で最良の科学的根拠を把握した上で、個々の患者に特有の臨床状況と価値観に配慮した医療を行うための一連の行動指針」、「個々の患者の臨床問題に対して、(1)患者の意向、(2)医師の専門技能、(3)臨床研究による実証報告を統合して判断を下し、最善の医療を提供する行動様式」などと定義されています。
(日本理学療法士学会HPより引用)
簡単にまとめると、治療効果・副作用・予後の臨床結果に基づき医療を行うという考え方です。
これは特にメディカル分野において我々が当たり前に理解しておかなければならない部分です。
トレーナーはチームでの役割次第でメディカルからフィジカルまで担いますが、特にメディカル分野に近ければ近いほど重要度が高くなる考え方です。
結果として同じことをやるにしても、それを知って判断・実行するのか、知らずにそうするのかの差は果てしなく大きいものです。
今回は真木トレーナーにその重要性・考え方・論文検索の方法論まで講義してもらい、僕自身にとっても非常に重要な時間となりました。
*真木トレーナーは今回新たにスタートしているJARTAコンディショニングスキルコースの総合プロデュースをしていただいた論文モンスターです笑
僕が彼を素晴らしいと思う点の一つが、選手への想い、人格的なところや技術的なところは当たり前として、人の構造や動きを発生学から紐解く考え方を持っていてそれをすでに臨床応用しているところです。
この考え方は非常に重要で、例えば肩関節は肩関節という名前を人間が後から名付けただけで他の部位との関係性を前提として成立しています。決して単独で成立するわけではありません。そうである以上、どの順番で発生したのか、発生の流れ上どの構造と関係が深いのか、などの視点は肩関節を診る上で不可欠です。
(それ知らないトレーナーと知ってるトレーナー、どちらに肩関節任せますか?)
やや話が逸れたので合宿に戻ります。
もう一つここで触れておきたいテーマが、範囲と深度です。
スポーツトレーナーとしてパフォーマンスに影響を与えると考えることができる要素の範囲と、スポーツを軸にした歴史的な出来事についての考察の深さについてです。
例えば、極論ですが、解剖学や運動学、栄養学などでパフォーマンスを上げるには十分だと考えるトレーナーと、それ以外に膨大な要素がパフォーマンスに影響を与える、それを理解しているトレーナーがいたとしたらどちらに自分のパフォーマンスアップをサポートしてもらいたいでしょうか。
これは僕が長い間トップアスリートたちと接してきて感じていることですが、彼らは、決して筋肉や食事や睡眠だけが自分のパフォーマンスを決めるとは思っていません。
もっと多くのファクターが自分に影響を与えていると感じ考えているし、自分が影響を与える範囲の大きさを知っています。
引用:https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d26fb24e4b07e698c45e0c0
であれば、その影響因子を選手以上の範囲で知っていなければならないのが選手を支える立場の「当たり前」なのではないでしょうか。
「範囲」の部分にも含まれますが、深度については、その代表例が歴史です。
僕らは、先人たちのどんな積み重ねの結果、今の景色を見ることができているのだろうか。
現在というものは、過去の様々なできごとが積み上がった結果、繋がりを持って目の前にあるはず。
それって「スポーツの持っている力」を知るためには不可欠な視点なのではなかろうか。
例えばオリンピックでは、「ブラックパワーサリュート」、「ナチオリンピック」「ブラックセプテンバー事件」「冷戦によるモスクワ五輪ボイコット」など、様々な出来事が起こってきました。
僕はスポーツの持つ力を感じ、それに魅了された一人として今の立場にいると思っていますが、スポーツの持つ力を良くない方向に利用された典型例がこれらの出来事だと思っています。
大きな力を持つスポーツ、それに関わるその一端を担う以上、我々は「スポーツの持つ力」を知っていなければならない。
力は、それそのものに良し悪しがあるのではなく、扱う者次第です。
そのためにこれまでその力がどんな出来事を引き起こしてきたのかを知っておかなければならない。
それを踏まえた上で自分たちが社会に与える、与えられる影響について議論しなければなりません。
そして残念ながら今のトレーナー界にそんな動きはほとんど見られません。
スポーツと戦争、スポーツと政治、スポーツとイデオロギー、スポーツと感情、スポーツと希望、それぞれ決して無関係ではありません。
僕は、JARTAに関わってくださった方々には本当の意味でスポーツの力を知ってもらいたいと思っています。
本当の意味でスポーツの力を知っているトレーナーを生み出していきたい。
自分たちがどれほど大きな力に関わってその一端を担っているのかを知っている存在になっていってもらいたい。
そんな思いで、東京オリパラが近づいてきたこの時期だからこそということでオリンピックの歴史を扱う講義をしました。
*オリパラは個人単位でなく国単位での参加なので、その当時の社会情勢が色濃く反映されます。
そういう意味で今回の旭日旗の持ち込み許可はそういう時勢を意味しているのでしょうね。。
五輪憲章という「オリンピックの憲法」に反するという意味でも、僕個人的には、非常にナンセンスだ、という意見を持っていることは明言しておきます。
自国開催が、誇りを持てる大会にしてもらいたいです。
***
回を重ねるごとの参加者の皆さんの雰囲気の変化には、僕自身にも想定以上・以下があり、それは今後どのようにJARTAの舵取りをしていくかの思考材料になっています。
このような経験、材料、感情をいただけたことを決して無駄にしないためにも、これからの活動をよりクオリティの高いものにしていきたいと思います。
全てはパフォーマンスアップのために。
最後になりましたが、運営責任者を担ってくれた岩渕トレーナーが合宿の全てを企画運営してくれました。
そして今回から初めての取り組みで認定トレーナーの方々も運営スタッフとして加わってくださり、これまでにない形での関わり方を体現しつつ合宿全体を支えてくれました。
背景の異なるたくさんの人が集まる場、必ず文句や批判もあるだろうけれど、出されたものに文句を言っている間はまだまだです。
自分が動くことで変化を起こすというのがスポーツトレーナーの持つべき重要な能力と視点。
もちろん運営側としては、完全なものがないことは分かっていても完全を目指すべきということは忘れてはならないけれど。
運営スタッフの皆さん、彼らを支えてくださったご家族や職場の皆さん、彼らは費やした時間以上に成長しました。間違いなく。
これからの姿に期待してください。
本当にありがとうございました。
JARTA代表
中野 崇
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