想定内だよ。

想定外だった。

 

 

 

スポーツ現場にいると非常によく耳にする言葉です。

 

 

 

想定の、内と外。

つまり想定できていたことと、想定できていなかったこと。

 

 

 

選手、指導者含めて試合、大会、そして練習の場で起こること全てが想定内である方が良い結果の確率が上がることは言うまでもないと思います。

逆に想定外が多ければ当然試合に負ける確率は上がります。

 

 

 

では想定「内」とはどういう状態なのでしょうか。

 

 

 

辞書によると、想定とは「仮に条件や状況を設定すること」とあります。

 

 

 

ここから察するに想定内という言葉が意味することは「予測できていた」とするのが妥当だと思います。

想定内という言葉を聞いたとき、ここはおそらく誰しもが考えることでしょう。

 

 

 

でもこれって考えてみると非常に抽象的。

 

 

 

僕は選手に対しては「想定できている」という状態をもっと具体的に要求しています。

スポーツにおいて本当の意味で「想定内」にするための基準と言い換えてもいいかもしれません。

 

 

 

 

 

「想定内」状態の基準。

 

 

 

それは想定した出来事に対して具体的な対策まで準備できている状態としています。

 

 

 

例えば、車で出かける時、「渋滞するかもしれない」と想定したとします。

だからそれを考慮して早めに出発。

ここで実際渋滞だったら「想定内」とするのは日常生活レベルでは十分かもしれません。

 

 

 

しかしスポーツのシビアな状況ではかなり不十分。

渋滞するかもしれないから早めに出発、だけでは不十分。

なぜなら想定したことへの「的確な対処」には「迅速な」が条件が付くからです。

スポーツでは起こり得る事象とその対処法についてもっと具体性が必要です。

曖昧さは時間の遅れの下部構造です。

 

 

 

 

■スポーツで求められる想定の思考回路例

そもそも、車で行く必要性は?車で行くことのメリット・デメリットの整理。

他の移動手段との比較。

渋滞するかもしれないポイントを複数想定。

それぞれで渋滞した時の対処法。

迂回する。→それぞれの迂回路の想定。

このポイントでの渋滞であれば許容する、そのまま渋滞を進む。

それでもどうしようもない時の対処法。

→遅れた時の対処。

遅れる可能性があるという事前連絡、その時関係者にどう動いてほしい、などの指示も含みます。

そしてこれらそれぞれにおける心理状態の予測。

 

 

 

***

 

 

 

つまり想定内にできている状態とは、想定した状況が発生した時の対処法まで整理・準備できていることとしています。

行動面だけでなく精神面も含めてです。

 

 

 

想定した出来事が発生。

プランA、プランB、プランCのいずれかから選択。

そしてその選択基準がクリアになっていることが重要です。

 

 

 

試合に向けての良いミーティングは必ずこれらのポイントが押さえられていますね。

 

 

 

もちろんミーティングで想定した事象とは違うことが起こるのもスポーツ。

見たことないフォーメーションを使ってきた。

データにない選手がものすごいハイレベルだった。

前回の対戦よりも一気に力をつけてきていた。

などなど、いくらでも起こり得ます。

 

 

 

これらはつまり想定外。

*本来は上記ぐらいなら想定内が当たり前。

 

 

 

勝てないチームは「想定内」の詰め方が不十分であるだけでなく、想定外に弱い。

 

 

 

想定内の範囲を広げ対処プランを構築する作業はいうまでもなく重要ですが、同時に想定外も突き詰めなければなりません。

 

 

 

想定外とは、想定内と深く関係します。

想定の、外側。

内が存在してこそ、外が存在します。

つまり大前提として、想定内がなければ想定外も存在しない。

想定内を明確にしていない想定外は、ただ何も予測していないだけであり、常に場当たり的になってしまいます。

 

 

 

想定外の事象に出会った時に重要なことは、想定外が起こった時の行動基準と心理状態を明確にしておくことです。

 

 

 

スポーツですから多くの人が関わります。関与する人が多ければ多いほど、想定外は起こりやすくなります。

また、競技によっては自然環境が関与することも、道具の状態が関与することもあります。

施設の停電や天井の部分崩落が起こって試合が中断することだってあります。

 

 

 

だから必ず想定外が起こる、というスタンスは不可欠です。

 

 

 

想定できていない出来事への対処においては、根本的な行動基準が勝負を分けます。

必ずチーム優先の行動をとる、とにかくまず精神的に落ち着かせる行動をとる、などです。

 

 

 

また、想定外に対峙した時に自分がどういう心理になるのか、その時心理的にどう対処するのも必ず想定しておくことも重要です。

 

 

 

足が地に着かなくなる、動悸が激しくなる、頭が真っ白になるなど、だいたい予測できるはずです。

だからそうなったらどうするのか、が重要になります。

 

 

 

僕はJARTAのあるトレーナーから想定の構造について教わって以降、チームでの指導にあたる際、想定内・外をテーマにしたディスカッションの時間を必ず取るようにしています。

例えば朝起きてから試合終了までの想定外をシェアし、次にそれが起こったらどう対処すべきなのかを議論したりです。

 

 

 

 

想定内をしっかり整理しておくことで、想定外が想定内の外側であることが認識できます。

想定外であることを認識することは、その後の想定内につながります。

 

 

 

 

全てはパフォーマンスアップのために。

 

 

 

 

 

中野 崇

 

 

 

追伸

今週末はJARTAのトレーナー合宿です。

年に一度の開催です。

トレーナーという他者をサポートする仕事だからこそ、自分の成長、そのヒントの獲得にひたすらフォーカスする時間は僕らにとって非常に重要なものとなっています。

 

 

 

 

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