人間の持つ特性の一つとして、主観というものがあります。
主観とは、自分だけが感じるものの見方のこととされ、同じものを目にしても他者とは異なる感想や印象を受けるなどのことです。
それに対して客観とは、調査データや数値などで表されるものです。
または自分(主観)以外の立場からみた捉え方を意味することもあります。
二つ目はあとで重要な意味を持ちます。
例えば身長175cmは客観的な情報です。
しかしそれを高いと感じるか普通または低いと感じるかは、主観です。
ピッチャーが投げる140km/hは客観。
速いと感じるか遅いと感じるかは主観。
主観を決定づけるのは自分との対比である場合もありますし、属する社会の価値観や文化による影響による場合もあります。
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今回掘り下げたいのは、自分との対比による主観の部分。
同じものを見ても、自分との対比によって主観が形成されるという側面についてです。
Aさんが身長175cmで自分が185cmであれば、Aさんは低いという主観。
これは誰でもわかりやすい話ですが、もう一つ自分との対比による主観には感覚や動きによる対比までも含まれるという特徴があります。
引用:https://spread-sports.jp/archives/6928
例えばそのサッカーインターハイで最も速い選手であっても、エムバペ選手からみたら”遅い”選手。
サッカーの「速い」なのでなかなか数値化できませんが、このことは感覚や動きも主観の形成に影響を与えることを意味します。
自分の動き次第で、相手の動きの見え方が変わる。
このことを僕の仕事の根幹部分でもある「他者を分析する」という点に当てはめると、ものすごく重要な意味を持つことになります。
つまり自分の動き次第で、分析対象=選手の動きの見え方が変わる。
もちろん、たくさんの選手の動きを目にしてきた、というある種の客観に近い主観(俗にいう経験値)によって補えるという側面もあるでしょう。
しかし自分の感覚から見出した主観と、たくさんの選手を目にしてきたという”ある種の客観”との両方を使えるのと、どちらか一方しか使えないのとではどちらが選手にとって有益な存在になり得るでしょうか。
*目の前の選手をみて判断している(客観データを使っていない)のでどちらも主観ではあります。
*知識はもちろんのこと
文章ややこしいですが、要するに両方使えるのか、一つしか使えないのとではどっちがいいかということです。
自分の感覚から見出した主観のみ
たくさんの選手から見出した客観に近い主観のみ
両方使う
どれが的確な”主観的判断”ができるでしょうか。
もちろんこれらはあくまで主観で判断すべき局面に限定した話です。
主観に頼りすぎることも多々問題があります。
利用できる客観的データがある場合は、利用不可欠です。
要するにどちらかに優劣があるわけではなく、主客両側を目的や状況に応じて使いこなす必要があるということはもはや言うまでもないことです。
ちなみに自分の感覚から見出した主観は、対象となる選手が高いレベルに達している時に非常に重要になってきます。
なぜなら高いレベルの選手は、”客観的なもの”からは決して分からない感覚を使いこなしているからです。
(そしてそれらは現状の測定技術では”まだ”客観化できないものが多い)
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トレーナーの世界では動作分析という仕事が、トレーナーの仕事全体の質にものすごく大きな影響を与えます。
なぜなら選手の動きからその選手が抱える問題に関する様々な仮説を立てたりトレーニングの効果を検証したりするからです。
もちろん機能的な評価も非常に重要なのですが、それは決してリアルな評価(試合での動き)ではありませんし、そもそもどの評価項目を選択するのかも動作分析がベースにあります。
分析においても効果検証においてもトレーニングに携わる上では動作分析能力が差を生むことは逃れようのない事実です。
その動作分析において、自分自身の動きのレベルが必ず影響を与えているというのが僕の主張です。
だからこそ、トレーニングを指導する側は知識だけでなく自分自身の動きを高める必要がある取り組みを続ける必要があるのです。
年齢的なこともあるので永続的には無理でも、少なくとも一度は非常に高いレベルで動ける感覚を得られるところまでは到達すべきです。
手本のレベル次第で選手の持つモデルイメージが変わる、という点だけでなく主観つまり「選手の動きの見え方」ひいては動作分析にも影響を与えるという点においてです。
他者である選手を分析してパフォーマンスアップの手段(トレーニング)を構築するという役割だからこそ。
自分でなく他者に努力をさせるという立場だからこそ。
このことは徒手によるコンディショニング(施術)にも全く同じことが当てはまります。
相手の筋肉が硬い、柔らかい、というのは主観です。
だからトレーニングを指導する立場じゃないから自分は関係ない、ではなく関係あります。
また、ストレッチなど相手の身体を持って操作することもありますが、それも自分の身体操作のレベルが効果の差を生む大きな要因となっていることは言うまでもありません。
だからJARTAのコンディショニングスキルのコースではコンディショニングの方法だけでなく施術者側の身体操作についてもしっかり取り組みます。
▶︎JARTAコンディショニングスキルコース
https://jarta.jp/j-seminar/course/conditioningskillcourse/
▶︎JARTAトレーニング理論コース
身体操作の鍛錬は当然高いレベルまでやります。
イナシもやります。
https://jarta.jp/j-seminar/course/traininglogiccource/#c
▶︎両方兼ね備えたトレーナーになりたい方は、認定トレーナーコースへ。
https://jarta.jp/j-seminar/newcourse/
追伸
今回の内容にも登場しましたが、ハイレベルな選手の感覚や現象は、現在の技術では客観化できないファクターが含まれています。
近年、測定技術の発達によって「主観」とされてきたものを「客観」で表せることが少しずつ増えてきました。
例えばピッチャーの投げるボールの「キレ」。
これは当初紛れもなく主観のみでした。
今ももちろんバッターそれぞれの持つ感覚によって変化するものであることには変りません。
しかし、キレのあるボールとはどういう現象のことを意味するのかを回転数やボール変化値、ピッチトンネルなどの観点から徐々に客観化できるようになってきています。
そうなるとどういう方向にパフォーマンスを高めれば良いかの方向性が客観的にわかるようになりますのでトレーニングも当然変化(洗練)してくるはずです。
測定と分析技術の発展によって”使えそうな”主観→客観化→それを一般化して再現という流れは必ず起こります。
もちろんこのような話も含めて客観数値は非常に強力なものという印象もあるかもしれませんが、いくら客観データがあってもその解釈がズレたり偏ったもの(主観偏重)になれば、それは本質的には客観的なものではなくなることもあります。
統計データを都合よく出したり隠したり、も同じ構図です。
人は見たいものだけを見る。自戒を込めて。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
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