指導をしている時や何かを説明していたりする時、なかなか理解してもらえない相手に出会うことがあります。
繰り返し繰り返し、何度説明しても、なかなか理解してもらえない状況。
そんな時はもしかしたらイライラするかもしれません。
相手の理解度が、相手の知識のなさが、とか、理解をしてもらえないのは理解しない相手の責任、という感覚に陥ることもあると思います。
しかし、よく考えてみるとこれはチャンス。
理解してもらえない相手が現れたときはチャンスです。
つまり、自分が本当に深く理解しているのかを試される貴重な機会ということ。
相手が理解できないと感じるケースでの原因を全て自分の責任だと仮定して分析すると。
①自分が使っている用語に問題あり
例)専門用語や感覚言語などを多用しているケースなど
②自分の説明の構成に問題あり
例)前置きや条件設定が長すぎて本題の前に相手が”迷子”になっているケースなど
大きく分けるとこの二つです。
①は、「相手の言語」に合わせる必要があります。
相手がイタリア人なら片言でもイタリア語(と英語)。
でも本質はそこじゃなくて。
相手の言語は日本人ならもちろん日本語なのですが、だからこそややこしい部分があります。
同じ日本人同士でも使う言語は違っていると定義する必要があると僕は考えています。
その前提において、そこには3つのギャップが存在します。
1)世代間・性別ギャップ
おじいちゃん世代と20代が使う言葉は大きく異なります。
仮に同じ単語でも、ニュアンスが異なることすらあります。
また、性別ギャップは男性と女性で同じ言葉でも意味が違う場合があるということです。
例)あなたはいつも〇〇だ。
男性→every time
女性→7~8割または数回で「いつも」と表現されることもある
*男性の皆さん、女性の「いつも」に「いつもじゃないし!こないだは違った!」などやけになって言い返しても火に油を注ぐだけです笑 単なる一例であり他意はありません。
参照▶︎若者言葉は使える!
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12250060270.html?frm=theme
2)業種ギャップ
代表格は専門用語の使用です。
僕らであれば解剖学用語や生理学用語を使って選手に説明しても理解してもらえません。
また、アスリートは彼ら独自の感覚言語を使います。「ボールに入っていけない」など。
僕はアスリート語と呼んでいます。
参照▶︎アスリートの感覚を理解する方法
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12245831579.html?frm=theme
取材の時など、強く感じる部分です。
記者や編集の方には僕らの使う専門用語や表現はなかなか伝わらない。
3)入出力ギャップ
人間は視覚・聴覚・体性感覚という大きく三つの入り口から情報を仕入れます。
*大前提として視覚情報を優位に入力しますが、他の感覚との割合が人によって変わります。
その人がどの入り口からの情報を優位にしているかによってアウトプットに特徴が出たりします。
例えば聴覚タイプの人は擬音を使った説明が多くなったりです。
自分と相手のタイプが違えば、話が伝わりにくくなることがあるのです。
そのためにはまず自分がどのタイプなのかを知ることが不可欠です。
説明者は、自分を知り、その上でこれら3つのギャップを埋める努力をする必要があります。
*自分がそもそも信頼されていないなどのケースは除く…。
②自分の説明の構成に問題あり、について。
これは国語力です。しっかり勉強しましょう。
とやってしまうと元も子もないので、もう少し分析します。
説明の構成には大きく分けて3つ(+α)のタイプがあります。
1)順を追って話すタイプ
論文的な順序であり、起承転結という構成です。
その話をするに至った経緯や理由などプロセスを追いながら進め、最後に結論・主張がくる構成です。
一般的には話が長くなります。
2)結論から話すタイプ
まず結論や主張を提示し、その理由は、、という形。
プレゼン向きの形式です。何かを説明するときもこの形式が好まれますが、全員がこの形式で理解しやすいというわけではありません。
1)の方が理解しやすい人も同じぐらい存在すると思います。
3)常に何かと比較しながら話すタイプ
他の競技やトレーニング、職種、海外と比較しながら説明する形式です。
よく使われます。
過去のものとの比較する場合もありますね。
CMで新製品の良さを「当社比」としているのもこの形式です。
+α
ちょっと高度ですが、ピンポイントで相手が食いつくポイントのみ話す、食いついてきたらさらに説明を進める、という形式。
相手の食いつくポイントをしっかり把握できていないと成立しませんね。
これら1)~3)は理解するときの思考回路タイプとも言えます。
そのタイプが自分と相手とでずれている場合、伝わりにくくなるのです。
例)自分が1)タイプでプロセスから話すが、相手が2)タイプで結論から聞きたいのに話長いやん要するに何が言いたいねん、と感じるなど。
参照▶︎意図が伝わらないかなり大きな要因
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12391849226.html?frm=theme
これも相手がどのタイプかを推察するのはもちろんですが、まずは自分がどのタイプなのかを知ることが重要です。
その上で、相手に合わせた表現タイプを使いこなしましょう。
最後にもう一度まとめます。
▶︎相手が理解できない理由
①自分が使っている用語に問題あり
以下の1)~3)のギャップを埋められていないことに起因する。
1)世代間・性別ギャップ
2)業種ギャップ
3)入出力ギャップ
②自分の説明の構成に問題あり
以下の1)~3)の説明形式が相手の思考回路とずれていることに起因する。
1)順を追って話す(丁寧)
2)結論から話す
3)常に何かと比較しながら話す
これらは、自分がそもそも信頼されていないケースや、価値観そのものが非常に大きく異なるなどのケースは除きます。
そういった場合は、「理解」してもらえる以前に、話を聞いてもらえるまでの関係づくりの方が優先されます。
***
「理解してくれない相手」に出会ったとき、相手の責任にするのは簡単です。
しかしそれではせっかくの成長の機会がふいになります。
自分の説明能力やそもそも自分が理解できているのかという仮説のもと、自分が成長するチャンスと捉えるとそんな場合でも充実した機会になるのではなかろうか。
いくら充実した知識や技術を持っていても、伝わらなければ宝の持ち腐れです。
理解という現象を深く理解することはその点において有効に作用するはずです。
よければ以下の記事も読んでみてください。
参照▶︎理解という現象の構造
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12330062078.html?frm=theme
参照▶︎知っていると理解しているの違いは?
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12387910278.html?frm=theme
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
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▶︎バランスボールトレーニングを行う意味。
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12452177179.html
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