連載中のサッカークリニック記事の締め切りが迫る中、ツイートした少年野球の練習時間の話にまだ悶々としてるのでそちらについて先に書いてます。
僕のツイート。
まさか、、GW10連休全てを練習と試合で埋める少年野球チームなんてありませんよね?
— 中野 崇|JARTA CEO (@nakanobodysync) 2019年3月3日
しかもそれ朝から夕方までとかやりませんよね?
プロでもキャンプは4日やったら1日休むんですから。
発端は、今年のGW10連休を全て練習・試合で埋めるという少年野球チームがけっこうあると耳にしたこと。
しかも朝から夕方まで。。
10連休と知った時に薄々は危惧していたことですが、まさかほんとにやるのか。
少年野球よ?
小学生よ?
全て練習にする、という選択は、どんな理由があるのだろうか。
そしてそこに根拠はあるのだろうか。
よく耳にする理由は。
小学生でまだまだ下手、野球をわかっていないからできる限り練習すべき。
練習すればするほど上手くなる時期だから。
他のライバルチームがやっているから、それ以上または同じ量をやらないと差がついてしまうから。
気持ちはわかります。
指導側もそのようにしてやってきた、もしくはもっと練習すればもっと上手くなれたんじゃないか、という思いがあるのもわかります。
しかし、あまりに短絡的すぎないか。
量という観点しか基準になってないじゃないか。
あらゆる面から僕はこれを否定したい。
まず、体力と集中力の観点から。
プロ野球でも1ヶ月のキャンプや、3週間の自主トレでも4日に1回はオフ日がある。
練習時間は例えば今年のジャイアンツであれば9時半~15時ぐらい。
メジャーであれば全体練習は2時間程度です。
そして各自の課題を補うために自主練時間を設けています。
これはなぜか。
まず体力の回復、そして集中力のリセットという観点。
体力の回復には、野球という競技の特性上、同じ動きを繰り返す必要があるため、肩や肘の負担蓄積を避けるためとされています。
プロぐらい身体が出来上がっているレベルでも、です。
集中力のリセットには、思考や練習を整理するという意味も含まれています。
ずーっと情報や刺激が入り続ける環境だと、思考が整理する余裕が奪われます。
当然ですが、集中力と「習得できるもの」は相関があります。
つまり休むことにはちゃんと意味があるし、休むことがよりパフォーマンスを高めることにつながる理由は明確にあります。
10連続練習の決定の背後には、休む=意味がない、その間には伸びない、という考え方があるのではなかろうか。
加えて更に重要なことは、この行為が子どもたちの「野球以外の時間を奪う」こと。
小学生。
小学生なんです。
家族と過ごす時間や、野球の友達以外と過ごす時間、遊ぶ時間だってものすごく重要なんです。
情緒の安定的にも、人格形成的にも、そして運動発達的にも、野球以外のことも重要なんです。
例えば運動であれば、単一の運動だけでなく複数の運動を経験した子どもの方が基礎運動能力が高まることは科学的にも証明されていますし、感覚的にもこれはわかると思います。
もちろんこの議論は10連休だけが対象じゃありません。
少年野球だけが対象ではありません。
あらゆるスポーツで考えるべき部分です。
少年カテゴリーのチーム・指導者が目指すべきは、目先の勝利、目先の上達なのか。
もちろん勝たせてあげたい、勝った喜びがそのスポーツを好きにさせる、ってのもわかります。
でも本当に良い指導者は、負けたって失敗したってそのスポーツをもっと好きにさせることができるはずだし、野球に必要なことが練習だけでは培われないのも知ってる。
そこが指導者としての腕の見せ所じゃなかろうか。
最小限の練習時間で、最大の効果を発揮するための練習方法や環境を作る。
そのための思考回路を子どもたちに身につけさせる。
そしてチームに入ってきた子が、そのスポーツをめちゃくちゃ好きにさせる。
ずっと好きでいられる。
そんなチームが増えてほしい。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
追伸
この問題は、自分が野球を始めた30年前からほとんど変わっていません。
ちゃんと考えている指導者の方やチームが出てきている一方で、まだ全然「標準化」できていないんだなと感じてしまう出来事でした。
あるチームでは、少年野球チームに在籍している間に肩や肘を一度は痛めるのが普通、という考え方があるとも耳にしました。指導者や親がそれを「普通のこと」としている。
野球において少年時代に肩や肘を痛めることがどんだけ大きい問題につながるのか、そんな常識を作って受け入れてしまうことがどんだけ子どもたちの伸びしろを奪っているのかをもっと知るべきだよ。
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