トレーニングには、外見からは分からない、もしかしたら思ってもみないような目的がある場合があります。

 

 

 

今回はそんなお話。

 

 

 

トレーニングを指導していると、「足裏のどこを使えばいいですか」という質問によく出会います。

足裏の前なのか後ろなのか、内なのか外なのか。

 

 

 

JARTAのトレーニングでは、初期は多くが「くるぶしライン」という場所で体重を支えるところからスタートします。

*くるぶしライン:内くるぶしと外くるぶしをつないだライン

 

 

しかし大半のスポーツではつま先(母指球)を使う必要があるので、選手が戸惑うことがあります。

もちろん、くるぶしラインは基礎というだけで、トレーニングが進むとつま先も使いますが。

 

くるぶしラインを使うフェーズ。

 

つま先を使うフェーズ。

 

 

 

なぜ、くるぶしラインからトレーニングをスタートするのか。

 

 

 

スポーツでつま先使うんだからつま先に乗せてやるトレーニングからやったほうが手っ取り早いっしょ。

 

 

 

その話に入る前に、そもそも足部の持つ特徴、パフォーマンスにおける役割について簡単にまとめます。

なるべく簡単に書くつもりですが、やや専門的な表現も出てくるので先にまとめから。

 

 

 

要するに。

 

 

 

足部は土台だから全身に影響を与える。

感覚がめちゃ鋭い。

身体の歪みをカバーして足部も歪むことがある。

それは身体のシステムだから利用するのはOKだが、そのままにしておくと足部が歪んで問題が起こる。

こんな感じです。

 

 

 

ややこしい話が苦手な方は次は飛ばしてもらってもOKです笑

 

 

 

▶︎唯一地面と接している

唯一地面と接しているということは、足部の状態によって全身の動作が影響を受ける可能性があるということです。

例えば土踏まずが機能低下を起こしている場合、足で身体を支える時に膝や股関節、仙腸関節などに通常とは違う方向のベクトルが発生し、歪みや関節への負荷を生み出すことがわかっています。

これは家でいうと土台が傾いた状態。

傾いた土台の上に建っている家はまっすぐに見えてもやはり歪んでいます。

つまり背骨や肩甲骨など全身に影響が及ぶということです。

 

 

 

▶︎ものすごく多くの骨や筋肉によって構成されている

足部は多くの骨や筋肉によって構成されています。

どうしてこんなにも多くの骨や筋肉によって構成されているかというと、分節的に可動域を変化させて様々な場面で柔軟に対応する必要があるからです。

平坦な道もあれば不整地もあり、また硬さも様々です。

走ったり大きな力を発揮したりとあらゆる環境に対応することが足部には求められるため、適応するためにこのような形態をしていると考えられます。

裏を返せば、柔軟な対応ができなくなった時、可動域が制限されて一定のパターンでしか動けないような形態になると機能障害が発生するのです。

その機能障害が起こる部位は、足部だけに限りません。

 

 

 

▶︎感覚がものすごく鋭い

足裏には、メカノレセプターと呼ばれる感覚を伝える受容器が豊富に分布しています。

これによって、移動することで変化し続ける重心の動揺と地面との関係を常に感知し、静的・動的なバランスが保たれています。

メカノレセプターは、触覚、圧覚、振動知覚、関節位置覚、運動覚のほかに、筋の張力、筋の伸張性速度や長さの変化を受けとります。

靴の中に石が入ったとき、ものすごい違和感に耐えられなくなって靴を脱いでみたら、思った以上に小さかった笑、みたいな経験があるかもしれません。

足裏は身体の中でも相当に感覚が鋭い場所なのです。

 

 

 

▶︎足部の構造的特性

足部は柔軟に可動性を変化することができると言いましたが、これは他関節の制限の結果として足部でカバーしてしまうこともあり得ることも意味します。

しかし、可動性に富んでいるがために他の関節が硬くなってしまうと、それをカバーするために足部が形状を変化させて対応することがあるのです。

これは身体の持つフォローシステムなので、メリットとも言えます。

しかし慢性的にそのような状況が続くと、そのパターンで足部が適応して可動域に制限ができてしまいます。

そうなると地面に対して可動性を変化して対応できずに過剰な負担となったり、他関節の動きに対して対応できずに過剰な負担となることが考えられます。

 

 

 

 

こういった前提を踏まえて、まずつま先(母指球)を使うか踵を使うか。

まず結論からいうと、つま先は使うべきです。

つま先を使うことで重心を前に移動させやすかったり、足裏の筋肉を使えたり、メリットが多いからです。

 

 

 

使うべきなのですが、そこには条件があります。

条件というのは、「つま先を使うことで起こるデメリット」を解消できているかどうか。

 

 

 

▶︎つま先(母指球)を使うことで起こるデメリット

つま先に乗ろうとすると身体の重心が前方移動し、大腿四頭筋を含む身体前面の筋肉が過剰に働きやすくなります。

下り坂を降りる時には太モモの前面が緊張しますが、これは前に転ばないように大腿四頭筋でブレーキをかけているのです。

このことから太モモ前面は基本的には前に進むときのブレーキとして作用する構造であることがわかります。

走るためにつま先で地面を蹴る状況で、身体にブレーキがかかりやすいという矛盾を抱えやすいのです。

 

 

 

▶︎つま先(母指球)を使うための条件

つま先を使った時に、太モモの前面ではなく、裏側にあるハムストリングス(上半分)・大臀筋が働くこと。

これらは前方に進むときのアクセルとして作用する筋肉です。

前に進むためにつま先で蹴るというベクトルと一致します。

 

そのためには、

インナーユニット(横隔膜・腹横筋・骨盤底筋群・多裂筋)を働かせることで腹圧を高め、体幹を安定させる必要があります。

腹圧が高まると、横隔膜、骨盤底筋群への負担を軽くし、柔軟に働かせることができます。

また、横隔膜と筋連結する大腰筋も優位に働かせられ、同じ股関節屈曲の作用を持つ前モモの筋群(ブレーキ)の過剰な働きを抑えられます。

 

 

 

▶︎どーすりゃええのか

その状態を作るためには様々な方法があります。

呼吸を使う方法もあれば、脇の筋肉(前鋸筋)を使うこともあります。

JARTAのトレーニングがくるぶしライン乗せからスタートするのもその方法の一つです。

*先にモモ裏使える状態作っているのです。

例えば脇の筋肉であれば、前鋸筋は体幹を斜めに通る外腹斜筋と連結しているので、腹圧の向上を補助します。

腹圧が高まると、上記の好循環に入りやすくなります。

 

 

 

ここまででお分かりのように、肩甲骨のトレーニングをやっているように見えても、実は体幹のためであったり、実はつま先を使える条件を整えるためだったりします。

 

 

 

動画を見て真似するだけでは不十分、直接の指導に意味があるのはこういう側面もあるからなのです。

 

 

本当にそのトレーニングの持つ作用を最大限獲得するためには、JARTAのトレーナーに直接指導受けてみてください。

JARTAのトレーニング指導は下記から。

http://jarta.jp/dispatch/

 

 

 

 

 

 

足裏の内か外かという問題については、長くなったので次回。

 

 

 

 

 

 

全てはパフォーマンスアップのために。

 

 

 

 

 

中野 崇

 

 

 

 

追伸

こういうことを書くと、僕が発信しているトレーニングについての質問などがたくさん来たりするのですが、基本的には個別の質問にはお答えしていません。

なぜなら、それだけ選手の身体や動きは千差万別であり、それに合わせて細かい方法を調整する必要があるからです。

どうかご了承ください。

 

 

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