ピッチャーがボールを投じる時、その原動力は下半身です。

股関節が重要と言われますが、もちろん股関節だけで下半身が操作できるかといえばそう単純でもありません。

 

 

 

ピッチングモーションの全体像でいうと、下半身の動きによって位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、その運動エネルギーを指先まで伝えるという流れになります。

 

 

 

そして指先に近づけば近づくほど、動きは反射の割合が増加します。

その反射は専門的には伸張反射と言われます。

もっと詳しく表現すると、RSSCと呼ばれる回旋系伸張反射です。

スーパースローで見たことあるかもしれませんが、ピッチャーの腕がぐにゃっと捻られる動きに象徴される動きです。

 

 

 

特に競技レベルが上がれば上がるほど、指先は高速運動をすることになるため、ほんのわずかなズレによって18.44m先にあるホームベース上では大きなズレとなります。

それゆえ、「ここでボールを離そう」といった意識的な操作ではコントロールがバラバラ、といった状況を生みます。

 

 

 

反射を使うメリットは、再現性が高い、ハイパワー・ハイスピードです。

*詳しくはこちらを参照してください。

 

 

 

繰り返しになりますが、下半身の動きで得た運動エネルギーを、いかに反射(RSSC)に転換できるかがミソです。

 

 

 

イップスなどは、何らかのきっかけによってこのメカニズムが崩れた状態と言えるかもしれません。

 

 

 

ではピッチングではどこでRSSCを起こすのかというと、背骨の動きです。

 

 

 

股関節と仙腸関節の作用によって背骨の根っこにある仙骨が急回旋することで、背骨も急回旋が起こります。

この時、上半身が緊張せずにリラックスできていれば、必ず背骨の下の方から回旋が始まります。

 

 

 

下の方から急回旋が起こると、上半身や腕はそれ自身の重みによって回旋から取り残されることになります。

この時にそれぞれを連結筋肉たちが伸ばされ、伸張反射が起こります。

 

 

 

これがピッチャーが上半身をリラックスしておくべき理由です。

(ちなみに伸張反射はリラックスしすぎても起こりにくくなりますので、反射が起こりやすい筋緊張の程度を習得する必要はあります)

 

 

 

また、この伸張反射をきっかけにして、首や胸を回旋させる作用によって回旋を補佐させることで回旋速度を高めるという身体操作も可能です。

あくまできっかけは伸張反射です。

 

 

 

このテクニックは、多くのピッチャーが使っています。

例えば楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大選手や、メジャーリーグで活躍した野茂英雄選手などがかなり分かりやすいと思います。

 

http://number.bunshun.jp/articles/-/828467より引用

 

 

 

このメカニズムは、フィギュアスケートの回転ジャンプなどでも使われており、人間の構造上、回旋動作において有効であることが見えてきます。

 

 

 

そんな胸や首の動きを武器にしていた投手について、分析した記事を書きましたので、ピッチャーの方やピッチャーを指導されている方は是非読んでみてください。

 

 

 

『魔球スライダーで打者を翻弄した伊藤智仁が打たれなかった秘訣とは』

https://bbcrix.com/articles/70919/original

上記ページより引用

 

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

全てはパフォーマンスアップのために。

 

 

 

 

 

中野 崇

 

 

 

 

追伸

脊柱を素早く回旋させる装置は、多ければ多いほど有利です。

骨盤の回旋、胸や首の引っ張りだけでなく、右投げでの左半身の引き込み(スライド)も非常に有効です。

踏み出した足が後ろに引かれるような動きとして現れます。

この動きは非常に難易度が高く習得条件も多いのですが、、。

ちょっとゆっくりやっていますが、こんな感じのトレーニングも使えるかもしれません。

首や胸を大きく引っ張らずに投げている大谷翔平選手やダルビッシュ有選手なんかが使っているメカニズムです。

 

 

 

 

 

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