こんにちは。
スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。
立甲。
肩甲骨を背中側に立てて、動物の前脚のような形状を作る動きです。
外見はこんな感じ。
あらゆる動物が、立甲を標準装備。
野球のピッチャーはもちろん、サッカー選手や格闘技、競艇選手や競馬の騎手まで、あらゆる競技で獲得する価値がある、非常に本質的な機能です。
立甲は、実は決して特殊なものではなく、動物はもちろんハイハイを始めた赤ちゃんが当たり前に使っているようなものです。
むしろ、機能面からみると立甲ができなくなっている現代人の方に問題ありです。
今、できない方も、子どもの頃はきっとできていたはず。
だから立甲は、獲得するというより取り戻す感じ。
サッカー選手(GK)
ビーチバレー選手
獲得するアスリートやトレーナー、セラピストも随分増えてきました。
JARTA認定スポーツトレーナーたち。
もはや立甲獲得してアドバンテージというより、できていないことが大きな遅れという状況になってきつつあります。
ただし、注意していただきたいのが、その質。
立甲にも質があります。
外見がちょっとインパクトあるので、立甲の形状ができただけで「立甲ができた」と考えるケースが多いのですが、問題は動きの中で使えているかです。
*「使えている」の解釈は後述します。
あくまでアスリートの観点からですが、四つ這いの状態でできたからって、試合で使えていなければ意味ありません。
筋肉をいくら増やしたって、試合で使えていなければ意味ないのと同じです。
「立甲が使えている」という部分の考え方ですが、まず立甲の本質を捉える必要があります。
「立甲の目的」と言い換えてもいいかもしれません。
少し専門的になりますが、立甲の機能的には「前鋸筋」(ぜんきょきん)という肩甲骨の裏側と肋骨を強固に繋ぐ筋肉がメインモーターです。
出典:http://www.musculature.biz/40/45/post_96/
また、肩のいわゆるインナーマッスルや上腕三頭筋(特に長頭)、広背筋なども協調して働く必要があります。
加えて三角筋や大胸筋、菱形筋などのいわゆるアウターマッスルの働きは抑制が求められます。
(もちろん、肩甲骨周りの柔軟性は必須)
*この話は、選手の方は理解する必要はありません。リラックスしつつ脇に力が入る感じを追い求めるスタンスでOKです。
前鋸筋は体幹を伝わってきた力やスピードを腕にロスなくつなげるための重要な筋肉ですので、前鋸筋が機能していなければ伝達ロスが生まれます。
下半身や体幹でパワーを生み、それを腕にまで伝える必要がある競技にとって非常に重要なものです。
例えばピッチングやスローイング、バッティングやゴルフ、テニスなど多くの競技がこの構図に該当します。
もちろんサッカーなど腕から体幹への伝達パターンの際も同様です。
サッカー上半身セミナーでご紹介したことも、立甲を獲得すればより効率的になります。
腕の振りを上半身・下半身に効率よく伝達できれば、スピードやパワーは確実に向上します。
このあたりが立甲の本質、立甲の獲得目的となるでしょう。
他にも肩のゼロポジション保持の範囲を拡大して肩の怪我を防ぐ、回旋系伸張反射を使いやすくなるなどメリットはたくさんあります。
また、翼状肩甲とも異なります。
詳しくは「立甲解説書」を参照してみてください。
→コチラ。
しかも、この前鋸筋を試合での激しい動き、つまりスピードやバランスと同時に発揮(作用)させなければならないのです。
だから、四つ這いで立甲ができた、というのは、とんでもなく初歩と言えます。
いやいや、腕に体重かけないと肩甲骨立たないでしょ。
そう思われる方もいるかもしれません。
この点で注意していただきたいのは、立甲の本質は外見ではないということです。
外見上、肩甲骨が立っていなくても、前鋸筋を中心とした筋群(上記)が作用し、アウターマッスルが抑制され、それがハイスピード、バランスなどと同時に発揮できていれば立甲は「使えています」。
こういう理由で、JARTAでは立甲の獲得は超初歩、そこからいかに使えるようにするかという観点でトレーニングやトレーナーの養成カリキュラムを組んでいます。
ほんの一例ですが、こんな感じ。
立甲獲得の本質は外見にはあらず。
本質を捉え、それを高めていく必要があります。
お読みいただき、ありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
追伸
立甲には効率の良い獲得プロセスがあると考えています。
この獲得プロセスは、JARTAのベーシックセミナーで考え方も含めて習得できます。
http://jarta.jp/j-seminar/course/apply/
このページで選手の立甲の動画も見れます。
スローイングセミナーでもプロ野球選手から立甲系統のトレーニングを指導受けることができます。
初歩の立甲を獲得しておくことをオススメします。
http://jarta.jp/j-seminar/ippusu/
JARTAのトレーニング指導をご希望の方は下記から。
選手の方は、JARTA認定スポーツトレーナーにも立甲獲得の指導を受けられます。
もちろん、立甲の質を高めるトレーニングも指導します。
JARTAのオフィシャルLINE@