こんにちは。
スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。
良い選手は、筋による反射作用を使っています。
ここでいう「良い選手」とは、
例えば野球のピッチャーであればピッチングの球速やコントロールが良いことはもちろん、
・プレーが安定している(調子の良し悪しの幅が少ない)
・長期的にみて怪我による離脱が少ない
・シーズン中、疲労によるパフォーマンス低下が少ない
こういう部分まで満たしている選手のことを言います。
つまり、いくら球速が速くても怪我が多い、数年だけ爆発的に活躍してもその後はパフォーマンスが低下しているような選手は、含みません。
反射の話に戻りますが、特にスポーツにおいて重要な筋反射が、回旋系の筋反射。
専門的には「回旋系伸張反射」、Rotator Stretch Shortening Cycleといいます。
我々はRSSCと呼んでパフォーマンス向上・怪我の防止においての超重要事項と位置付けています。
外見的な動きとしては、例えばピッチャーであれば、ぐにゃっとしなやかに腕が振られる場面が象徴的です。
最近はプロ野球中継やYoutubeでのスーパースロー映像なんかで見られます。
投球腕におけるRSSCでは、肩の関節が捻ってその反動で捻り戻されるような動きが出現します。
あの動きは、決して意図的に腕を捻っているのではなく、体幹部分の回旋と重心移動、そこに腕の重みの関係で生じる慣性力によって肩周りの筋群が引き伸ばされて生じる反射運動です。
なので、無意識的。
無意識的に生じる反射なので、これを映像や写真で見て外見的に捻っているからといって意図的に捻る力を強化しようとして「意図的に」捻る練習をしても、なかなかうまくピッチングパフォーマンスにはつながりません。
何故なのかというと、筋反射運動を起こすには、脱力が必要だからです。
完全脱力ではなく、ほんの少しだけ力は入れておくような微妙なさじ加減が要求されます。
脱力と入力の微妙なさじ加減が必要なので、力を入れる練習ばかりではうまく繋がらないのです。
もちろんストレッチで柔軟性を高めるという話でもありません。
RSSCを強化するには、中枢から末梢にかけての力・筋伸張の伝達とタイミング・身体各部位の位置関係など、一般的な筋力増強系トレーニングとは違うカテゴリーの能力が要求されるのです。
ピッチャーがパワーを高めようとして腕を鍛えて腕が太くなってもそれがうまく球速に乗っかってこない理由の1つがこういうところにあると考えます。
このRSSC系統のトレーニングは全身に渡って扱う必要がありますが、今回はその一部であるスパイラルパンチというトレーニングの動画を僕のインスタに投稿しましたので添付します。
注意点としては、かなり肩の周りの筋肉が引き伸ばされてかつ強力な収縮を起こすので、いきなり高速で行うとローテーターカフあたりを中心に翌日かなりキツイです。
身体を慣らしながら少しずつ速度を上げてみてください。
*安全で正確な実施方法は、十分な知識と指導力を持ったトレーナーによる指導が必須です。独自で行う場合は自己責任にて行ってください。
お読みいただき、ありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
追伸
このスパイラルパンチは、単に速度を高めるのが目的ではなく、「試合中に発揮できるかどうか」がポイントです。
そのためには、バランスとの同時発揮やパワーとの同時発揮においての段階分けが必要です。
本当に本格的に行いたい場合は、JARTA認定トレーナーの指導をご利用ください。
JARTAのトレーニング指導依頼
トレーナーや指導者の方は僕が講師をする投手用トレーニングセミナーにて習得していただけます。
このスパイラルパンチは、2018年からの新構成の内容に含まれます。
投手用トレーニングセミナー2018
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