こんにちは。
スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。
「守備からリズムを作っていこう!!」
これ、野球をやっていた人なら確実に聞いたことあるセリフですよね?
でも疑問に思ったことありませんか?
なぜ、守備からリズムを作ってくの?
攻撃からリズムではダメなの?
野球ではなぜかほとんど「守備からリズムを」とか、「守備から流れをつかんだ」というフレーズが大半です。
「攻撃からリズムをつかもう!」と言うこともあるかもしれませんが、「守備から」の方が圧倒的に多い。
野球をやっていない人にとってはこの疑問がそもそもわかりませんよね。
リズム、というのは流れとも言い換えられ、流れとは、打線がつながるとか押せ押せの雰囲気になるとか、なかなか具体的な言葉で表現はできない何か。
運とかも含めていろいろな要因から得た「精神的優位さ」とも言えるのかもしれません。
野球に限らずスポーツなら必ずこれに似たフレーズがあると思います。
具体的には言えないけど、スポーツやってる人なら全員が感じたことのある「リズム」「流れ」。
冒頭のフレーズは、これを自分のチーム側に引き寄せたいわけです。
「守備からリズムを作っていこう!!」
と多くの人が口を揃えて言うということは、もちろん代々受け継がれてきたフレーズという理由もあるでしょう。
でも、確かに試合では「守備から」リズムとか流れがこっちに来た、と感じることが実際に多い。
なぜか。
そしてなぜ守備に比べて、攻撃からリズムを作りにくいのか。
いろんな理由、考え方があると思いますが、僕の考えを一つ。
いろんな要因から総合的に考察していますが、あくまで主観です。
それは、守備から攻撃に切り替わるタイミングに起こる事に尽きると思います。
「守備からリズムを作れた!」
「こっちに流れがきた!」
と感じる瞬間は、ほとんどが守備で3アウト目を取った瞬間。
そして味方が攻撃の時に実際にヒットや四球が出たり点が入ったりして「”それ”を確信」する。
感覚的・経験的にはわかりますよね?
これって、野球がチームスポーツであることに原因があります。
なぜ攻撃と守備が切り替わるタイミングにこれが起きないかを比較対象としてみましょう。
守備から攻撃に切り替わる瞬間=相手の3アウト目を取った瞬間。
攻撃から守備に切り替わる瞬間=自分たちが3アウト目を取られた瞬間。
前者は、チーム全員が「よっしゃ!!」と思う瞬間です。
対して後者は、アウトになったバッターはもちろん、全員が100%の「よっしゃ!」とは決してなりません。
全員が「よっしゃ!」となる瞬間、チームとしての統一した意識が成立します。
これが味方にはポジティブな、相手にはネガティブな影響を及ぼし、”リズム・流れが来る”。
これは実際いろんな場面で経験しているはずです。
「なんかこの打席は打ちそうな雰囲気」
「格上の相手だけどなんか今日は勝てそうな感じ。」
「なんかジャンケンで負けそうな感じ」→僕これめちゃ多いです笑
試合やパフォーマンスに影響を及ぼす、目に見えない何か。
これの正体は多くの場合「意識」です。
もちろん股関節を意識する、とはまた違う種類の意識です。
そしてこの類の意識は、集団で統一感が出るほど強力になります。
攻撃ではこの統一感が上記の理由からちょっと弱まる。
だからチームワークが重要なんですよ。
これが団体競技の面白さですよ。
と僕が監督だったら選手たちに言います。
決してチームワークそのものを「目的」にはしません。
練習の中にチームの意識の統一力を高める作業はたくさんあると思います。
全員で掛け声を合わせた運動や挨拶。
円陣。→「円」を組むのも統一力に効果的です。
などなど。
意味のないもの、と思いながらやるともったいないですよ。
全部チームが勝つために必要なことだと僕は思います。
余談ですが、同じ理由から観客を味方にできる選手は強いんです。
僕は絶対的なエースになるピッチャーの一つの必須要素だと思っています。
(集団の意識という観点からは、こういう見方もできるわけです)
意識が目に見えないものだからってバカにしたらあきません。
特にスポーツで活躍したい人は、絶対に知っておく必要があります。
なぜなら僕がサポートしているプロ選手ともよく話しますが、プロで活躍するようなレベルの選手は皆これを感覚的には理解しています。
「守備からリズムを…」という言葉も、これを感覚的・経験的に感じわかっているからこそ出てきたフレーズだと思います。
どうせ「守備からリズムを」フレーズを使うなら、このことをチームとして理解して使うとより効果的になるやもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
追伸1
「観客を味方にできる選手」。それがエースの重要な要素の一つだと述べましたが、
もちろんそれは投手としての能力ありきであり、その能力が観客を引き寄せます。
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追伸2
JARTAの認定トレーナー養成コースではこういった意識の側面とパフォーマンスに関連する論理も学んでいただけます。
マニアックな方は大変楽しいと思います笑
JARTAオフィシャルサイト