こんにちは。
スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。
先日僕の記事で、新しい技術や動きを身につけるには、「死ぬほど繰り返すしかない」こと、そしてその理由を脳の観点から書いてみました。
「技術・動き方を身につける必須ポイントがある」
http://ameblo.jp/bodysync/entry-12241706549.html
また、トッププレイヤーたちが日常生活も利用して”習得のための繰り返し”、すなわち頻度を手に入れていることをご紹介しました。
「だから一流選手は日常生活での動き方を大切にしている」
http://ameblo.jp/bodysync/entry-12241091835.html
これらで述べた頻度や意識、自動化については、もちろんどのような競技においても重要なのですが、「欧米発祥の競技」では特に重要です。
欧米発祥の競技とは、例えばサッカーやラグビーなどです。
これらの競技、とりわけ欧米選手と対戦して勝利することを求められる立場にある選手には甚大な問題です。
その理由は、「彼らがデザインした競技」だということです。
サッカーやラグビーは決して日本人が作ったものではありませんよね。
(相撲や柔道は日本。)
つまり、このことが何を意味するのかというと、
作った側(欧米人)が長い年月をかけて日々積み重ねてきた、彼らにとって「当たり前の」動きを使うと、上手くパフォーマンスを発揮できるようになっているということです。
具体的には、サッカーであればハイパフォーマンスを発揮するためには股関節を高いレベルで機能させる事が求められますが、欧米式の日常生活では股関節を中心に動くのが当たり前なのです。
当たり前、つまり生まれてからずっと当たり前。
だから大人になった時には意識しなくても股関節をうまく使うことができる=自動化が成立しているのです。
これは実際に欧米に行けばいくらでも目の当たりにできます。
僕が主宰するスポーツトレーナー協会のJARTAでは、毎年イタリア研修でセリエAの育成現場などに行っていますが、これはその時滞在したホテルのトイレの写真です。
便器の隣にある洗い場は「お尻洗い場」です。
(食事中の方すみません…)
イタリアではウォシュレットではなくこちらがスタンダード。
ここでお尻を洗おうと試みて分かったのですが、股関節と骨盤・脊柱を上手くコントロールしないとミッション遂行できません。
しかもこの姿勢を作ることが目的ではなく、「お尻を洗うことが目的」ですから、固まったままじっとするわけにもいきません笑
やってみると分かりますが、日本人であればこの姿勢を保持するだけでもなかなか大変です。
欧米人はこのような股関節を優位にした全身操作が、こんな日常生活レベルから「当たり前のこと」として毎日毎日繰り返しているのです。
そしてその動きそのものが目的ではなく手段なので、自動化レベルがすでに高い。
そんな土台を持った選手がサッカーの技術を身につけ研鑽しているのがヨーロッパです。
冒頭にリンクを貼った記事で「繰り返し」の重要性を述べましたが、この側面からもすでに差があること、
つまり欧米人が作った競技を、全く文化や生活様式が異なる東洋人が上手くやれるためには、勝つためには、このことを理解しておく必要があります。
単に欧米式のトレーニングを取り入れてOKとはならない理由を身体文化的な側面から考察してみました。
日本人に必要なトレーニングという言葉には、こういう理由もあることを主張してみました。
結局、日常生活も最大活用して「死ぬほど繰り返す」しかないことには変わりありませんが、あとは何をどのように繰り返すかの「質」がキーポイントですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
追伸
「日本人も西洋式の生活が大半になって長いのでは?」という声が聞こえてきそうですが、そこに美意識や身体観というものが関与してしまい、非常に長くなるので割愛します。
単純に生活様式の積み重ねの時間だけが問題だとしても、日本に西洋式生活が取り入れられてまだ1世紀も過ぎていませんしね…。
全てはパフォーマンスアップのために。
JARTA代表
中野 崇
手前味噌ですが、何をどのように繰り返すか、その質を高めるのにオススメなのがJARTAのトレーニングです。
特にムービング系トレーニングは非常に有効です。
JARTAオフィシャルサイト