おはようございます。

 

一昨日は秋分の日でしたね。

これまでの医療、介護現場での仕事を含めて、もう平日も祝日も関係のない生活をして何年も経つので、つい祝日を忘れがちです笑

 

 

 

 

 

前回は、バットなどの道具を「柔らかく握れ」という、ごくスタンダードな指導に関して、強く「握り過ぎる」ことのデメリットとメリット(それぞれの一部)を説明しました。

 

 

 

 

 

今回は、実際にどうしたら「柔らかく握る」ことができるのかに焦点を当てて書いていきます。

ではまず、この「柔らかく握る」という言葉を分解してみましょう。

 

 

 

 

 

このフレーズは、「柔らかく」と、「握る」に分けられますね。

 

 

 

 

 

「柔らかく」とは、「ぐにゃぐにゃ」「ふにゃふにゃ」「ゆるゆる」などリラックスや脱力した状態のことです。(可動域などを示す柔軟性とはここでは区別します)

 

 

 

 

 

「握る」は、対処となるものに対して指や手を使って力を加えることです。

「握力」として表現されることが多いですね。

スポーツテストでやった、測りみたいなのを握るテストです。

とりわけスポーツにおいては、高速で動いたり、非常に重いものを操作したりするので、この握力は重視されています。

 

 

 

 

 

ここで問題があるのですが、気づきましたか?

上記の二つは、「柔らかく握れ」という形で1フレーズとして使われるのですが、中身である「柔らかく」と「握る」はなんと相反しているのです。

 

 

 

 

 

相反する二つの要素をどのようにして両立させれば良いでしょうか。

 

 

 

 

 

”最小限の力で”握れ、という答えもあるでしょうが、これではちょっと曖昧すぎて、この能力を使いこなすには不十分です。

 

 

 

 

 

これを同時に実現する鍵となるのは、「摩擦力」です。

 

 

 

 

 

手の平の皮膚と物体の間に発生する力です。

滑りにくさ、です。

 

 

 

 

例えばバットスイングの最中にバットに加える力として必要なものは、

 

 

 

【力を伝えるための力】+【バットを離してしまわないための力】

 

 

 

です。

この「摩擦力(滑りにくさ)」は、【離してしまわないための力】に加勢し、【離してしまわないため力】のうち「握力の役割」を激減させることができます。

 

 

 

 

 

どういうことかというと、バットを離さずに強くスイングするために必要な力が例えば100だとして、(さすがに有り得ませんが)摩擦力を全く使わなければ握力は100必要です。

 

しかし例えばこのとき摩擦力30を使えれば、握力は70で済むということです。

その分、手や指はリラックスできますよね。

 

 

 

 

 

これが前回の冒頭でさらっと書いた、「スポーツに必要なホールド力」です。

 

 

 

 

 

スポーツに必要なホールド力=【握力+摩擦力】

 

 

 

 

 

動きが柔らかいとされるような良い選手は、ほぼこれを利用しています。

 

 

 

 

 

そして選手だけに限らず、手で道具を扱うような職人さん、人の身体に触れて操作するようなセラピストのような職業の方の中で、上級者・達人と言われる方は、まず間違いなくこの能力を持たれていると思います。

皆、柔らかいタッチなのに力強いという高度な能力の持ち主です。

 

 

 

 

 

ちなみに一般的なホールド力の定義は、「握ったものを保持する、離さないための力」とされています。

しかしスポーツでは、離さないだけでは不十分であり、操作性や全身との連動性などにも”同時に対応する”能力が要求されるのです。

この、握力の同時実現性の能力を1フレーズでいうと「柔らかく握れ」ということです。

 

 

 

 

「柔らかく握る」ためには、摩擦力を最大化する必要があるのです。

 

 

 

 

 

「スポーツに必要なホールド力」を理解してトレーニングしないで、単に「握力を強くしたい」だけでは数値だけ上がってスポーツの場面で「使えない握力」が出来上がってしまうかもしれません。

 

 

 

 

 

最後に、摩擦力を使いこなすための条件と簡単な方法を以下に記します。

参考にしてみてください。

 

 

 

 

 

①指・手の平の関節と筋肉をとにかくひたすら柔らかくする。

手の平はかなり手首よりのところまで指のような骨(中手骨)で構成され、その間には筋肉があります。

 

 

(Wikipediaより転載)

注)骨折のページからの画像なので骨折部位に矢印が入っていますが、本題とは無関係です。

 

なので、手の平をぐにゃぐにゃ動かしておくと、かなり柔らかくなる部位なのです。

摩擦力を高める土台部分の必須要素です。

 

 

 

 

②指・手の平の皮膚が柔らかいこと・しっとりしていること。温かいこと。

皮膚が柔らかいことで、対象となる物体にへばりつくような粘着力が生まれます。

(もっと細かいことを言うと、①の状態とうまく掛け合わせると陰圧を生み出して物体が手の平に吸い付くようなこともできます)

また、接触面積の増加が起こることで摩擦力を高める役割も果たします。

 

これは保湿クリームを塗りましょう、ということではなく、普段から頻繁に手の平や手の甲を揉んだり優しく擦り合わせることで獲得できます。

(強くゴシゴシではありません)

 

ただし、この方法で準備できるのはあくまで土台です。

実際にはこの土台をもとに身体操作(バットを握る)があるので、ここで「強く握るクセ(パターンといいます)」が残っているとやはり良い土台を作ってももとに戻ってしまう、ということになります。

 

 

 

 

 

やはり選手本人がどんな意識やイメージを持って行うかがこのパターンの再構築には非常に重要と言えますし、繰り返しの練習によるパターン化は必須です。

「小さな積み重ね」は避けて通れない上達の道です。

 

 

 

 

 

また、練習の際にはベタ~っと、じわ~っとという擬音語とイメージングを用いながらの鍛錬が経験上有効です。

 

 

 

 

 

使えそうであれば、継続してやってみてください。

 

 

このようにダンベルを持ってスイングする際にも単純に強く握るのではなく、ベタ〜っと「柔らかく握る」ことを常に意識しながらやるのと、そうでないのとでは大きな差が出てきます。

 

 

 

 

 

ちなみにバッティンググローブなどの手袋をしていても同じです。

 

バットー手袋の間の摩擦

手袋ー皮膚の摩擦

 

それぞれを高めれば良いですね。

 

 

 

 

 

 

 

JARTA

中野 崇