こんにちは。

前回まで、僕がJARTAというトレーナー養成派遣機関を設立した4つの理由のうち、無償サポートに関する問題点について触れてきました。






今回は二つ目である「真に選手に貢献できるトレーナーが正当に評価される仕組みを作る」は次に譲り、それに先立って三つめに挙げた「手段を選ばず選手に貢献できるトレーナーを増やす」という点について書いていきたいと思います。






前回の記事の最後をもう一度引用します。


(以下引用)

報酬に関する内容はここまでですが、最後に最大の注意点です。

それは、無償サポートだの報酬もらうだのを言うのは、あくまで「プロとして選手に成果を出させるだけの仕事が出来る」のが大前提での話です。






僕はスポーツトレーナーに無償サポートが増えてきたのは、単にチームや選手に経済的な苦しさがあることだけが原因だとは考えていません。

むしろ根本的原因は、トレーナー側の力量にあると思っています。






「いたら助かるけど、いなくても別に大丈夫」






多くのトレーナーが、そんな価値しか提供できてこなかった、と考えるべきです。

(無償サポートの問題を選手やチームの経済力、という「相手の責任」にしていたら何も解決しませんよね。)

(引用ここまで)






つまり、報酬だ無償だと言えるのはチームや選手にとって意味のある価値を提供できる人だけです。

トレーナーの地位を高める、価値を高める、必要性を感じてもらう、など、全てはトレーナーにそれを実現できる能力があるかどうかが根本的な部分です。






ここが成立しないと、何を言っても無意味ですし、逆に地位を下げることになります。






では、チームや選手に意味のある価値、すなわち成果を提供できるのはどんなトレーナーでしょうか。

(手前味噌で申し訳ないのですが、JARTAの講習会やworkoutという地域別練習会でお伝えしている内容にそのファクターを全て導入しています。)





そしてそのファクターをJARTAが一言で表現しているのが、「手段を選ばず選手に貢献する」です。






なぜ、「手段を選ばず」という表現になったのかをご説明したいと思います。

(手段を選ばない、というのはもちろん倫理的な範囲内ですよ)






トレーナー業界やセラピスト業界は、一般的に「手段」をとても重視します。

言い換えると理論、テクニックです。





多くの人が⚪︎⚪︎理論、⚪︎⚪︎テクニックなど、自分が理解・共感するものを大事にしています。





それは当然でしょ?と思われるかもしれませんが、ではその理論やテクニックで対応できない場合はどうしますか?





自分の理論やテクニックを使っても痛みがとれない、動きが改善しない、パフォーマンスが上がらないことは確実にあります。
(「ない」と断言できる人を僕は残念ながら信用できないです。)






理論やテクニックに限らず、世の中のものは何でもそうですが、全員に確実に効果を出せるものなんて存在しません。

なぜなら人体は同じ構造でありながら、これまで生きてきたヒストリーや思考や意識など、その人を診る上での前提条件となるものが全て異なるからです。

ただしそれらを捉えらえ認識するという思考プロセスを構築することができれば、応用という形で抽象度や汎用性を高め、対応することは可能だと思います。






話を戻します。

自分の持っているものでは対処できない症例や現象。

これはほとんどの理論やテクニックの抽象度や汎用性に欠落があるから生じることなのですが、

全ての理論やテクニックは万能ではないという前提は、特にスポーツ選手を相手にする場合は絶対に必要です。






また、特に理学療法士などの世界でよく言われている「科学的根拠のあるテクニックやトレーニングの提供」についても同様です。





「科学的根拠」という言葉が独り歩きし、それらの要不要が議論されて久しいですが、僕はどちらの意見にも賛成というか、そもそもまず科学的根拠という言葉を定義しないと議論にならないと思っています。






科学的根拠を絶対視する人は、その根拠となるデータを信用しているでしょうし、不要だという人は恐らく根拠となるデータそのものやその研究モデルに疑問を持っているのだと思います。






つまりこの議論は、科学的根拠という言葉の前提がすでにずれているので、どこまで行っても議論にならないです。

どうせなら根拠としているデータを出した研究モデルに対する議論をした方が有効な議論になると思います。

(関係主義的に取得した科学的なデータは非常に重要なものですので)





またしても話がずれましたが、とにかく現場で選手に対峙する立場にある者には、どの理論がどうとかテクニックが、科学的根拠が、など、綺麗事を言っているヒマなんてありません。






すべての判断基準は、「”その選手に”、効果があるかどうか」「それを実施して選手が良い結果を出せるかどうか」です。






選手に対峙する立場にある者は、その一点にすべての思考回路を集中すべきです。





どんな素晴らしい理論・テクニックでも、どんなに大勢が有意差を示した科学的データであっても、目の前のその選手に効果がなければ、その選手にとっては無意味なのです。





あるプロ選手は僕に言いました。





「良い結果出せるなら、お祈りでもいいです。それぐらい僕らは追い込まれていますし不安なんです。」






これが僕らスポーツトレーナーが「すべきこと」の全てを集約した言葉だと思います。




目の前の選手はこの世にただ一人、その人しかいません。

我々は理論やデータでなく、その選手をサポートしているのです。






以前トレーナー業界は縄張り争いが熾烈だと書きましたが、理論やテクニックによる論争も本質は同じ縄張り争いです。

もちろん素晴らしい理論もたくさんあります。

しかし、選手を置き去りにしたものには何の存在価値もありません。






僕はJARTAの講習会を受講してくださっている方にはこのことを伝えたいのです。

このような姿勢を持ったトレーナーを世の中に増やしたいのです。







これが、僕がJARTAを設立した理由の一つです。








JARTAオフィシャルサイト
http://jarta.jp



JARTA認定トレーナー資格の取得方法はこちらから
http://jarta.jp/seminars/



選手に習得させたい方はこちらをご参照ください。
JARTAでは全国に認定トレーナーがおり、各地域ごとにトレーナーのご依頼に対応しております。

http://jarta.jp/flow/






JARTA

中野 崇