「その難しいトレーニングの動きは、トップアスリートだから出来るんですよね?」

「この動きができないとトレーニングにならないですよね?」




トレーニングや理論をご指導させていただいている立場にあると、時々ですが選手やトレーナーの方(JARTA受講者の方も含む)から尋ねられます。






この内容は当然「ケースバイケースである」ということを前提に、今回はこのことについて少し注意していただきたいところをお話しします。





選手にトレーニングを指導し、実施してもらう際、もちろん良い形でやってもらえるようにはしていきますが、僕がここで重視しているのは、そこまでのプロセスです。






では選手がそのトレーニングの動きをうまく実現できない場合の原因を考えてみましょう。


そもそもそのトレーニングの運動構造が、選手の競技の運動構造とマッチしているか。

これがずれていると、その選手がうまくトレーニング動作ができないことは可能性として高まります。
その場合、競技のパフォーマンスを向上するという観点においては、そのトレーニング動作がうまくできる必要はありません。

運動構造がずれていると、そのトレーニングをさせることによって、そしてそのトレーニングがうまくできるようになるにつれ、本来の競技のレベルが下がるという「マイナスの学習」に陥ってしまうことが起こり得ます。







難易度のレベルとして妥当か。

JARTAアドバンス1の4日目に説明している5W1Hの「What degree(程度)」に当たる部分です。

つまり、トレーニングの難易度とその選手がその時点で獲得すべき動作レベルがずれていないかということです。

例えばその競技で要求される要素のうち5つしかできない選手に対して、10の要素を同時実現するレベルのトレーニングをさせた場合、うまくできないのは当然です。

トレーニングは、簡単な動きに見えても様々な要素・運動構造を内包しています。

ですので、相手の状態や競技レベル、認識レベル、要求すべき動作程度によってアレンジ(分解や組み替え)をする必要が出てきます。

だからトレーニング指導にあたる立場の人は、自分が指導するトレーニングの運動構造を理解しておく必要があります。もちろん競技の練習についても同様ですが。

このあたりが理解できていないと、せっかくやっているのに競技につながらないトレーニングになってしまいます。

また、選手に退屈させてはいけないと、安易にレクリエーション的要素を加えることで(要素が増えるので)、妥当なトレーニングレベルの範囲を超えてしまうトレーニングになってしまったりします。







つまり今回ここで言いたいのは、「そのトレーニングがうまく出来ているかどうか」が指標ではなく、それ以前のトレーニングの設定にこそ本質があるということです。






選手がトレーニングの動作をうまく出来ない場合は、少なくともこのようなことを考える必要があります。




JARTA
中野 崇