スポーツをしている方、またはこれまでされてきた方でしたら、かなり同じ経験をされたことがあるかも知れません。
それは過剰?に指導されることにより、なんだか面白くなくなってしまったことです。
コーチやOB(または親…)に長時間、打ち方などを指導され、早くその場を離れてしまいたい気持ちになってしまったこと、ありませんか?
(ここでは指導内容の良し悪しは度外視します。今回は違う観点で考えたいのです。)
そしてそういう少年時代や選手時代を過ごした方が、気づいたら自分が指導する立場で同じようなことをやってしまっていることもよくあると思います。
今その立場にある方は、おそらく「選手を何とかうまくさせてあげたい」「何とか結果を出させてあげたい」「努力を報わせてあげたい」といった気持ちでされていると思います。
これは指導者全員が間違いなく持っている気持ちだと思います。
その立場になって改めて、自分が選手時代に指導を受けた指導者の方の気持ちが深く理解できるのではないでしょうか。
少なくとも僕自身はそうでした。
感謝の気持ちでいっぱいになります。
しかし、そこで恩師の気持ちを理解することに加えて、「指導を受ける側だった時の自分」の気持ちにも改めてフォーカスしてほしいのです。
なぜ、指導されるにつれ、だんだん嫌になったのでしょうか?
なぜその場を早く離れて、自分でいろいろ試行錯誤したくなったのでしょうか?
バッティング指導であれば、一球打つごとにあーだこーだ言われるの、めちゃくちゃ嫌じゃありませんでした?
僕は自分のやり方に口を出されるのが本当に嫌だったので、聞いたふりだけしていました笑
監督にはばれてたと思いますが(^^;
答えはとても簡単なところにあります。
それは、スポーツは宝探しだからです。
宝探しをしていて、あそこに宝物があるから、覗いてごらん?
と言われた時を想像してみてください。
最初の2、3回はテンション上がるかも知れませんね。
宝物が見つかるわけですから。
でもずっとそれを繰り返すと、当然、面白く無くなってしまいます。
なんか、、教えられて宝物が見つかっても感動しなくなってる感じ。
そうなると、もう宝探しなんてずっと続けたりしませんよね。
親がたくさん子どもに競技が上手くなる方法を教えても、結局その子どもは違う競技にいってしまうようなケースはよくありますが、その原因は多くの場合、こういうところに存在します。
その場合子どもはおそらく親がわからない、教えられない競技を選ぶと思います。
宝探しの面白さは、自分で試行錯誤しながらいろいろやってみて、やっとのことで宝物を見つけられるところです。
つまり、「試行錯誤」の部分にかなり大きな比重があるのです。
試行錯誤しているときがとても楽しいのです。
そのうち、宝物そのものよりも試行錯誤の方が楽しくなるかも知れません。
これをスポーツに当てはめると、宝物=結果、探すための試行錯誤=上手くなるための試行錯誤です。
僕は、スポーツの面白さって、上手くなるための試行錯誤の段階にそのほとんどの要素が含まれると思っています。
試合に負けても、もっと上手くなりたいって思えるから、もっと試行錯誤して上手くなれると思えるから、負けたからってその競技を辞めたりしない。
むしろ上手くなるための、宝を見つけるためのヒントを得た感覚になる。

必ず選手に試行錯誤する余地を作って指導する|JARTAイタリアサポート2015
指導者として、選手に上手くなってもらいたい、結果を出させてあげたいという、その気持ちは本当に重要ですし、それ抜きには指導なんてできるはずないですが、時には「待つ」ことが彼らの伸びしろを伸ばすことにつながることも忘れずにいて下さい。
「教育とは、待つことなり」
教育の世界での格言です。
これはスポーツだけでなく、人の成長にそのまま当てはまる言葉です。
僕には三人の息子がいますが、子育てをしていると、本当に待つことの難しさを痛感させられます。
「早くしなさい!」「こうしたらいいから」って言うのは簡単なんです。
でもこれ、自分で宝を探す時間や工夫の余地を奪ってますよね。
待ってあげると、子ども達はひたすら自分で工夫し続けますし、できた時の表情は、きっと待ってよかったと思えるものになりますよ。
最後に、「待つこと」と放置・無関心は全く違います。
この場合の「待つ」とは、「出来るようになるまで待つ」ということです。
出来たかどうかも気にしない放置や無関心とは真逆です。
そして全開との関連では身体の使い方にアプローチしたい場合は、使うべきところに対してサモンしたり、使うべきところが刺激・要求されるようなトレーニングをひたすら継続してあげることです。
あとは選手に試行錯誤する楽しみを渡してあげてくださいね。
そうすることが、武豊騎手、イチロー選手、カズ選手のように、「まだまだ自分は上手くなれる」「もっと上手くなりたい」というエネルギーを持ち続けられる選手を育てることにつながると思っています。
JARTAの講習会は、トレーナーとしての知識や技術だけでなく、そういった観点のことにも大きな重点を置いて実施しております。
JARTA
中野 崇
