今回は、この質問に対する僕の意見を申し上げておきます。
※まだお読みでない方は、先に目を通していただけると幸いです。
自然界においては、筋力に先立って「動き」があります。
「動き」があるから、その動きに対して必要なだけの筋肉がつくのです。
地球という重力下で動くと、遠心力やコリオリ力、ジャイロなど様々なフォースが動作体(ここでは人体)に加わります。
これらは重力下の運動で必ず生じるフォースであり、絶対的なルールと言えます。
遠い昔に人間が発生したときから変わらない枠組みです。
僕は、そもそもの(運動における)筋力の存在意義がそこにあるのではないかと考えています。
(そもそも無重力では筋力は普通では強化できない)
つまり、この環境下で身体の状態を制御できるように、つまりバランスを崩さないように、思った通りに操作できるようにするために筋力が存在しているはずだと。
スポーツの中から例をあげるとすると、ハンマー投げが分かりやすいでしょうか。
身体意識など様々な観点からの分析ができると思いますが、ここでは、地球上の代表的なフォースである遠心力に着目してみます。
あのハンマー全体の形状と重さから考えて、明らかに腕の力など筋力だけで操作、投げるために高速で回転する動作を起こすのは明らかに困難です。
つまりあの運動には、まず選手の全身の重心操作による遠心力の利用がありきの運動構造だと言うことができます。
その証拠が、高速回転を起こす時に彼らの身体が大きく後方に傾けられるところに現れています。

ハンマー投げの第一人者、室伏広治選手。
大きく後方(遠心力の働く方向に抗する方向)に身体を傾けます。
垂れ下がっていたハンマーがふわっと浮くような現象が現れます。
そして回転中は、強力な遠心力の発生する方向(ハンマーの先の方向、引っ張られるように見えます)とは逆方向に身体を倒して遠心力に対してバランスを保持できるようにしています。
このことから言えるのは、「発生している遠心力に対して姿勢や運動制御を保持するために」筋力が使われ、使われることで発達すなわち強化されているという順序が成り立っているということ。
ここは上手く伝わるかはわかりませんが、ハンマー投げの選手の腕は太いですよね。
上述のように、腕の力ではこの競技(動き)では運動構造的に考えてもハイパフォーマンスは発揮できないですよね。
すなわち腕の筋力を鍛えても上手く行かない競技特性です。
なのに腕が太いんです。
意味分かりますかね(^^;
何が言いたいのかって、「使われるから」太く発達したったってことです。
腕の筋力を鍛えたからハイパフォーマンスなのではなく。
強力な遠心力の中でぎりぎりまでハンマーを離さない、そのフォースに耐えるために使われるからです。
動きがあって、
地球上という枠組みの中での運動において様々なフォースを受け、
その中で運動を制御(思ったとおりに動かす)するために、
筋力が「結果的に」強化されるのが自然の法則に則ったものであり、
意味のある筋力を付けたいなら、この法則を忘れない方がいいですよというお話でした。
裏を返すと、「この選手は線が細いからとりあえず身体作っとけ」という形式の筋トレは、”最悪”ってことです。
あ、冒頭の「カッコいい身体」云々に関連させるとすると、「動きを追い求めた結果筋肉が発達した」のではなく、「”筋肉をつけるため”の筋トレ」をしたのが、見せることを目的としたいわゆる「カッコいい身体」ってことですね。

前回記事のタフィー・ローズ選手も遠心力を上手く利用したバッターでした。
※全ての打者がこの方式がよいという訳ではありません。
ホームランバッターには適していると思います。
詳しくはJARTAアドバンス3にて説明しています。
JARTA
中野 崇
JARTAオフィシャルサイト
http://jarta.jp


