今回のテーマは、「いざという時に頼られる存在になるには。」です。
新潟で代表選手のサポートをしている際、ある出来事があり、このことについて深く考えさせられることになりました。
先日あげた記事の予定とはずれますが、少しお付き合い下さい。
今回の一件は、具体的には残念ながらお話できないのですが、自分と選手の関わり方についての自分のスタンスを確信することが出来たきっかけになりました。
もしかしたらほんとにシビアな現場に出ていないと共感まではしていただけないかもしれませんが…。
みなさんは、トレーナーや治療者として、その選手から頼られる存在でしょうか。
信頼されてる、と自信を持って言えますか?
「あの人に頼めば、大丈夫。」
そんな存在になることが出来ていますか。
単に組織の中で担当になったから、単にそのチームに所属しているから、そんな関係になっていませんでしょうか。
選手にとって、自分の身体に触れられて関わる存在というのは、本当に大きい存在となります。
なぜなら、スポーツ選手にとって、自分の身体は「財産」だからです。
プロ選手ならば、人生を大きく左右する資産です。
我々はその財産に触れているのです。
「選手の身体を調整する」
「選手の動きを変える」
「身体のバランスを改善する」
とよく耳にしますが、本当にそれを安易に実行して大丈夫でしょうか。
本当にその財産の形・状態を変えて大丈夫でしょうか。
自分にその能力があったとしても、よく考えてから行いたいところです。
スポーツ選手に関わる際は、そのことを深く認識してほしいです。
トレーナーや治療者として、選手の身体を触る際、「選手が自分の人生を預けている」ことを決して忘れないで下さい。
(調整してはいけない、という意味ではないのでお間違えのないように)
既存のスポーツトレーナー業界は、縄張り争いや自己主張が熾烈ですが、もし選手のことよりも、そんな低次元のことの方が重要視されているのであれば、とても残念です。
選手に関わるトレーナーや治療者であれば、まず選手のことを優先した行動をとってもらいたいです。
私は、選手から依頼があると毎回必ず、まず選手を触る責任の重さを考えるようにしています。(施術中に考えすぎると良くないので、そこは注意しています。施術中は、「無心・内観」が大切です)
トレーナー・治療者と選手との間には、施術中はもちろんのこと、依頼時や問診時、コンディショニングやトレーニング後のアフターフォローなど、全てのフェイズで信頼関係は築かれます。
当然それが効果にも深く影響を及ぼします。
選手には、本当にいろいろな出来事が起こります。
正しいと思っていた行動や想いを否定・規制されたり、絶対的だと思っていた自信が揺らいだり、スランプに陥ったり。
様々なトラブルがあったときにどんな声をかけてもらえるか、どんな対応をしてもらえるか。
本人や、他の人が気づいてあげられない視点を選手に気づかせてあげられるか。
時には正論とは真逆のことを言ってあげる必要もあるかも知れません。
それら全てが信頼関係に影響します。
信頼関係を築くには、知識や技術、プレゼン能力だけでは足りないのです。
つまり、選手との間に”本物”の信頼関係を築くためには、
「この人は身体やパフォーマンスのことがよくわかっている」では不十分なのです。
「この人は“私のことを”よくわかっている」になる必要があるのです。
そして信頼関係は、積み重ねが全てです。
だから信頼関係は、“作る”ではなく“築く”なのです。
当然、“崩れる”とまた長い時間をかけて築く必要に迫られることになってしまいます(シビアな世界なので、再度チャンスをもらえればですが)。
担当だからって、チーム専属だからって、組織から紹介してもらえたからって、その立場に甘んじてはいけません。
今回、私が経験した一件により、この考えが間違っていなかったことを改めて確信しています。
我々トレーナーや治療者は、選手がどんな状況にあっても、まず理解者になってあげられる立場にありますし、私はそうすべきだと思います。
「その選手の人生を背負う覚悟で行動する」
私たちのそんな行動の積み重ねが、
「あの人に頼めば、大丈夫。」、
そんな存在につながってゆくと思います。
今回の内容の重要性は、今すぐ読み取れなくても結構です。
いつかトレーナーとして経験を積み重ねた時に、参考になることを願っています。
JARTA
中野 崇
