スポーツにおける非常に重要なパフォーマンスの一つとして「速度」があります。

競技によっては、最重視されている場合も多いと思います。






ですので、日々多くのアスリートや指導者の方が「どうすれば速度(スピード)が向上するのか」という「方法」の追求に躍起になっています。



イタリア研修時に視察したセリエA|ACミランvsパルマ




しかし実は「方法」を考える前に考えるべきことがあります。






それは「スポーツにおける速度」って何なのかということです。
自分たちが求める要素を「定義」しておく必要があるのです。
ここでは速度を定義する必要があるということです。





速度を定義しないと、当然ですがそれを向上させるベクトル(方法)は良いものが定められないはずです。






つまり漠然とした場所しか分かっていないゴールに向かう適切なルートはプランニングできないってことです。

プランニングできないってことは、非効率ってことです。





とにかく大まかにゴールはあっちらへんにあるはずだから、とにかくがむしゃらに突き進もうよ、って感じです。





このプランニングでは競技生活に限りがあるアスリートにとってはちょっときついですよね。

そして非効率だけで済めばいいですが、先の例であれば、場合によっては迷子になったり、もしそこが環境的にシビアな場所(例えば砂漠とか)だったら死に直結する場合だってあるわけです。





スポーツに話を戻すと、これらはの例えはトレーニングしても「その競技で必要とされる」速度は向上しなかった、場合によってはケガの要因になってしまった、と言い換えることができます。






これらの理由から、僕はトレーニングにおいて向上させたい対象(ここでは速度)を必ず「定義」する必要があると考えています。

速度の定義において、簡単な考えた方から示すと、速度は大きく二つに分けられます。




・最高速度

・動きだしの速度




どちらも目標に対して到達するまでの時間的な速さを構成する要素です。

最高速度は、一般的に考えられている速さと概ね合致します。

ここに対するトレーニングは、効率の善し悪しを問わなければたくさん存在していると思います。





対して動き出しの速度。

これは、静止した状態から動き出しに至までの時間的な速さのことです。

運動科学者の高岡英夫氏はこれを「早度」という名称を使って表現されています。



スポーツの多くの場面において、この早度が重要になってくる場面は非常に多いと言えます。

逆に言うと、早度が低いと、いくら最高速度が速くても通用しないことが多いということです。




動き出しを早くしようと試みるトレーニングもありますが…。
イタリア研修|ヴィーゴルの視察:イタリアサッカーユースチーム





例えばサッカーだと、最高速度が速くても通用しないドリブラーはたくさんいます。

(ここではスキルの側面は除外して考えて下さい)


逆に、スキルが同程度で最高速度が遅いにも関わらず、やたら相手を抜くのが上手い、マークしているDFを振り切るのが上手いという選手もいます。






局面にもよりますが、サッカーだと相手より一歩早く動き出せるだけで、相手を抜いたりパスを出したり(受けたり)、シュートコースを確保できる機会を作り出せることができるようになるのです。

早度はフットワークやアジリティーにも大きく関与します。





当然ハイパフォーマンスの実現には最高速度と早度の両方が必要ですが、早度を向上させることで、「鈍足」選手が活躍できる可能性が出てきます。





そして、早度で勝つことができれば、世界で勝てる可能性が見えてくるわけです。





シリーズ次回は、早度を高めるもう一つのメリットについて書きたいと思います。

その次は、早度を高める方法について予定しています。








JARTA
中野 崇