こんばんは。
JARTA代表の中野です。
ソチオリンピック、楽しいですね。



なかなかゆっくりは見れませんが、良い結果を残した選手のパフォーマンスは幸いニュースなどでたくさん流れるので、しっかり拝見しその美しさに浸っています。



特にフィギュアスケートの羽生選手の動きは非常に美しいですね。
理屈抜きで目を奪われます。



彼の動きの美しさと素晴らしさの理由は、切り口によって、また人によって見方は非常にたくさんあると思いますので、特に触れないでおこうと思います。
ただ、「○○の筋の発達が素晴らしい!」「彼のパフォーマンスの秘密は○○筋だ!」みたいな部分的な解析だけは避けて欲しいと願っています。
人間はすべての組織が関係し合って成立している複合体ですから、それを理解しているとそもそも○○筋が…という発想にはならないのです。


さて本題です。
今回の羽生選手の活躍を見て、私が思い出すのは、若くしてオリンピックなど世界の舞台で偉大な結果を残し、その後、活躍できずに苦しんでいる、または去っていった選手たちです。



14歳で水泳金メダルを獲得した選手を初めとして、10代で大活躍して、その後消えていった選手には何が起こっているのでしょうか。



精神的な重圧や過度な期待も関与していることは間違いないでしょう。
しかしここでは、「”その後”のトレーニング」について取り上げたいのです。



世界の舞台でセンセーショナルな活躍を見せる選手達は、羽生選手や水泳の岩崎恭子選手などに代表されるように、非常に細身です。



このような身体で結果を出した選手に対して、その周囲の人々はその後のパフォーマンスについてどう考えるでしょうか。



それは、


「もっと筋力がついたら、どれだけすごいことになるだろうか!」


です。


これだけ細い身体であれだけの結果を残せるのだから、そこに筋力がついてパワーがついたらどんだけすごいことになるんだ…!
ほとんどの運動関係者がそう思うようです。



近年のようにスポーツのパフォーマンスの要素(パワー、スピード、アジリティなど)の大半を筋力に依存させて考える傾向のあるトレーニング理論が常識になっている現状では仕方のないことかも知れません…。


しかし、選手に指導する立場にある人間は、そんなに単純に人間の動きを考えるべきでしょうか。
そもそも、若手トップアスリートを安易に筋力アップの流れに載せる前に、



「なぜ、そのような細い身体なのに勝てたのか」



をしっかり考えるべきです。
(何でも筋力に結びつけて考える理論の範疇では明確な答えは導き出せないかも知れませんね…)



そもそも、
その選手が「なぜ勝てるのか」がわかっていない者に、その選手のパフォーマンスアップについて指導する資格などないと思います。



ヒントはここにあります。
武道・武術の世界では、細い達人が、ガタイのいい大男をなぎ倒すのは当たり前なのです。



また、いつも繰り返していますが、トレーニングをすればするほどパフォーマンスが低下することもあります。
JARTAではこれを「マイナスの学習」と呼んでいます。


10代で活躍し、その後筋トレに目覚めて二度と活躍できなくなったり、パフォーマンスが伸びなくなった選手は山ほどいます。



「オリンピックで大活躍した○○選手が、今シーズンから身体を作るために筋力トレーニングへの取り組みを始めました。」



選手のみなさん、もっと自分の身体の感覚に素直になって下さい。
自分の身体が、「これじゃない」と感じたら、その感覚を信じて下さい。
わがままになって下さい。
理屈や理論に合わせなくていいです。
唯一無二の自分の身体を信じて下さい。



お読み頂き、ありがとうございました。





JARTA|日本アスリートリハビリテーショントレーナー協会
代表
中野 崇





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