こんにちは。
中野です。

今回は、先日開催いたしましたJARTAスポーツトレーナーアドバンスセミナーⅠ(下肢編)の報告です。

この場でセミナーの内容を私見を交えて公開するのは初めてです。


まず、大前提として、


JARTAの全ての活動は、3つのコンセプトで成り立っています。
すなわち、全てのセミナー活動もそのコンセプトに基づいて構成されています。



参考までに…
JARTAコンセプト


弛緩力・・・収縮と弛緩の幅を広げ、機能的に使える範囲を増やす

高い技術力・視点・・・治療ポジションの概念

パフォーマンスに直結するトレーニング・・・弛緩力、反射機能、

選手の感覚、統合化




セミナーの流れ|

1日目の講師は、中野が担当しました。

まずはJARTAコンセプトの説明から講義形式で行いました。



JARTAコンセプトの説明は今後、BASICセミナーに参加された方にも詳しく講義致します。

また、JARTAコンセプトの位置づけとして、「指導者や選手にプレゼンして支持を得られるもの」としているため、考え方としても実践力としても出来るだけ深く習得していただきたいと考えております。

このJARTAコンセプトは、中野と庄司の経験と知識を全てつぎ込んで考案したものあり、私たちはこのコンセプトの下に療法士がスポーツ業界に進出してゆけるように活動してゆきます。(当然、中野と庄司のクライアントを中心に、すでに支持してくれているアスリートが多数います)



その後は、下肢から骨盤に関するテクニックの紹介をし、練習を開始しました。

では、ある程度の流れを順番に。


1.腸腰筋の調整



腸腰筋へのアプローチは直接的に行うことが多いと思いますが
この手技は直に腸腰筋には触れずに調整します。


(しかも手技に慣れれば、約2秒で調整することも可能になります。必要性は別として笑)
※私個人としては、手技の速度の必要性は感じています。理由もセミナーではお話しています。


腸腰筋を直接調整しようと試みたときに、とても痛い思いをさせてしまったことのある方には非常に有用な手技です。


この手技を行うことによって、腸腰筋の圧痛が軽減したり、腸腰筋が適度に緩みます。
より深く腸腰筋の調整をしてゆきたい場合は、この手技の後に直接的な手技を行うととてもスムーズになります。
直接的な手技に関しては紹介しませんでしたが、必要に応じて何人かには教えてしまいました笑

コツは肩が上がらないこと(上肢を体幹部と連動させること)。

また肚(ハラ)や仙骨の意識をつくり、先に動きを意識してから動き出すことです。
ちなみに、JARTAでお伝えするほとんどの治療手技は肚の意識が重要です。
ですのでセミナー当日は、肚の意識のつくり方も説明しました。

これらが出来ているときと、そうでないときは施術をされたときの感覚が全く変わります。


禁忌はTHAや人工骨頭、痛みや違和感がある方です。
(脱臼リスクがあります)




2.仙腸関節の調整1

(すみません、写真がありません)

仙骨に対して腸骨は前後にスライドすることで
脊柱に回旋系の力が最大効率で加えることが可能となり、結果として上肢へと力が伝達し加速する動作の準備状態を作ることができます。
※この加速様式の動作を得るトレーニングは、アドバンスⅡのトレーニングセミナーで出てきます。



3.仙腸関節の調整2

スポーツ選手には効果抜群の仙腸関節の調整法です。
しかも実際に手技を受けてみると気持ち良さがすごいとの声が上がります。

ちょっと両手を入れ替えたりする場面やスピードを要求されるのが難しいところですが、習得するととても武器になります。

見た目もなんだかインパクトありますしね笑


とても重宝している手技です。


こちらも1つ目と同様に、THAや人工骨頭の方には避けた方が無難でしょう。
(あくまでスポーツ選手向けの手技を紹介していますので)





4.内側ハムストの調整


内側ハムストの硬さは座骨結節を介して骨盤にストレスをかけるので、骨盤の調整を行う際に阻害要因になり得ます。
また、姿勢保持や前方推進動作において重要な役割を占める部位です。
(特にハムスト上部ですね)
アスリートの身体・パフォーマンスを考える上で非常に重要な部位だと考えています。




4.踵(かかと)の調整

(すみません、写真見つかりませんでした。。)

踵骨が内反になっている方へ外反に持ってゆく施術です。

内反になっていることによって腰痛を引き起こす方もいらっしゃいますので腰痛治療をする際、踵は1つの評価すべきところです。

※他動的一時的に踵を良いポジションに持ってゆくだけで前屈可動域が変化したりします。


臨床でなかなか結果が出ない方は踵もしっかり評価してみましょう。







5.腓骨の調整


数ある腓骨の調整の中でよりJARTAのコンセプトにリンクする形で、治療ポジションを用いて、最小の力で腓骨を調整する方法をご紹介しました。

当然ですが、調整後は足底外側に乗っていた荷重が良いポジションになります。



一日目は、ここまでで終了。
治療手技の合間に治療ポジションの考え方や進め方を紹介してゆきました。
アドバンス1の下肢編ではまず治療ポジションの基本をマスターしていただきます。

アドバンス1の上肢編では、さらにダイナミックにポジショニングする応用法を紹介してゆきますね。





2日目

1日目は抽象度の高いテクニックを行いました。
(一カ所から多くの部位への影響のある手技)

それに比べて2日目はより具体性の強い内容で行いました。



評価と治療テクニックを検証しながら講義を進めてゆきました。
まず数ある評価でも動作から様々なことがわかる片脚立位とランジ動作での評価を行いました。



この評価はあくまでも情報収集と選手自身に今、どういう状態なのかを
把握させるために行います。



2.腓骨筋・後脛骨筋の調整テクニック

ラン(走動作)系の競技や水泳などの競技では腓骨筋と後頸骨筋のラインに硬結ができる方がいます。


選手はその硬結が気になりパフォーマンスに支障が出る方がいます。
その方々のために硬結を一瞬でとるテクニックです。






3.足関節背屈および足底調整テクニック

ここではスポーツ選手を診る際の足関節の可動域の診かたと調整方法をお伝えしました。


ちなみにタイムを競う競技では足関節の動きが数ミリ足りないだけで
タイムに大きく影響する可能性があります。


以上のことから、この手技でチェックする部位は、試合前のチェックをする際は見逃せない評価のポイントとなります。





4.膝関節調整テクニック
このテクニックはACLの既往がある方には禁忌となります。


ちなみにこのテクニックの特徴は
股関節が最大限緩みきったところで膝関節の調整を行うことです。
(治療ポジションの概念を理解されている方だとすぐにできるようになります)


股関節が緩みきった状態で行うことで
膝関節も適度な緩みができます。


最後には、たくさんの治療手技があって迷ってしまうときの対処法=たくさんの手技を整理する方法もお話ししました。


参加された皆さま、お疲れさまでした。

当然、私たちもまだまだ発展途上です。
皆さまからも学ばせて頂くことを忘れないようにやってゆきたいと思いますので、今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い致します。



お読み頂き、ありがとうございました。


JARTA|日本アスリートリハビリテーショントレーナー協会
中野 崇