こんにちは。

JARTAの中野です。

今回は、以前私が野球の関西独立リーグのトレーナーをしていたときに経験したことを書きたいと思います。

私にとって非常にインパクトのある「不愉快な」できごとだったので、ずっと忘れられずにいました。

これからも忘れることはないでしょう。





当時、私はボランティアとして独立リーグの選手たちのコンディショニングを手伝っていました。


選手たちは、確か10~15万円ぐらいの月収で、プロ野球に入ることを目指して厳しい環境で野球に取り組んでいました。


当然アルバイトをしなければ生活できない選手が多かったですし、年齢的にもすぐに結果を出さなければプロへの道はついえてしまう状況です。


選手たちは経済的にも肉体的にも精神的にも崖っぷちの状態でプレーすることを強いられていました。


それでもとても明るくて前向きな選手たちばかりで、やっぱり人間は好きなことにむかって突き進んでいるときは良い顔をするなぁって感じながら、そんな時間を共有していました。


ある日、チームの幹部の方のお知り合いということで、メジャーリーグの某チームでトレーナーをしている日本人トレーナーが手伝いに来てくれるということで、当時の私は彼に会えるのをとても楽しみにしていました。


どんなすごい人なのか、どんなコンディショニングをするのか。


当時もう20歳代後半でしたが、柄にもなくわくわくしていました。


そして、運良くそのトレーナーが選手のコンディショニングを行う現場に立ち会うことができました。


投球側の肩に痛みの訴えがある選手でした。


両側の肩甲骨のいくつかのポイントに、事務用の丸シールをいくつも張付け、アライメントが一目でわかるようにし、後ろから写真を撮って選手に見せ、「歪んでるからストレッチして治してね。」


で、簡単なストレッチを指導して終わり。でした。


ここまでは、まぁ、いろんな考え方や事情があるでしょうから仕方ないとしましょう。(えらそうな態度はかなりひっかかりましたが。)


しかし、私が大いに残念だったのは、選手が出て行った後に彼が吐いた言葉でした。






「あいつはダメだな。そもそも上にあがっていける奴はケガしないし。やる気出ないわ。」







”すごい選手を担当しているからって、すごいトレーナーとは限らない”と気づいた瞬間でした。


当時の選手の境遇に共感し、私がかなり気持ちを入れ込んでいたことを差し引いても、プロとして許せる発言ではありませんでした。


「クソ野郎ですね。」って言っちゃいました笑


どうなったかは、ご想像にお任せします。









この経験から、私が学んだことは、




・自分は選手の最後の砦になってあげたい。

・一流選手の担当トレーナーでも無能なやつはいる。

・一流選手は、どんなトレーナーにあたっても関係なく一流なのかも知れない。

・選手の将来性を最も期待している存在でありたい。

・すごい地位の人でも、盲信しない。

・無能なトレーナーに関わられると、選手は競技生命を縮めかねない。

・ちゃんと選手を治せないやつは、屁理屈をこねて言い訳をする。




これらは、もちろんこの一件からだけの見解ではなく、いろんな経験から学んだことです。


ですが今の私の考え方や行動指針を形作った一つの出来事であることは間違いありません。


また、そんなトレーナーでもそれなりの立場になってしまっている既存のトレーナー業界に対して大いに疑問を抱いたきっかけにもなりました。
(それまでは、今いるトレーナーたちと同じことができるようになるのをを目指してましたから)


今、多くの選手たちに関わりながら感じていることですが、


選手たちは、今自分が関わっているトレーナーに決して満足していません。



これは選手たちから直接聞いている声です。


本当にちゃんとしたトレーナーや治療者に出会えていないだけなんです。





このような現状、放置しておいてよいのでしょうか。






今回は、当時の空間を思い出しながら書いたので、ちょっと言葉が荒くなった部分がありました。すみませんでした。


これからなでしこ選手たちのコンディショニングに行ってきますので、また報告しますね。






お読み頂き、ありがとうございました。





JARTA|日本アスリートリハビリテーショントレーナー協会
代表
中野 崇