今年読んで面白かった本。 | 南行徳 1Heartボクシングクラブの不思議な日常

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こちら南行徳えんぴつ公園前 格闘技研究所。プロ育成ジムではないので、ほんわかした雰囲気です。

今年読んで面白かった本…と言っても全て過去に刊行された物。備忘録として書き留めておく。

①『意識と本質 精神的東洋を索めて』(岩波文庫、1991)他、井筒俊彦先生の著作群。
空海、南方熊楠、宮澤賢治、岡本太郎、棟方志功、野口晴哉などなど…「日本人でこんな人がいたんだ!」と驚くスケールを持つ人物が稀にいるが、井筒俊彦先生もそんな一人。
あの司馬遼太郎をして「インドやイスラムをふくむ東西の哲学の全き理解者(おそらく世界の人文科学史上、唯一で最初のひとだろう)」と言わしめた“知の巨人”だが…書かれる文章は驚くほど若々しくみずみずしく、そして新しい。とても1914年生まれの人が書いたものと思えないほど、。
追究する学門を生涯続けていきながら、かつキープし続ける“新鮮さ”を感じ、その巨匠感や大御所感と程遠いところに感動を覚える

②いとうせいこう『今夜、笑いの数を数えましょう』(講談社、2019)。才人いとうせいこうが、きたろう、バカリズム、宮沢章夫(この人も今年鬼籍に入ってしまった…)らと対談し、「笑い」について鋭く切り込んでいく。
小林信彦「日本の喜劇人」シリーズは“笑い論の”名著で、僕もかなり刺激を受けているが、本書はその平成版の様な役割をすると思う。

③按田優子『たすかる料理』(リトルモア、2018)。料理家で代々木上原「按田餃子」店主である著者の、不思議な味わいの本。
エッセイというか、食に対する考えというか、自由な生活への工夫というか…がツラツラ書かれていて、物事の捉え方が独特。
“考え”とか“工夫”と書いたが、そこまで肩肘張らない、何とも名付け難い感覚なのだ。この人の書く文章は、もっと読みたい。