とてつもなくメタいです。
とてつもなくメタいです。



少し前までは水気や冷気を伴っていた空気が新芽や花の匂いに染まり、新緑は色を深めて木漏れ日でより美しく輝く。
平和だ、まごうことなく平和な光景だ。
その中で、タケミナカタは憂いを帯びたため息を吐いた。
七福神が茶会のようなことをしているし、直ぐ傍では親族関係者が酒を嗜んでいる。本殿において酒は事件の原因になったりきっかけになることが多々あるので、良識ある酒飲みはわざわざ嗜むという単語を使わなければならない無常。
予想外の精神的伏撃に、またため息。そうした憂いの所作が戦に関わる神の中で一番絵になる、と影で言われているのを知っているのかいないのか。
「この長い休みが終わったら、次は何をするんだろうか」
大丈夫か、問いかけたオオクニヌシとスクナヒコ、イナバの手と口が止まった。
あー、とうとう来たかー、来ちゃうよねー。
三者三様の反応なのに、言いたいことは皆同じ。
「すまない、こちらにフツヌシは……どうかしたのか?」
春に似合わぬ陰気に誘われたか、やってきたのはタケミカヅチ。問題事象の最中にやってくるというのは運が悪いが、彼も過去経験したということを考えれば心強いかもしれない。
「次の遠征の予定が決まったのか?」
「タケミナカタ?」
「それとも手形使用時の編成の相談か? すまない、今はそうしたことを考えるのがとても億劫なんだ」
億劫、軍議において常に臨戦態勢の軍神あるまじき言葉に、タケミカヅチは二つの可能性を考えた。
先に思いついた方は、タケミナカタの言葉を聞く限り違うだろう。
とすれば、恐らくは五月病(仮)だ。
思えば、タケミナカタは本殿に来てからどんなことがあっても定期的に出陣。遠征に従事する期間もあったが、結局は『対パズス戦(本編)』に出突っ張りで、始めの頃は祭事物語でのまとめ役や振り回され役も多かった。
「俺も、去年はそうだった」
そう、タケミカヅチと同じように。
だからこそ、分かる。
「突然の超長期遠征、それに合わせ基本的に遠征生活となり、本殿にいられる時間は極僅か。その間も本隊では行軍を続けていると聞き、ベリアルを倒した俺はもう不要とみなされたのではないかと疑心暗鬼に陥ったこともある」
疾風怒濤、そんな勢いだった生活から一転、安定した場所へ遠征という生活。
その変化に問題なく適応している者も居る。本殿のご意見番のクウヤ然り、遠征番長として食道楽が出来るようになったテッソ然り。
そうでなくとも自身の私生活や使命と命令との折り合いを上手くつける者は大勢居る。英傑と呼ばれる者達は転生した者もいるし『一血卍傑』のお陰で複数の自分が居る者も多いが、八百万界の現代の重鎮だっているのだから。
しかしタケミカヅチやタケミナカタがあっさりと変化を受け入れられるかと言えば、否だ。
「幾度も主君から超長期遠征の影響を加味しての編成と説明され、後にフツヌシが合流してテッソ殿と共に遠征番長と呼ばれるようになり、ロキ殿との戦闘に軍神として参戦を許されてようやく落ち着いた」
聞きたくなかった、初期勢の闇。その頃が最も忙しかったタケミナカタからすれば衝撃の連続だ。
だが、同時に思う。
「分かる」
八百万界が平和になったが故に隠居というのならば、きっとこんなことにはならない。
実際はそうではない。未だ悪霊との戦いは続いている。各地の勢力と合流、協力体制を築きつつあるとはいえ、最終目標地点までの道のりは先が見えない。
休むのも仕事だが、同時に見えない先を考えて気分が落ち込んでしまう。
そして次、が予想できなくて精神が疲弊して回復しきれない。
「以前は、とにかく戦うという気持ちだった。しかし、その、日々色々なことが起きて」
必死に言葉にするタケミナカタを、タケミカヅチは急かさない。
本編とは一切関係ございません、と言いはするが、巻き込まれてしまうのが英傑の悲しき定め。
「僕は国譲りの後は諏訪の森にいて、世俗に疎く、余り人族や妖族の習慣に慣れてない。その中で、突然別の界の者と戦うことになったり、惨多や屠仲威の軍勢と戦ったり、かと思えば行列を整えたりすることになって」
「そうだったな」
疲弊の一因が目の前にいる訳だが、タケミナカタは気づかず続ける。
「お受験も、今まで全く知らなかったので戸惑った。あとは主が食にとんと興味がないのに美食点というのを集め出したり。しかし、本殿に居る英傑達の錬度上げとなれば軍議が始まって。いや、軍議は構わないが、何故そんなことをと考えたり、特効英傑について考えてしまったり」
「そうだな、俺も祭事武器については色々思う所があった」
まさかそれが数日後に再来するとは思わなかった軍神は心から同意した。
「そもそも蹴球大会とは一体何なんだ!? 悪霊との戦いはどうなっているんだ!」
まだカァくんと独神からの連絡しか来ていないにも関わらず、タケミナカタはもう色々と考えしてまっているようだ。尚、独神は「絶対ヒカルゲンジが特効英傑、かむひあ」と謎の呪文を呟いて『一血卍傑』に臨んでいる。
「タケミナカタ」
それは静かな声だった。
「その闇を覗き込めば、一時の俺のようになってしまうぞ」
しかしとても鋭く、抉るようにタケミナカタの心に突き刺さった。
「まぁ、考え過ぎる必要はないだろうよ」
張り詰めた空気の隙間を縫うように、スクナヒコが酒を二柱に差し出す。イナバは全力で頷き、オオクニヌシはタケミカヅチの一言で何か思い出したのか腹に手を当てていた。
前例や早期治療の甲斐あって、タケミナカタの精神の均衡は保たれたのだった。
「所で、タケミカヅチは何か用があったの?」
「ああ、そうだった。フツヌシを見なかったか」
まさかもう一柱の軍神がこの時期特有のもう一つの症例、「荷居徒による無気力症候群」を患っている最中などとは知る由もなかったのだ。
「一昨年に充分な刺激を受け、昨年は望まぬ刺激を受けた。これからは寝て起きる生活が良い」


どんなに患いたくても、事態は勝手に動いていくのだ。
軍神の嘆きとか何とかが聞こえる気がするが、独神はひたすらに報告を待った。
軍神組は頼もしい。各地に分社があって地理に強かったり、体力仕事に強く、何より軍事関係の知識が豊富。
八傑は少数精鋭にして短期決戦型。何より、軍としての動きにおいて個性が強すぎる。
しかし各職業にして旗印。そう考えた場合、ヤマトタケルが荷居徒の影響下にあるというのは看過出来ない事態だった。
が、今年はそれだけではない。
以前から同じように影響を受けやすい英傑はいたが、今年はどうも所謂「赤金」英傑にも及んでいるらしい。
フツヌシ、マサカドサマ、アベノセイメイ、そして本殿に来ていなかったコトシロヌシ。
錚々たる面々、本殿に所属していない者はこれを機に仲間に引き込むという策略を練るにはとても良いことだ。
が。
「産魂の結果、コトシロヌシ殿が仲間になりましたよ!!」
「何で今!?」
皐月は流れに乗りやすいらしい独神、荷居徒を狩り尽くすより前にコトシロヌシを産魂してしまった。



 


遅くなりましたがGWネタでした。
まさかのイイナオトラに続いてコトシロヌシ、しかし霊符入手のチャンスの為両名は日替わり討伐のみで数日過ごしました(最
後の方では周回メンバーになりました)
入手した祭事霊符? タムラマロっておっちゃんだったよ。
オフナサマなんていなかったよ。
金霊符? 多分サイゾウだったよ!!

そして復刻、百鬼夜行。
復刻ですが、スマホから始めたので初めての祭事。
虹灯明で狙うは未だ本殿にいないクラマテングかシュテンドウジ。
――ガシャドクロでした(嘘やろ)
調子に乗って霊符・剛 二〇一六使いました。
――ようやっと炎上神カグツチが来てくれました(難民脱出)。
で、八傑霊符本日使用しました。
――アマテラスが上限突破しました。