主治医先生の異動が迫り、診療科はバタバタしている。
私も新規の相談は極力控え、次の先生に引き継いでもらいたいことだけ話すようにしている。
ところが問題が生じた。
私はここ1、2ヶ月ほど「うつ」のような症状が起きるようになっている。
「できないこと」が徐々に増えていく恐れ、進行に伴い次から次へと様々なことを決め直していかなくてはならないプレッシャー、母や自分の今後、夜の静けさがもたらす孤独感……。
私は心療内科への相談を検討した。
とはいえ心療内科が診る症例は思春期の悩みや仕事のストレスがメインだ。
「ALSはあまりにも予測不能なことが多く、メンタルをやられそうです」と話したところで分かってもらえない恐れがある。
主治医先生に適切な心療内科を知らないか尋ねてみた。
地元で有名な一族経営の精神病院を紹介すると言われた。
精神科医である院長の親族が、神経内科医(ALSに詳しい)だからだと。
うーん……。
あんまりいい評判は聞かない病院なんだよな。
院長が診るのは初回だけで、後は誰が診るのか分からない。
受診経験者の話によると受診のたびに医師が替わり、そのたびに処方薬も変わるらしい。
ホームページにも何曜日に誰が診察するか一切出されていない。
外来医師の大半は非常勤(アルバイト)だとも聞く。
主治医先生いわく「ALS患者の全てが"うつ症状"を発症するわけではないけれど、ALSはどうしても前頭葉の機能低下が起きやすい。それが"うつ"に似た症状を引き起こす」
ALSの症状の一つとして引き起こされる「うつ」であれば、精神科ではなくALSの主治医(神経内科)に相談したほうがいいということか。
すると主治医先生、「引き継ぎの先生にはそういう相談はしないように」とピシャリ。
次の主治医はあくまでも「運動ニューロン疾患の進行具合」を診るのであり、精神症状の相談をされても面食らうと。
ええ? でも「ALSによる脳機能低下」が原因なんでしょ?
他の患者さんに聞いてみた。
「そういう場合は神経内科で眠剤や抗うつ剤を処方するのが一般的。精神症状が重度になった場合は精神科に紹介して情報提供しあうけれど、あくまでも神経内科が主体」
主治医先生さらにいわく、「精神科への紹介が必要なら引き継ぎの先生ではなく、私が書くから。退職する前に言って」
異動する医師たちの担当患者を大量に引き継ぐ後任先生の負担を減らすべく、自分が紹介状を書いておくと言っているだけなのか……病院内の事情や医師間の習慣は、私に分かるはずもなく。
でもモヤるなあ~
非常にモヤモヤするぞ!
とりあえず新しい主治医先生の考え方を探るしかない。
短い診察受診時間でどれだけ対話できるか、不安ではあるけれど。